アポトーシス(細胞死)とは?
アポトーシスとは、細胞が自ら死滅することです。このアポトーシスが起こるケースは主に2つあります。
1つ目は最初から遺伝子上で厳密にプログラムされている場合です。例えば、オタマジャクシの体の約半分を占める尻尾は蛙に変態する時に消失します。この時に尻尾ではアポトーシスが起こっています。
2つ目は細胞に異常が生じた時です。生体にとって有害な細胞を取り除く目的でアポトーシスが起こります。具体的にはウイルスに感染した細胞やがん化した細胞でアポトーシスが起こります。
アポトーシスのスイッチが入ると、まず核の凝縮化が起こり細胞が壊れやすくなります。次に細胞のDNAが細かく切断されます。やがてアポトーシス小体というバラバラの状態になり、最終的にマクロファージなどの食細胞に小体が食べられることによって、細胞は完全に姿を消すのです。驚くことに細胞の内容物は一切流出しません。
アポトーシスの対義語として、ネクローシスがあります。ネクローシスは血行不良や物理的破壊、科学的損傷といった「事故死」によって細胞が死んでしまう現象です。転んで擦り傷ができたことによって細胞が死ぬ場合もネクローシスの一種です。
ネクローシスが起こると細胞が膨張して細胞膜が溶解し、内容物が漏れ出します。やはりアポトーシスとは対照的です。
参考文献:廣澤瑞子,「眠れなくほど面白い 生物の話」,日本文芸社出版,(2017).
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