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点訳ボランティアになりたい(2)

入校式のような開講式のようなものを終えて、講習初日。まずは「点訳のてびき」と呼ばれるテキストと、練習用の「点字用紙」を購入した。

てびきとは点訳を行う上でのバイブルのような存在で、日本全国の点訳作業は、てびきに忠実に基づいて行われている。ちなみに全国で点訳されたデータは規格化されていて汎用性があり、校正などを終えてネット上の電子図書館にアップロードされると、利用者は誰でもダウンロードして点字プリンターや閲覧用の専用機器を通して楽しめるようになっている。こういった点字図書を取り巻く環境についても今回初めて知って驚いた。

そして点字用紙。実務はパソコン上で専用ソフト(点訳編集システムなど)を使用しての作業になるのだが、まだ今は基礎を覚える段階。点字板と呼ばれる“筆記用具”と、この用紙を使って、ポツポツと点字を打つ練習をするのである。定規のようなものを当てて、裏側(凹面)から針のようなもので押して紙を凹ませると、表面(凸面)に点字が浮き上がる仕組みである。この点字を打つ感触が中々に気持ちいい。包装材の“プチプチ”をつぶしていく、あの気持ちいい感覚に少し似ている気がする。ここでお気づきかもしれないが、打つときは裏面から打つ。文字の進む方向は普通の本と同じ。つまり打つときは鏡像に写したように、右から左へ打っていくのである。

点字は6個の点で構成されていて、そのサイズや間隔は万国共通である。カナ文字に対応して割り当てられていて、主に50音は母音と子音で穴の位置の組み合わせが決まっている。(ハングルに詳しい人に話すと、ハングルの表記法に似ているそうである)他にもアルファベットや数字、記号などにもそれぞれ点字が割り当てられている。ただし、原文通りに点字に単純変換していけば良いのではなく、そこに点訳ならではの独特のルールがあり、それを学んでいくことになる。

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