数年ぶりにアイナナに復帰した話

私には八乙女楽推しの友人がいる。
かれこれ10年来の友人で、お互い今このジャンルが熱い!などの報告を送り合い続ける学生時代の友人だ。
彼女は都志見文太先生の古参ファンで、都志見文太先生がシナリオを担当するアプリが出ると情報公開された時、すぐに報告を受けた記憶がある。

当時はキャラデザが某王子様のパクリだなんだと、世間からの目が酷く厳しかった。全然一致しないイラストのトレス疑惑をかけられていたりして、「可哀想だなぁ」とちょっと離れた場所から観測していた。(元絵を裁断して画像に重ねて一致しても、それはもうトレスでは無いだろと思っていた)(当時はトレス検証がそれはもう流行っていたので、すぐにトレス検証が作られていた。嫌な文化だ)

私はと言うと、そんな風当たりの強い中、アプリリリースからしばらくした12/15、アイナナをインストールしてマネージャーに就任したらしい。
なぜ12/15なのか、今となってはまったく分からない。私の誕生日は12/7なので過ぎているし、何か……あったんだと思う。
そこから少しづつシナリオを読み進めていった。最初は推しという推しもいなくて、「あえて言うなら苦労人っぽいし、壮五くんかな〜」と思っていた。友達はナギくんと八乙女楽が好きと言っていたが、その時点では「確かに好きそうな顔だな」程度に思っていた。(私が彼らのかっこよさを理解したのは、だいぶあとの事だ。)

2部のシナリオが更新され、事件が起きる。
酔っ払いの十龍之介乱入事件だ。

私はお兄さん属性が好きだ。あと、方言キャラも好きだ。昔沖縄物の作品にハマっていたことがあるので、うちなーぐちも少し読める。喋れないが。
この身体の大きい、アイドリッシュセブンの子達より年上っぽいお兄さんが、酔っ払って大和さんに介抱されている……!? 普段は方言を隠しているのか……!!? そんなの…… 好きじゃん!!!
2部を読み終わったあとで、同じシナリオを何度か読み返したことを覚えている。

ただ、当時の私はセクシーなお兄さんが好き、というのはちょっと恥ずかしかったのだ。なので、ラブゲの3人が好き、と言っていた気がする。
当時ギスギスしていたMEZZO"の間を取り持ってくれる、いい兄ちゃんだから、と。正直、優しいお兄ちゃんとセクシー担当がひとりの人間に集約されていることを受け止め切れていなかったと思う。
十龍之介が己のセクシーポジションに悩む時、オタクもまた、十龍之介のセクシーポジションに悩んでいた。

この頃は適度にアイナナと距離を取り、お金に余裕があるときにガチャを回したり、ラブゲのイベントがあると聞いて頑張って報酬を獲得したり、1周年を一緒にお祝いしたりしていた。

当時は今より遥かに育成素材のドロップが悪く、本当に気に入ったキャラを厳選して育成しないといけなかった記憶だ。当然、「ランク〇以上」系のミッションをこなすにはキャラの育成が必要で、そのためには毎日コツコツログインして、アイテムを集めなければならなかった。
あと、オート機能もなかったので、仕掛けて放置ができなかった。本当にコツコツ、クリア出来る範囲を叩くしか無かった。

2年目を迎えるより先に、私はアイナナから一旦手を離した。イベントを走ると育成が出来ない、育成に集中するとイベントに参加出来ない。
最後に頑張ったのは、十龍之介のUR覚醒が追加された時だった。覚醒できたことを、誰にも言わなかったと思う。
十龍之介は私にとって、大きな声で人に言うことの無い、密かな「推し」であった。誰にも言うことなくこっそり少しだけグッズを買ったり、ゲーセンにいってうさ耳パーカーのぬいぐるみを取って帰ってきたりするくらいには十龍之介が好きだった。けれど、積極的に「買った」「取ってきた」と人に報告することはなかった。
十龍之介のUR覚醒は私にとってちょうどいい節目だったのだ。密かな推しである十龍之介。きっと彼を嫌いになることは無いだろうし、目に入ったら「やっぱりかっこいいな」と思うんだろう。でも、積極的に彼に会いに行くことが無くなるだけだ。
十龍之介をなんとかURに覚醒できたことに満足して、私は一度アイナナから離れた。

私がアイナナから離れてしばらくした頃、八乙女楽推しの友人から3部が追加されるよ!と連絡が来た。TRIGGERのビジュが出てるんだ、楽しみだな、等と話していた気がする。私も、「読み終わったら私も読むから、その後で感想言い合おう」と話した気がする。
しかし、更新からしばらく経って、「ねえ、確かさ…… 龍のこと、割と好きだったよね?」と連絡が来た。
「これ、龍好きだとしんどいかもしれないから…… 読まない方がいいかも」

そ ん な こ と あ る ????????

龍大活躍だから読んで読んで〜!ではなく???
そう言われたことをTwitter(現在のX)で呟いたら、他のアイナナを遊んでいるフォロワーさんからも「まじ分かる」「龍好きなら読まない方がいい」「龍推しのメンタルと命が心配」等と言われた。
当時割とメンタルがボロボロだった私は、なんかよく分からないけど十龍之介が大変なことになるらしい、ということだけ理解した。自分の精神の安定のために、今まで十龍之介の誕生日時期だけログインしていたアイナナをアンインストールした。(この時、iPadに移すのではなくスマホからアンインストールした過去の私を褒めてやりたい。)(理由は後述する)

そうしているうちに時は流れていく。
アイドリッシュセブンはアニメ化し、1部、2部が終了。テレビで見るタイミングがなかったので、後から配信で追いかけた。配信が始まるのがだいぶ遅くて、なかなか見れなかった記憶がある。
八乙女楽推しの友人がライブに行ったり、イベントに行ったりすると色々報告を受けていた。楽しそうでなによりだな、と思っていた。

アプリの方ではすっかりŹOOĻがスタメンになっていた。ŹOOĻがTRIGGERとなんやかんやあったチームだということだけは、八乙女楽推しの友人から聞いていたので、複雑な気持ちだった。
アイナナから離れても、私が密かに十龍之介を好きだった事には変わり無かったからだ。

2022年、八乙女楽推しの友人からグループLINEに連絡が来た。
「アニナナの3部をやるから、同時視聴して欲しい」
このグループLINEは、私、八乙女楽推しの友人、アイナナの知識がほぼないATLUSゲーが好きな友人の3人。集まって何かする口実をずっと探していたので、毎週日曜日の夜にアニナナを見て、アニナナが終わってからも都合が合えば集まることになった。(この集まりは今でも続いている)
私は、久しぶりに十龍之介に会った。相変わらず十龍之介はかっこよかった。3部のアニメ、ということは、この後この男はとんでもない目に合うのだ。同時視聴のおかげで幾分か気が楽だった。ひとりだったらきっと、見もしなかっただろう。
ATLUSゲーが好きな友人は、了さんをいたく気に入っていた。彼女がいたから、了さんの大暴れもそんなに気にならなかった。3部初見としてはダメージが小さく済んだので、同時視聴を提案してくれた八乙女楽推しの友人と、了さんを可愛い可愛いと言っていたATLUSゲーが好きな友人にはとても感謝している。

年末にブラホワの企画があり、アプリの6部のエンディングと連動していることを教えてもらったのもその時だ。ふたりで「アイナナくんはマーケティングが上手い!」「そこにシビれる憧れる!」と褒め讃えたことを覚えている。
私はと言うと、年始に朝から仕事があったため、その祭りに参加出来なかった。

年始にアニナナが終わり、「こんなところで終わんの!?」と驚いた記憶がある。「来週は……」「ないよ」という会話をした。なんであんなところで終わるんだ3部……。

それからしばらくして、5月。八乙女楽推しの友人から「今アイナナの映画やってるんだけど」と言われた。

アイナナの映画!!?って何!!!!???

聞けばライブ風の映画らしい。
週替わりの入場特典があって、それが欲しいから協力して欲しいという話だった。
「仕事帰りの行ける時に行くんだけど、上映回数を思うとどう考えても身体が足りない」
1週間は7日しかないから、そりゃあそうだ。
2週目特典のために一度映画館に向かった。この日はDAY1。せっかくだから順番に見て欲しいと言われたので、大人しくついて行った。
「メンカラ分かる?各ユニット誰推し?」
「アイナナちゃんは多分……大和さん?TRIGGERは十龍之介、Re:valeは千……ŹOOĻはまだ分からん」
「多分トウマ好きだから、ŹOOĻは赤ね 緑青緑赤」
トントン拍子でペンラを渡され、いざ観戦。
辛うじてアイドリッシュセブンからRe:valeまでの並び順を把握していたので、どれが誰の色か分かったので助かった。
「本当は通常上映で見て欲しかったけど、応援しかなくて……」
「大丈夫だ任せろ、俺はKING OF PRISMのオタク」
そう、私はKING OF PRISMのオタクである。雰囲気でキンブレを振るのは得意だ。なんなら初見で声出しも出来る。訳の分からんままに「みんなに、言いたいことがありまーす!\なぁに〜!?/」したり、「せーの、\大好きー!/」してきた経験値は伊達じゃない。

そうして迎えたムビナナ初回。
1番驚いたのは、映画泥棒で赤いキンブレを振らないことだ。赤をつけて待機していたので、「振らないの!?」と言ってしまった。
ムビナナでは予告や映画泥棒で応援しない。ひとつ賢くなった瞬間だった。
バンダイナムコのロゴが出ても、「バンナムありがとう〜!」の応援がない。キンプリの応援上映とのギャップに叩きのめされながらも、初回のムビナナの鑑賞を終えた。

十龍之介が良すぎる話をしたかったが、十龍之介の話をするのが恥ずかしい昔の自分がそこにいた。密かな推しだったのだ、十龍之介は。密かに推させて欲しかった。圧倒的十龍之介のかっこよさに打ちのめされて、十龍之介に対する感情を消化しきれなかった。十龍之介の話を存分にできなかった。
なので、その日は千の脚がとにかく長かった話をした。10mくらいあるな、と思ったし、Twitterでも「10mくらいあった」と呟いた。

あと、後半の曲がすごく良かった話をした。知らない曲が多かったと言ったら「後半は新曲多いからね」と言われたので、「なるほど!!!」と拍手したくなった。
ちゃんとしたアイドルのライブがそこにはあった。なるほど、これは人を誘いたくなる。みんなに見てほしい、みんなと楽しみたくなる気持ちがよく分かった。

翌週の特典が本命(TRIGGER)だったので、翌週も映画館に足を運んだ。
八乙女楽があまりにでなくて、八乙女楽推しの友人以上に私がムキになったので、ひとりで映画館に足を運んだ。汎用の色が自由に設定できるペンライトを購入した。
ATLUSゲーが好きな友人も映画館に向かい、協力して特典を集めた。それはそれで楽しくて、いい思い出になった。

4週目。「来週声かけるからその時手伝って」と言われ、1週間ムビナナを見に行かなかった。行かなかったのがいけなかった。1週間、何をしていても十龍之介のことを考えてしまう。
密かな推しだったはずなのに、私の生活を侵食してきた。映画館で見かけた椅子に座った十龍之介のアクスタがハチャメチャにかっこよかったので欲しくなった。しかし、欲しくなった時にはもう売り切れていた。ムビナナの十龍之介のアクスタを買った。脚が長かった。
Twitterで「この十龍之介を見かけたら代行お願いしたいです」とツイートしたら、数人のフォロワーさんがわざわざ映画館やアニメイトに探しに行ってくれた。人の優しさに生かされている。

そうしていると、TRIGGERが、ŹOOĻがこの舞台に立てるようになった経緯が気になった。
私の中でTRIGGERは、2部、ないし3部の地獄みたいな終わり方をしたところで止まっている。ŹOOĻもまだ全然小悪党だ。了さん大あばれの真っ只中だ。こんないい子ちゃんじゃないはずだ。

6月上旬。久々に、アイナナのアプリをダウンロードした。
ここでiPadに移してなかったのがきいてくる。GooglePlayでアカウント登録をしているので、過去のプレイヤーデータが復活出来た。
数年ぶりのアイドリッシュセブン。ちょうど巳波くんの誕生日イベントをやっていた。
映画連動のガシャが始まった頃だったので、せっせと無料分のガシャを回した。十龍之介に至っては、課金して出るまで回した。仮天井で天が出て、楽を引いていなかったことを後悔した。

すっかりTRIGGER沼に嵌っていた。

イベントできなこパンやプリンドリンク(回復アイテムとオート周回アイテム)を配布してくれていたので、リソースを全て恒常曲のフルコン作業に費やした。イベントは全て無視して、引いたばかりの十龍之介と、初めて覚醒した思い出の十龍之介を育てた。一人レベル70がいるだけでだいぶスコアが伸びたので、ここから一気に楽になった。
シナリオをコツコツ読み、イベントに参加し始めた。
八乙女楽推しの友人に「8月に周年とŹOOĻ記念日、9月にTRIGGER記念日があるよ」と教えてもらった。
しかし、私は気付いてしまった。
ナナパスの存在だ。

6月、八乙女楽のナナパス。
これは来るだろう、2ヶ月後に、十龍之介のナナパスが。
そこから、私の中で十龍之介のナナパスで何とかしてSSを出すことが目標になった。

十龍之介のナナパスまでの間にも、色々なイベントがあった。
十龍之介のアイドルスターライブ。ポイント式のランキングイベントだ。育成が全く出来ていなかったのに、このイベントのためにガンガン育成した。ガシャも回した。お掃除大作戦の十龍之介があまりに健康的でえっちで可愛かったので、出るまで回した。コットンと連立した十龍之介はとにかく可愛かった。
無事にTOP1000にランクインして、本当に嬉しかった。嬉しすぎて、普段はずっとこの時のバッジを付けている。

迎える8月。ナナパス初日に手持ちの素材だけで十龍之介を覚醒させた。「手持ちの素材だけで」覚醒出来たことが、既に進歩だ。
そうしているうちに、復帰当初40代だったランクは150を超えていた。毎日、毎週、コツコツとナナパスを進めた。ウィークリー楽曲をチマチマ叩きながら、フルコンしてもスコアが伸びず、悩んだ。もうダメかもしれない。ここで負けるのか…… 勝てないのか。
8周年のガシャでも大爆死した。300回して、ダンスマカブル(八乙女楽と十龍之介)が出なかった。悔しかった。

9/1。突然39度の熱が出た。病院に行ったらコロナ陽性。布団に横になりながら、アイナナのアプリを開いた。
8/31のŹOOĻ記念日。イベントが始まったばかりだった。スコアを競う形式のイベント。ナナパスでもスコアアタックで苦しみ、ここでも苦しむことになるのか……と少し憂鬱になった。
その時、X(Twitter)を見ていたらこんな情報が入ってきた。

「記念日の巳波が強い」

今回のŹOOĻ記念日の巳波は、「縮小」と呼ばれるスキルを持っている。縮小とは、一定時間ノーツの判定が厳しくなる代わりにスコアがアップするスキルだ。
これだ、と思った。同時に、「これで巳波が出なかったら、ナナパスのバッジは諦めよう」と思った。フルコンしてもSSに乗らないのは流石に辛かったからだ。

10連。虹演出。巳波か虎於は確定した。深追いしたくないので、ガチャ演出を見るのが少し怖い。強制的に結果画面を出してくれるのがありがたかった。
サイン演出が映り、minまで見えた瞬間にガッツポーズした。巳波だ!!!縮小スキル持ちの!!!!!
URの棗巳波は顔も良くて、スキルも強い。ありがたい。

とりあえずレベルを上げて、ナナパス画面を開く。アイテムを片っ端からONにして、譜面を叩く。絶対に熱がある日にやることじゃないよな、と思いながら。

乗った、SSランク。4曲のうちのたった1曲だ。でも、今までずっと、レベル60〜70で組んでもBかCしか乗らなかった。大きな一歩だ。
(でも、スコアが伸びなかった時に十龍之介に塩対応されたときの興奮が忘れられないので、多分これからも全然CやDを出すのだと思う。)

そんなわけで、今は色々と編成を変えながら他の曲もスコアが伸びないかと試行錯誤している。今のところ、まだちょっと無理そうだ。

この約3ヶ月で、本編読破、推しのランキングイベントで1000位以内に入る、ランク200突破、フルコン250曲の実績解除と色々なことがあった。あと、映画館に行き過ぎて回数を数えるのを辞めた。ちょこちょことグッズも買ったし、人生で初めてロゼットとペンラリボンを作った。勢いで12月の3Dライブイベントも申し込んだし、ライブグッズも予約注文してある。

今ではすっかり「私の推しアイドルは十龍之介です」と言えるようになった。
セクシーなお兄さんが推しです、というのは少し恥ずかしかった過去の自分に、「あの時のあなたがコツコツ集めて育ててた密かな推しが、今、スタメンで活躍してくれてるよ」と伝えてあげたい気持ちだ。

次の戦場はTRIGGER記念日。5年くらい私が帰ってくるのを待っていてくれた推しの十龍之介と一緒に爆走したい。

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夏の思い出

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