人前で話すときに手足が震えてしまうのを改善しようとした話

人前で話す、ということが苦手である。話そうとすると大量の汗が湧いてきて、手が震え足が震え口も震える。ついでにスマホまで震えたときにはサイレントモードにしておけばよかったと後悔する。

スピーチは特に苦手だ。スピーチが上手な人は尊敬する。校長先生は眠くなる話が本当に上手だった。尊敬に値する。

親切く話そう、伝わるように話そう、丁寧に話そうという思いが、かえって上手く喋れなくなるのかもしれない。喋らないという選択肢があるならそうしたいが、手は震えたままである。冷房が効きすぎなのだ。

改善を試みたことはある。

「プレゼンするときは聞き手をナスか何かだと思えばいいんだよ」と同僚は言った。ナスだと思ってみたが、私はナスに話しかけたことが無かった。ナスに対して日本語で正しいのだろうか。それが心配になりスーパーの生鮮食品売り場に行ってみたが、話しかける人は皆無だった。次はナス栽培をしている農家を訪ねてみたいと思う。ナスに話しかける人もいるかもしれない。

また、手足が震えてときに身体中を震えさせてみた。これで手足の震えと調和すると思ったのだった。しかし震えることに集中するあまり、何を話そうとしたのかを忘れてしまった。これは震えないときにもよくあることである。

相手が思わぬタイミングで質問をしてくるとパニックになる。こうなると質問に対して適切に答えられなくなる。できれば質問は無しにして欲しい。そして聞き手もいないほうが望ましい。

そうは言いながら今日も私は手足を震えさせながら話をしている。手足にマッサージ機をつけたまま。


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