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1年記念日

あの日から1年が経った。

恥ずかしくて消え入りそうな声で「すきだよ」と初めて言ってくれた時からもう随分月日が経って、今では息をするみたいにたくさん愛の言葉を伝えてくれるね。いつでも本気でストレートに言ってくれるところは変わらなくて、それが遠距離になった今もずっと続いてるね。なんの前触れもなく時々不安になって試すようなこと言っちゃってごめんね。そのたびに真っ直ぐに向き合ってくれてありがとう。会えないことが当たり前になってしまったけど毎日のように考えているし、お互いへの不安や心配が一切ないからさみしいのを乗り越えるだけだよ。頑張ろうね。

1年記念の日。わたしはというと、空港にいた。これから彼に会いに行く。遠距離生活もまだ序盤なのに会いに行くのはこれが2回目だ。この間は誕生日、今回は記念日。「早く生まれておいてよかった〜〜!」と笑顔で言う彼はかわいかった。授業のない日があるからそれを利用して、飛行機嫌いなわたしは頑張ってひとりで会いに行くんだ。飛行機に乗る前、彼は「少し電話をしよう」と言ってくれる。仕事の関係で出来ないこともあるけど、そう言ってくれるのがなんだかうれしい。わたしに飛行機で来させちゃうことを気にしているのかな。怖いけど頑張って行くよ。

目的地に着いた。彼の仕事が終わるのを待つ。街をフラフラしていても上の空。会えることに少しの緊張と、ドキドキがあった。約2ヶ月間毎日のように「会いたいね」と言いあってきたけどお互い仕事、学校、バイトと忙しくて気づいたらもう会える日になっていた。会いに行く日の前日、ウキウキのままなぜかバイト。なんでこんな日にバイトを入れてしまったんだと後悔しつつ、なんとか乗りきった。「明日会えるね」と電話をしながらキャリーに荷物を詰めていく。うれしい気持ちと楽しみな気持ちで少し泣いちゃいそうになりながら、でもニコニコした。彼は報連相をできるどころかマメすぎて、「別にそこまで連絡しなくていいんだからね」と逆に伝えたくなってしまうくらいのいい彼氏なんだけど、そんな彼とだから遠距離を乗り越えられそうな気がする。

彼の仕事が終わった。もう会える。緊張してきた。待ち合わせの駅に向かい、柱のところで待つ。「走っていく!」というLINEに「ゆっくりで大丈夫だよ笑」と返していると、急に近づいてくる人が。もうこっちが笑っちゃうくらい満面の笑みの彼が「久しぶり〜〜!!」と駆け寄ってきた。久々に会えたね。今日が1年記念日。わたしのキャリーを持ってくれて、持ってくれている手と反対の手をつなぎながらまだあんまり馴染みのない道を一緒に歩く。途中で有名なパン屋さんがあって、まだ営業してたからでっかいパンをそれぞれ買った。明日の楽しみができた。彼の家につくと落ち着く匂いがして、狭いベッドで一緒に寝た。

ふたりではじめてディズニーに行った。前の日バタバタしていたせいで遅くに寝たから朝は起きるのが少し大変だった。「起きてーーディズニーいくよーーー」と朝から元気な彼に起こされた。久しぶりのデートはすごく楽しかった。途中で疲れたわたしを見かねて「もう少しここで休憩してから行こうか」と言ってくれるところが好きだった。疲れても疲れたとわたしがなかなか言わないのを分かってるからこその発言だった。夕方頃に乗る予定だったアトラクションが止まってしまって彼が落ち込んでいた。力なく笑う姿が可哀想だけど愛おしくて「もしかしたら動くかもしれないよ」「また今度一緒に行こう」と声をかけた。数十分して動き出した時すごく嬉しかったんだけど、彼が「○○ちゃんが楽しみにしてたから乗れないかもってなって悲しくなっちゃった、落ち込んじゃってごめんね」と言ってきた。予定通りに行かなくて不機嫌になるなんてことは今まで一度もなくて、上手くいかなくても笑い合えるような関係でいられていることが嬉しい。きっとお互いが無意識のうちにお互いのことを思いやって、大切にしているからだと思う。激しいアトラクションが怖くて乗れないけどそれでも彼は「今日1日本当に楽しかったよ」と伝えてくれた。手をつないで歩いて、彼がプレゼントしてくれたおそろいのTシャツを着て、楽しいことを共有して笑い合える時間が本当にあっという間で夢のようだった。一緒にいられる時間がどれだけ貴重なのかを実感した。「今ディズニーにいる人の中で1番かわいい」と言ってくれるわたしよりもかわいい人を大切にしたい。

この数日で改めて彼のことを好きになった。そばにいると「好きでいてくれている」以上の感情をもってわたしと一緒にいてくれていることを感じる。大事にしてくれるし、大切にしてくれるし、たくさん愛してくれている。それは言動や行動で日々伝わっている。そんな彼だから、わたしのことを好きでいてくれているとなんの疑いもなく言える。もちろんわたしも好きだし、あんなに未来のことを見れなかったはずなのにこれから先も一緒にいたいと強く思うようになった。まずはもっと会えるようにたくさんバイトを頑張って、遠距離を終わらせられるようにして。彼とのこれからの事を考えるとわくわくするようになった。会えないことが続くのはさみしい。バイバイする時泣いたし、1人になってからも次の日も泣いてしまうほど泣き虫になった。それでも彼となら大丈夫。幸せでいっぱいの1年記念日だった。

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