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よもぎ 10/23の夕刊

 これは文芸部の活動を終え、通学路の河川敷を友人3人と歩いていた時の話である。
「蓬餅が食べたい」
「蓬餅?」
 藪から棒に口に出された友人の欲求に思わずオウム返しで聞き返した。
「あ〜、でもそういうのって葉っぱ食べないよね」
「え? 葉っぱ?」
 その切り返しから、私は蓬餅に対する認識の齟齬を覚えた。
「ほら、桜餅とか柏餅とか」
 私は何とか齟齬を正そうと例を幾つか提示するが、伝わった感触はなかった。
「いや、蓬餅って緑の奴だよ?」
「え? あ〜! あれか!」
 私の脳みそに埋もれた記憶が掘り起こされ、ようやく認識の齟齬が解消される。
 蓬餅って草餅の事かぁ~。とズレた歯車がきっちり合わさったのと似た感覚を覚えた。
「あれだよね。中にあんこが入ってる奴」
「いや、食ったことないから分からん」
 食ったことないんかい。
「いや、それはただの饅頭だったっけ」
 さっきの例があるので頭の中に浮かぶ蓬餅が本当に蓬餅なのか分からなくなる。
 そもそも餅と饅頭の違いは?明確に区別されてるのだろうか。団子とも似てるし。
「なぁ、餅と饅頭と団子の違いって何だ?」
「え、知らないよ。形とかじゃないの、丸いとか」
「形? それだったら丸い餅の存在はどう説明するの」
「ほら、材料とかさ。餅はもち米じゃん」
「団子だってもち米じゃないか?」
「えー? いや他にもあるでしょ。串に刺さってるとかさぁ」
「じゃあ何。丸い餅を串に刺したらそれは団子になる訳?」
「いやもうわかんねぇよ」
 私は相手の論理の矛盾点を見つけるとついそこを突いてしまう悪癖があるのだが、この友人は割と矛盾を孕んだ脆い論理を展開してくれるので、悪ノリ精神も働いて今回みたいに困らせる事が多々ある。
毎回困らせてすまんね。でも、直す気はないよ。困らせんの楽しいから。
「いや、餅と団子は違うぞ」
 会話に飛び込んできたのはさっきまでこの一連の会話を静観していたもう一人の友人。
「ほう、じゃあどう違うの」
「団子には、白玉粉とか色々別のもんが入ってるから、餅と団子は全然違う。」
「あ〜なるほど~」
 へぇ〜。そうだったんだ。めちゃくちゃ腑に落ちるというか、頭ん中でごちゃごちゃしてた餅と団子の区別がついてすっきりした。
「いや知ってたんだったら早く言えよ」
「あ!確かに!なんで黙ってたんだこいつ」
「お前俺が串に刺さってるからどうとか言ってた時どういう感情で聞いてたんだよ。いや団子には白玉粉が入ってるから違うんだけどね~とか考えてたんか!」
「草」
 草餅だけに。
 そこいらで別れ道に到達したので、私は友人二人に手を振って別れた。
 そのまま駅へ向かって歩いてる途中、ある事に気付いた。
「そういや、餅と団子の区別は着いたけど、餅と饅頭の違いは結局分かってなくない?」


以上です。
久しぶりに小説風味の文書いたのでごっちゃごちゃです。
これはちょっと小説とは呼べない。
今日は他にも、スパイダーマンは機械から糸を出してるのかという議題に「俳優は機械から出してるかもしれないけど、スパイダーマンは手首から出してる」とか言って思考停止させたり(マーベルにわかなので分からない。仮に機械から出てるんだとすれば、冒頭でクモに噛まれた意味は?本当の所どっちなんだ誰か教えて)、
生きる意味の有無から神の存在の有無へと議題がすり変わっていったりして楽しかった。
今後も困らせるぜ。

ではまた。

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