雲吞

山村啓介a.k.a.桂雲吞です。a.k.a.って「also known as(としても…

雲吞

山村啓介a.k.a.桂雲吞です。a.k.a.って「also known as(としても知られている)」なので、何者でもない自分が使うのってどうなん?って躊躇する、でも若さは誇示したい、そんな人間です。元TV局員、元劇場支配人。演劇と本と映画が好き。やっぱりTVも。㈱707代表。

最近の記事

2021年の観劇記録

日付と上演団体とタイトルと劇場を書き留めておきます。私が堕落しきっていなければ、それぞれの作品について近いうちに少しでも感想を記したいと思います。 ■ 1月 6日(水) 松竹新喜劇『二階の奥さん』@京都南座 ■ 1月17日(日) 小原延之+T-works共同プロデュース『丈夫な教室ー彼女はいかにしてハサミ男からランドセルを奪い返すことができるか ー』@AI・HALL ■ 1月22日(金)  南河内万歳一座『ゴミと罰』@一心寺シアター倶楽 ■ 1月23日

    • 2021年1月6日 松竹新喜劇『二階の奥さん』@南座 むしろ思い出とか

      2021年1月6日(水) 松竹新喜劇『二階の奥さん』@南座  令和三年、というよりコロナ二年の観劇は、なんと松竹新喜劇から。コロナへの配慮で、普段なら1時間強の芝居2〜3本で一公演となるところ、1作品ごとに別料金・入れ替え制で2作品の上演となっている。いま歌舞伎も似た形をとっているはずだが、幕間休憩がない芝居見物は、風情の点でやっぱり淋しい。  1980年代前半、二十代のTVディレクターだった僕は、クイズ番組などを担当する傍ら、ある時期舞台中継班にもいて、松竹新喜劇も、たぶん

      • 2020年12月

        12月26日(土) お寿司『土どどどど着・陸』@THEATRE E9 KYOTO 2020年にひとつ積み残しがありました。年末にこれ観に行きました。お寿司は初鑑賞。演劇、ダンスその他の舞台芸術に衣装作家として関わっておられる南野詩恵さんの舞台芸術団体。彼女は数年前に京都府の丹波にある質美(しつみ)という山村に家族で移住されたそうで、本作はその体験がモチーフになっている。  不思議なタイトルだが、きっとこれは、「土着」と「着陸」、そして、宇宙船が異星に着陸する際のロケットの逆

        • 痛みを伴うことを笑いの対象とする…

           「放送倫理・番組向上機構(BPO)の青少年委員会が、『痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー』について審議に入る」という話題を、ネットニュースで目にした。視聴者や、中高生のモニターから、「不快だ」、「いじめを助長する」という意見が継続的に寄せられるそうだ。まあこれについては「難しい問題」というほかはない。  ちょっと考えただけでも、「痛みを笑いの対象としている」番組の企画は山ほどある。熱湯風呂や電気ビリビリや足ツボPKが、ひょっとしてテレビから消えるのか?あの、棒でお

        2021年の観劇記録

          2020年10月~12月の記録

          お盆が終わった。緊急事態宣言が拡大・延長され、僕の住む京都も蔓防措置から宣言に格上げ?される。いったいこの先どうなっていくんだろう。 10月2日(金) ケムリ研究室『ベイジルタウンの女神』@兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール と、書き出しはしたものの、この作品に限らず、詳細はほぼ忘れてしまっている。以下、記述に誤りがあったらごめんなさい。 ケラリーノ・サンドロヴィッチと夫人である緒川たまきの新ユニットの、第1回作品。いいなあ、その時点で傍目には甘~いのだが、中味もとても

          2020年10月~12月の記録

          2020年7~9月の観劇記録

          やだなー。テレビがつまらん。オリンピックをやっていないチャンネルを探して観るのだが、バラエティはこの期間手を抜いてしまっている。五輪中継を全く観ないわけではなく、日本選手が出場していないか、上位につける望みの全くない競技は、中継アナウンサーのトーンもそれなりに落ち着いていてその競技本来の魅力が感じられたりするので、夜中ぼんやり楽しんだりはする。日本人がメダル獲れるか獲れないか一辺倒の中継が下品で嫌なんだ。昨夜の女子三段跳びで世界新記録を出したベネズエラの選手はすごかったな。な

          2020年7~9月の観劇記録

          オリンピックがやってきた

          いろいろ大変なことになっている東京オリンピックがとうとう始まった。僕は子供のころから体育が苦手で、だから劣等感由来のひねくれ根性で言ってる、という部分がゼロではないのだけれど、この四年に一度の時期が大の苦手だ。イベント自体は素晴らしいと思う。まあ、チケットただで差し上げますと言われても僕は行かないので、テレビを通じて接する限りにおいて世界中どこであっても一緒なんだけど、なんでしょ、あの日本一辺倒の報道は。金が何個で銀が何個で、感動の連覇でまさかの予選敗退で…。 オリンピック

          オリンピックがやってきた

          回文ショートショート8『伝説のYouTuber』

          ある調査によると、いま男の子のなりたい職業第1位がYouTuberなのだそうだ。 そんな、猫も杓子も動画投稿に血道をあげる風潮の中、他とは一線を画した、孤高のYouTuberがいた。 ハンドルネームはワンタン師匠。 彼の動画の特徴はこうだ。 いま、テレビが困難な状況に陥っている。スマホや映像配信サイトの進化などの影響で、人々の余暇の過ごし方が多様化し、日を追って視聴者数が減少しているのだ。 なんとワンタン師匠は、そのテレビの苦境に追い打ちをかけるかのように、番組制作の裏側

          回文ショートショート8『伝説のYouTuber』

          回文ショートショート6『こわい部屋』

          結構粗い作品です。しかしそれも味ということで、ご覧いただければ・・・ 「克也、留守?」 同級生の雄二の声が玄関から聞こえた しかし全く立ち上がれない ほぼ3日 キッチンの床に座り込んだままなのだ 冷蔵庫の中の食料は食べ尽くした トイレには這っていく このまま死んでいくんだな そんなことをぼんやり考えていたところだ 寂しくはない 部屋のあちこちから様々な声がする いたい  ごめんなさいもうしません おねがいたすけて ぎゃあー 夜になると死者たちは声だけでなく姿も現し

          回文ショートショート6『こわい部屋』

          回文ショートショート ⑤『美しい貢ぎ物』

          宇宙から来た侵略者のリーダーに 私は差し出された 彼の猛り狂う心と体を慰撫して 私たちの星をこれ以上の災厄から守るために この星でいちばん美しい私が選ばれたのだ さいわい 彼らと私たちの美意識は 一致しているようだった 言葉も大体が共通していた しかし、彼らの星には 「ありがとう」や「愛している」 という言葉がなかった だから、婚礼の宴の後 二人きりになったときにも そんな言葉は一切かけれらなかった 彼は黙々と戦闘服と下着を脱ぎ 私の衣を破り捨て そして、妙なものを

          回文ショートショート ⑤『美しい貢ぎ物』

          回文ショートショート ④ 『たかし君のこと』

          私は、糠味噌臭い女だ なにせ老舗の漬物屋に就職したのだ  「なぜそんな年寄り臭いところで働くの?」 学生時代の友人に訊かれたりもするが その店の糠漬けが好きだったからで これからずっとこの漬物と一緒かと思うと こんなに幸せなことはない そんなわけで、 年寄り臭くて糠味噌臭い私から 昔の友人は去っていったが 代わりに、新しい友だちができた たかし君という、ちょっと古風な顔立ちの でもかわいい男の子だ この漬物屋の作業場の片隅に、 古い大きな木の樽がある 最近はどこの漬物

          回文ショートショート ④ 『たかし君のこと』

          回文ショートショート ③ 『クマちゃんの秘密』

          安さに負けてフリマでつい買ってしまった クマのぬいぐるみ とんでもないやつだった こいつが来てからのわたしは災難続きだ 仕事でミスって上司に怒鳴られるし 彼氏にはフラれるし 階段から落ちて腕は折るし・・・ 最近起こったいいことといえば アベノマスクがようやく届いたことくらいだ (大したことないか…) 一度こっそり駅のゴミ箱に捨てたんだけど(クマをね) 家に帰ったら、アイツも帰ってやがった! まさに悪魔のテディ・ベアだ でも、ある日わたしは見てしまったのだ アイツの全

          回文ショートショート ③ 『クマちゃんの秘密』

          回文ショートショート ② 『忙しい猿蟹』

          「おいしそうだなあ。早く帰って食べよう」 そう考えながら蟹は山道を急いでいました 片方のハサミには、消費期限切れの コンビニおにぎりが挟まれています 「待ちなさい」 声をかけたのは、道端の木陰に座って MacBook Airを叩いていた、猿でした オーガニックコットンのシャツを 涼しげに着こなしています  「そんなの、食べちゃダメだよ   ただでさえおにぎりには化学調味料、   もとい、うまみ調味料が結構使われているんだ   小さな体にはよくないよ」  「あ、あり

          回文ショートショート ② 『忙しい猿蟹』

          回文ショートショート ① 『王の嘆き』

          老いた王の夜の独白である 私は、王様だ 王様だから、 若い頃から女性が毎晩寝室にやってきた それは、世継ぎを作る為に 父や家臣たちから送り込まれた女たちだった もし私の寵愛を得ることができれば、 そして世継ぎを産むことができれば、 自分とその一族は 強大な権力と莫大な富を得ることが出来る だから、 女たちは私の前であられもない媚態を作った 絶世の美女ばかりだった でも私は そんな打算に満ちたセックスが嫌で嫌で、 すべて拒絶した しかしそれでは立場上まずいので、 女た

          回文ショートショート ① 『王の嘆き』

          久しぶりに、演劇(と映画)を観た

          久しぶりに芝居小屋で芝居を観た。その日観たもの、行った店を手帳につけるという習慣も忘れてしまっていたので多分だけれど、最後の観劇は3月28日(金)にABCホールで観た『愛する母、マリの肖像』(T-works)だ。 ちなみに6月に入って映画館で映画は2本観た。『ドロステのはてで僕ら』と『ミッドサマー』。 『ドロステのはてで僕ら』は、演劇を中心に幅広く活躍している、大好きなヨーロッパ企画のオリジナル作品。「ひとつの建物の中だけで展開するけれど絶対に舞台では出来ない物語を作って

          久しぶりに、演劇(と映画)を観た

          2020年6月初めに書いた、演劇についての救いのない駄文

          読み返すと暗くなるだけなので、途中まで下書きして20日間ほど放置していた文章です。でも、ようやく次の文を書く目途が立ったので、もったいないから公開にします。この間に世の中も少しだけ変わったみたいですし。 ★「待つ」ことは生活につきもので、まあ何がしかの苦労とか不安とかイライラが生じるのだけど、いつまで待てばよいのかが分かっているのといないのとでは、人の心理状況はだいぶ変わる。鉄道は日本ではほぼ正確にダイヤ通りに運行されているので大丈夫だけど、少し前まで、路線バスは、果たして

          2020年6月初めに書いた、演劇についての救いのない駄文