コロナ第2波に備えて

 39県で緊急事態宣言が解除。コロナ第1波はようやく終わりそうな気配が。ただ今までのような「密」の状態での教室やイベントができるかというとそういうわけではなく(例えば近隣のカフェを見ていると座席数が以前の4割くらいになっていました)、「ソーシャルディスタンス」を保った形での将棋教室というのが今後の将棋教室のスタンダードになりそうです。

 そしてこの1ヶ月で将棋教室業界も大きく様変わりしました。一番に大きな変化はオンラインでの指導対局、イベントの一般化。多くのプロ棋士がオンライン指導対局に参入したことで地域ごとにあった将棋教室というのが一変してより競争が激化しました。

 ただ緊急事態宣言が解除されこの状況もまた変化します。そこで今回のコロナによる変化で感じたこと、そして今後来る可能性が高いコロナ第2波に備えて教室側、お客様側でどうするべきかについて思ったことを書いていきます。

 ①オンライン指導対局は難易度が高い
オンライン指導対局、自分もやりましたがいろんな面で難しいです。私は教室の方限定にしてその方の指し方であったり課題というのを把握した上でやりましたがそれでも対面での指導対局よりはやりにくさを感じました。これを知らない方と指した場合に単なるネットでの対局を上回る価値をどこに見出してもらうか。もちろん「プロである」「奨励会員である」ならばそこに付加価値をつけられるかもしれませんが、そうじゃない方がどうやって付加価値をつけるかは非常に難しい問題です。ましてオンライン指導対局は対面より面数が下がるので(通常5面指しくらいの方が2面や3面になる)単価は上げざるを得なくなります。満足度は下がる可能性が高いが単価は上がる。非常に難しい問題です。

 この辺の話は室田先生の一連のツイートが大変示唆に富んでいるのでぜひご覧ください。

②オンライン講義はむしろ難易度が下がる
指導対局の満足度を上げるのが難しいとあって当教室では毎日オンラインで約30分講義を行っています。ホワイトボードは約1万円くらいで、配信用のスマホを固定する三脚は2,000円くらいで買えますので初期投資はそれだけでも配信は誰でもできます。(ちなみに私は格安スマホをもう1台買いました)

 オンライン講義ですが手前味噌になりますが満足度も高く好評です。またこちらも大変やりやすいです。良いところを箇条書きすると
(お客様側)
・対面と違ってわからないところを繰り返し見られる
・アーカイブを残せば都合のいい時間に見られる
・わからないところや要望をLINEで送れる
(配信側)
・1対1でも1対100でもコストが変わらずクオリティも下がらない
・指導対局と違って差別化がしやすい
・配信側も都合のいい時間にやれるので時間的制約がない

冒頭に書きましたが「ソーシャルディスタンスを保つ」ということを考えると指導対局の座席数を減らさざるを得ないと同時に講義のようにたくさんの人を入れる形が取れないという問題が発生します。それを解決する方法として、講義のオンライン化で対面の講義の時間を減らし、指導対局をする時間やコマ数を増やして座席数減に対応するというのがトレンドになるのではないでしょうか。

③最大の問題はお金とトラブル発生時
今オンラインで色々仕掛けている方の悩みはここにあるでしょうし、だからYouTuberになる方が増えているのではないでしょうか。
指導対局などは基本前払いという形になりますが、前払いだと払ったお金に対する価値が想像と違った場合クレームになるでしょうし、それを踏まえて後払いにすると資金回収という新しい仕事が発生します。今まで「将棋教室」という中間機能があったのでその役割を将棋教室にやってもらって教える側は指導に集中するということができましたが、オンライン指導でダイレクトに繋がるとその中間機能を担ってくれた人がいなくなります。この面を考えるとオンライン指導がこの先爆発的に広がるかというとそうはならないんではないかというのが現時点での考えです。

 先日オンラインであるイベントを行いましたが(100%こちらのミスで)問題が発生しました。その際すぐ解決した理由はお客様が長く教室通っていた方で信頼関係が成り立っていたから(なはず)でしたし、後払いという形を取りましたが資金回収がすぐできたのも参加者がすべて教室のお客様だったからでした。

 運営側にとってオンラインで何かをやるというときにトラブルを避けるにはどうすればよいかを考えると「お客様を対面で会ったことのある人に限定する」というのがかなり運営側のリスクを下げる要素になります。まず先ほど書いたように回収リスクがグッと下がります。またお客様の側もこの先生の指導はこんな感じ、この教室のイベントはこんな感じと知っていればオンラインになっても安心して参加できます。
 つまり発信側の選別もより一層進みますが、「お客様は神様」ではなくお客様側にも運営側が安心して買い手になってもらえる存在になるという面が発生するのではないでしょうか。

 こうなると緊急事態宣言が解除されて各地の教室が再開したときにどうすればよいか、ぜひお近くの教室に行ってください。そして旅行のような移動の自粛が解禁された日には行きたかった教室にスポット参戦してください!そうすることで仮にコロナ第2波が来たとしてもその時のオンライン将棋ライフが今回より楽しめるようになるはずです。

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