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おれは、いずれガジェットは人体のエネルギーで充電するようになる、という話が、スーパーハカーキャラのデザインに及ぼす影響について考えた。(ネットサーフィン記2020/9/1)


ロシア、熱を電気に変換するテクノロジーを進捗させる

「人体を電気エネルギーに転化する」と言われると、何かスゴイことのように見えるが、温度差を利用した熱電発電自体は古くから原理が知られているものである。いかに高効率化を実現するかというのがテーマの領域であり、たぶん、世界中で研究されている。

記事が参照する元ネタの抄録をざっと見た感じ、人間の体温でスマホを充電するほどのことはまだ全然言っていないようで、電極材料が高価であることなどがネックだった熱電交換セルに、ニッケル中空微小球状電極を用いたりしたところ、今までで最高の変換効率を示した、といった話のよう。コストと効率の両方で進歩した、ということだろう。

確かに、シロウト感覚として、暑いところには熱があるわけだから何らか電気エネルギーが取り出せそうなのはある。しかし、結局のところ、熱源があればそれでお湯を沸かして、運動エネルギーに変えて電力を取り出すのが一番効率が良い、という状況が21世紀に至ってもずっと続いているわけである。熱力学第二法則が言う通り、電気エネルギーを取り出すのはなかなか大変なのだ。

蒸気機関の発明ももちろんだが、つくづく、大量に水があり、それを利用しやすい気温であるというこの惑星の特徴が、テクノロジー進化の方向性にも大きく影響するのだなあと感じるところである。

逆の、電気で温度差を作り出す方法として、ペルチェ素子を用いたものが、エクストリームPCマガジン、DOS/Vパワーリポートあたりの一部界隈では昔から有名であるが、今のところ、熱媒体を用いる普通のヒートポンプ(要するにエアコンみたいなやつ)に効率では勝てていない。こちらは、熱媒体に圧力を加えることにより、熱移動を行う。

こういった何らかの媒質や物理的な変換を用いず、熱電素子を用いた熱と電気の変換が望まれるのは、ゼーベック効果(発電)、ペルティエ効果(熱移動)のいずれを用いるにせよ、小型化が必要とされる場面になるだろう。要するに湯を沸かしたり、水を循環させたりするスペースがなかったり、保守の観点から、そういう動く部分がないほうが、コストが抑えられたりする場面だ。

つまりそれは、イメージで言えば電池の代わりになる場面である。発電を行うだけであれば、大規模な発電所で行うほうが効率が良い。これは将来もあまり変わらないだろう。しかし、腕時計なんかで運動エネルギーを電力に変換しているように、使う電力がさほど大きくないのであれば、マイクロ発電装置を組み込んで、そこで発電してやればよい、という考え方がある。電気のデリバリーにもコストがかかるからである。

そういえば、小型振動発電がしばらく前に多少話題になっていて少し記憶がある。押された瞬間だけ信号を発すればいいボタンみたいなものは、そもそも押すことから生じる物理的な変化がある以上、理屈上は運動から電力を取り出せるはずである、といった類の話だ。

電池も日々進化を続けているところだが、“ポスト電池”を小型発電装置なのか熱電発電装置なのか超小型太陽電池なのかわからないが、そういったものが担うようになる日も、そう遠くはなさそうな気がする。確かに、人類は、いい加減リモコンの電池を交換する作業から解放されてもいいだろう。いやまあ、最近は電池もなかなか切れないが。

人体から電力を取り出すといったいどうなるか

えらくマジメに書いてきたが、ちなみに、おれが最初にこの記事を見たときに思ったことを恥ずかしげもなく書いておこう。

まず人間のエネルギーで発電するとなると、結局は、すごく腹が減るようになるだろう。人間のエネルギー源は主に食料であり、なんか食べ物を分解したりして熱を産み出す。たぶんそういう仕組みだ。だから熱を奪われると腹が減りやすくなるはずだ。つまり未来では食料は現代以上に重要な資源となる可能性がある。たぶんビジネスマンなら5食ぐらい食う。

しかし、そうなってくると、様々なガジェットを駆使して現場で活躍するタイプのスーパーハカーのようなキャラ・・・つまり、電子ロックの前で端末をカチャカチャして解除する係りのやつだ・・・も、相変わらずインテリジェント炭酸飲料とピザをめちゃくちゃ食うのは食うが、ガリガリにやせている、といった風貌で描かれるようになるのかも知れない。

たぶん、新羅ビルめいた邪悪な施設のシステムをダウンさせた後、ピザのデリバリーを頼むとか言って、ガクりと眠りに落ちるのだろう。主人公は、気のいいタフガイで「ああ、最高のやつ、クワトロなんとかを頼んでやる」とか言って最後の戦いに赴くのだ。

おそらく、出会った当初は、いきなり銃を突きつけ、「情報を出せ」「よしてくれよぅ」みたいなやり取りをする。当初は観客もこいつは完全に腰抜けのNerdで信用ならないやつだと思うが、意外なところで勇気や人情味を示し、最終的にトモダチになるタイプのやつだ。そこそこ人気も出るだろう。そして、腹が減って死ぬのでは?と一瞬だけ観客に心配させるが、最後は笑顔でポテトとかを食って生き延びていることが示されるというわけだ。

あともう一個、人体エネルギーで発電するのであれば、暇なやつに自転車をこがせたり、奴隷にデカいまわるやつをぐるぐるさせたりするほうがより効率がいい可能性があるな、と一瞬思ったが、だったら家畜を使うだろうと気づいてそれいじょう考えるのはやめた。

つまり、ひどく、くだらないことを思ったのだ。



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