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「BUZZMAFFウォッチ」というほど見てはいないが、着実に育ってきている農水省の例のチャンネルについてのアップデート

■ BUZZMAFFの近況

ずいぶん前に、農水省のYoutubeへの取り組みである「BUZZMAFF」について紹介した。

まあ、我ながらずいぶんなタイトルだが、基本的に取り組みを応援しているということだけは誤解なきよう予め言っておきたい。

気が付けば2021年9月に10万登録者、現在ではチャンネル登録者14万、再生数10万越えの動画も50本ほどと、なかなかのチャンネルに育っている。ちなみに、行政、政府機関のYoutubeみたいなことで言うと、やはりジャンル的に熱心なファン層がいる自衛隊が圧倒的であるが、Youtuberっぽさみたいなことで言うと、農水省はやはり圧倒的であろう。

自衛隊関係を除いた総再生回数で行くと、2008年より運用している文部科学省の31百万には及ばないものの、2020年に運用開始というかなり最近のチャンネルであるにも関わらず総再生回数23百万と、驚異的な成長を遂げている。

何が違うかというのは、ひとめ見ればわかることだ。官庁としての役割、目的はありつつも、うまく遊びを取り入れることに成功している。

最近では、国産米の消費拡大を図るために、「デリシャスパーティー プリキュア」を推していくことを表明したことが話題となった。

「デリシャスパーティ♡プリキュアについて」

BUZZ MAFFの立ち上げ以来、中心的に運営に関わってきた白石氏が結構ガチでプリキュアファンであるともっぱらの評判である。歴代のプリキュアを全部言えるらしい、というかほぼ全部言えていた。

「上司とプリキュアを語ってみた。」

プリキュアには学びがあるという噂はかねがね聞いている。自分も時間が無限にあれば見てみたいが、さすがに本数が…

その他のネタとしては、昨年末の牛乳を消費使用的な運動きっかけで、「打首獄門同好会」とコラボ。

農泊PRのためにピコ太郎とコラボ。

などと、着実に育っていっている様子がうかがえる。

しかし、自分も今のプリキュアが食をモチーフにしているとは知らず、今回、BUZZMAFFきっかけで知ることとなった。チャンネル登録者数やPVが増えていくにつれて、BUZZMAFFの影響力は増していくことだろう。今後は、様々なコラボ等の可能性が広がっていくのかも知れない。そうなったときに、ある意味政府が特定の企業やコンテンツを半ばバックアップしていくようなことがどうなのか、といった問題も出てくるだろう。

ネットの世界では必ずしも行政機関は力のある存在とみなされてはこなかった。しかし、現実の社会では、行政機関が大きな権力を有していることは間違いのないことである。それが、ネットでも力を持ち、強力な情報発信力を有するとなると、そのあるべき運用みたいな議論はいずれ出てくるのだろうと思う。

■ 最近のマイおすすめコンテンツ

以前の記事で、農業遺産で太鼓を叩くという企画なのに、どこにも行かないし全然叩かない、として紹介した「農業遺産で太鼓叩き隊」というシリーズがある。当時はそのシュールさが、それはそれで良かったのだが、徐々に外に出ていく感じの動画が出てきて、今後期待ができそうな感じになってきているので紹介したい。

ちなみに、最新の動画は、奥出雲の「たたら製鉄」についてである。

なぜ、農水省でたたら製鉄かというと、島根県奥出雲地域は2019年2月に「たたら製鉄が生んだ奥出雲の資源循環型農業」として日本農業遺産に認定されており、世界農業遺産への申請が行われている、とのことである。どうやら、砂鉄を採取した鉱山跡地を計画的に耕地に造成するといったことが行われてきたらしい。

そもそも、農業遺産というもの自体にあまりなじみがないわけであるが、話を聞いてみると、なかなか興味深く、見分を広げるのに非常にタメになる。というか、そもそも砂鉄を使った製鉄の話がシンプルに面白かった。

もう一つおすすめをあげるとすれば、愛媛県の農業遺産をめぐるツアーを旅行会社でプレゼンしてみた、という企画だ。

これは例えば観光PRみたいなことを旅行会社とコラボしてやるにはどうすればいいのか、という現場の雰囲気が見える感じで、とても面白かった。企画自体は、旅行のPROにダメ出しをされるわけだが、それも同じく旅行の素人である自分などにとっては、なるほどそういう風に考えていくのかと勉強になる。まあ、どこで役に立つかはわからないのだが。

とはいえ、旅行の行き先をを考えるときに、農業遺産どうだろ?っていう引き出しができるのはありだよね。

「農業遺産で太鼓叩き隊」は、農業遺産なる耳慣れないものをいかにPRしていくか、という試行錯誤が垣間見える企画だ。この企画を推進する吉村氏の体当たり感と、ガッツのありそうな感じが見どころである。どうも再生数には恵まれていないようだが、外での体当たり感のあるロケが増えていけば、なんか可能性ありそうな気がするので、今後に期待しつつ、引き続き応援していきたい。

少なくとも、自分はこれきっかけで農業遺産というものを知ったし、資源を持続的に確保する仕組みだったり、不利な土地を有効に利用する工夫や、中心的な産業から生まれる波及的なものやことを他の産業に活用していって、地域が成り立ってきたという仕組みはとても面白いと思った。

過去何百年という単位で続けられてきた営みというのは、昨今のSDGs的な何かを考える上でも、いろんなことを教えてくれるように思うし、新しいビジネスを考える上でもヒントを与えてくれるだろう。なにより、短期的な視野に陥りがちな昨今、長い目でものを考える、ということを教えてくれるような気がする。

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