ファインマンが、スペースシャトル「チャレンジャー号」爆発事故の原因究明のために召集された「ロジャーズ委員会」のメンバーに入るよう依頼を受けたとき、彼に参加を強くすすめたのは、妻のグウィネスだった。彼女は彼にこういった。「あなたがやらなければ、委員は全員いっしょになってあちこち見て回ることになるわ。でも、もし、あなたが委員会に参加すれば、その間に一人でそこら中を走り回って、何か異常がなかったかを調べて回るでしょう。何も異常はないかもしれないけども、もし、あれば、あなたなら見つけられるわ」グウィネスの予想どおり、ファインマンは独自の取材や査察によって多くの情報を収集していったが。委員会の事務方の指示を無視し、メンバーが守るようにいわれていたガイドラインに多くの疑問を呈した。そして、ある会議の席上、ファインマンは、(事務方が彼を制止しようとしたにもかかわらず)議事を中断して、スペースシャトルのOリングをビーカーの冷たい水に漬け、このリングの弾性が失われることを実験して見せた。ちなみにこの水の温度は0度で、ちょうどチャレンジャー号が打ち上げられた日の気温と同じだった。