見出し画像

逆U字カーブと学習者分析 ID学 vol.4

ARCSモデルでもって授業を振り返ったりすると、これって関連性?自信?みたいなことってよくあるんですけれども、ARCSにはそれぞれ3つの下位分類枠があるので、全部で12のカテゴリがあるということになっておるそうです。そもそも、パッキリと「これは自信です」と分けられるものではない(現場の事象が)と思うし、大学院でもそのような趣旨のレポートを書いた記憶がある。でもこの12分類をみると、より具体的にARCSの要素がつかめるような気がする。のちにくわしく(今くわしすぎる理論に辟易しているところ)出てくるので、ここではトばして、逆U字カーブについて、へーと思ったので書く。

J. M. ケラー(著)・鈴木克明(監訳)『学習意欲をデザインするーARCSモデルによるインストラクショナルデザインー』(北大路書房)

逆U字カーブ

逆U字ということは、山型ということですね。グラフの縦軸に学習成果(下から上に向かって高くなる)をとり、横軸に学習意欲(左が低すぎ、真ん中が適度、右が高すぎ)をとると、線は山型になります、という話(書籍のグラフをコピペするのもなんだし、書くのは面倒だしということで言葉を尽くして説明)。学習意欲が低ければ成果が上がらないのはわかるとして、学習成果というは学習意欲が適度にあるときを頂点として、それ以降(学習意欲が高くなると)下がり始めるという山型曲線。なんか、へーって思うんだよね。モチベーションが高けりゃいいってもんじゃないのねって思って。そういえば、わたしもかなり気合が入っているときって、ドキドキワクワクしすぎて始めることさえできないことがある。学習意欲が適度を超えると、緊張や不安から成果が出ないという、日本語でいうなら気負いすぎというところでしょうか(違う?)。思い起こせばたしかに…と思って、2度へーっと思ったのでありました。

学習者分析

まずはやってみたの図

学習意欲デザインの10ステップが早くも第3章に出てくるんだけど、その中のステップ3「学習者分析」を、現段階の知識で自分の現場に合わせてやってみた。学習者分析は専門家や現場教師の「たぶんこうだろう」に基づいてなされることもあるし、調査データから行う場合もある。基本的にはARCSの12の分類枠にしたがって記述するが、逆U字カーブの図上に表すこともできる、ということなので2通りでやってみた。

調査データはとれないので、赴任して2週間のよくわかっていない教師による「たぶんこうだろう」でARCSの4つのカテゴリそれぞれについて記述するパターンと、同様に「たぶんこうだろう」に基づいた逆U字カーブを描いてみた。さらにいえば、まだ12の下位分類について読み込んでいないので、かなりざっくりとしたものになり、「だからなにか?」という結果ではあるけれども、やってみたことに満足。自分ごとにしないと、読んだ先から忘れてしまうし。

★A(注意)
これに関しては自信をもって「ない」といえる。努力はしたけど(今だってもちろん心がけてはいるけど)方針やカリキュラムがしっかり定まっていない状態では効果的なアテンションはできそうもない。次のタームでは少し改善したいけど…
★R(関連性)
「JLPTのN2が日本での就労に必須」と聞いてきたんだけど、どうもそうではないらしい(そもそもN2条件を疑問視する声はとりあえず却下)とはいいつつも、かなり近い将来の自分の仕事に直結するわけで、関連性は十分じゃないかと考えた。ただ、授業という観点で考えると、果たして関連性を感じているのか。N2を受けるところまできたら、自分で勉強するほうが効率的だと考える人も少なくないはず(わからないことだけ聞ければいい)。または勉強のペースメーカーとしているか、それとも丸投げか。あくまでも「授業」ということで考えれば個人差がありそう。
★C(自信)
今の時点で自信は大きく①やっていることに対する自信②達成できそうだという自信の2つと捉えているんだけど、①には当然、コースの見通しやシラバス、カリキュラム、評価基準などの提示が必要なんだけど、それがどれもない(そもそも存在しない)。②に関してもあるとは思えない。授業の割り当てが詰め込みすぎで説明しかできないなど、非常によろしくない。さらに、今までなんとなく漢字をスルーしてきたツケが回ってきたらしく、そこかしこで不具合が発生している様子。サボってきた漢字を今さらやっつけで読めるようになるわけもなく、「漢字がわからないと、何もできない」と悟ったようにいわれても、「だよねえ」としかいえないし(愚痴になってしまった)。
★S(満足感)
ここで勉強してとにかくN3まで取った(ゼロからはじめて1年もたっていない学生)という成功体験が満足感につながるのではないかと考えた。

今書いていてすでに「なんか違う気がする」(本読み自体はもう少し進んでいるので)と思うものもあるけど、とにかくざっくりとやってみた。ざっくりすぎて、「だからなにか?」と思うと同時に、あらためて一体どんな現場で働いてるんだ感を強めた学習者分析でした。

教師のビリーフ

最後のほうがなんか愚痴になってしまったので書くと、赴任して愕然としたのは事実。4カ国目にしてはじめて強くカルチャーショックを受けた。でも最初のショックが去ったあと思ったのは、あくまでもそれは自分目線だということ。たとえば「日本語教育を全然知らない」とか「専門家がだれもいない」とか「ありえない、カオスだ」とか、そういうの全部、わたしからの見え方であって、だれもそう思っていないのに「カオスだ!カオスだ!」と叫ぶのはちがうなと(叫んでないけど)。じゃあ、どうするのかというと、まずはコミュニケーションと受け入れることかなと。そう思って穏やかになる週もあれば、求人情報を漁る週もある、人間だもの。