数学ギョウザ

営業先から戻ってきたら「数学ギョウザ」というメモが机の上にあった。
間の悪いことに事務員は銀行へ行っているらしい。

「数学ギョウザ」という営業先はない。

「数」「学ギョウ」「ザ」

「数学ギョ」「ウザ」

「数学ギョウ」「ザ」

考え得る限りの可能性を考えてみた。

「数学　偽陽」・・・ザはもしかして「サ」の書き間違いかもしれない。
「数　学　偽陽　さ」

ふむ。
「かず　まなぶ　さんはコロナの偽陽性なのかもしれないな」

メモを前に妄想がはかどり始めた時、銀行に行っていた事務員が戻ってきた。彼女はオレが眺めているメモを見てギョっとして、サッとそのメモを搔っ攫った。

「菅さんすみません、これ、落書きで・・・こんなところにあったなんて・・・あはは・・・」

そうか、偽陽性の学さんはいなかったんだ。

あーもう！！
こんな憂さ晴らしメモを落としてたなんて・・・
『数　学　ギョ　ウザ』＝「す　が　ギョ（っとするほど）ウザ（い）」の意味がバレなくて良かった・・・