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『敏感すぎる私の活かし方』を読んで


『敏感すぎる私の活かし方』を『「繊細さん」の本』と比較して、振り返る。

両方の著者が共通して伝えようとしている点

 ・HSP(Highly Sensitive Person)は生まれ持っての気質である
 ・現代社会では、HSPの気質によって生きずらいこともある。
  ただし自分を卑下する必要はない。
 ・HSPの気質を活かして、それぞれ幸せになろう。

2冊の異なる点

『「繊細さん」の本』(以下『繊細さん』)
・HSPに向けた実用書である点

『敏感すぎる私の活かし方』(以下『敏感すぎる』)
・HSPという心理学分野を、『繊細さん』より幅広く説明している点
・自身の過去を振り返ることで、自己認識を促している点

『繊細さん』はすぐに実行できる技術が複数記載されている。帯にもある「電話は3回に2回は無視する(他の人にとってもらうようにする)」は、自分でやってみると、それに効果があるかどうか検討の余地が生まれる。読者が効果を実感するまでに時間がかかる。近々のストレスで困っている人は手っ取り早く現状を脱する必要がある。まずは上述の技術をそのまま試すことで、早く効果を実感できる点は助かる。もし、自分に合わなければやめればよい。改善の余地がありそうなら、効果を先に確認したうえで、適宜調整していけばよい。

一方『敏感すぎる』は、HSPという心理学分野が生まれた経緯・事例を『繊細さん』より詳しく記載している。また、幼少期や自分の恋愛経験を振り返ことで、現在の自己認識を深めることも提案している。自己認識を深めることで、より自身がHSPであることを受け入れられる。『繊細さん』に記載のある技術の効果を高めることにも繋がる。

感想

現状HSPであることに大きなストレスを感じているのであれば、まずは『繊細さん』を一読することを薦める。複数提示されている技術から、まずは一つ実行してみる。実行した分、現状に余裕が生まれるはずだ。この余裕をより大きなものにするために、自分のHSPであるという気質を更に理解するたみめに『敏感すぎる』を読むとよい。

HSPという概念は1995年ごろからあった。私が『四角い心が丸くなる心理学の本』を読んで、心理学に興味を持った頃だ。過去は変えられないと分かっていながら「もっと早くHSPを知っていたら、だいぶ人生が変わったな。少なくとももっと楽に生きれた気がする」と思わずにはいられない2冊だった。いつのまにか自分が描いた「男らしい男」「あるべき社会人」を目指していた。自分の気質に合わない生き方をしてきたな、と振り返る。ありがたいことに死ぬまでにこの2冊に合うことができた。これからは、より自分を受け入れて生きていくことができると思うと少し、いや結構ワクワクする。
夏の日差しは35度を超える。コロナ禍によって世界の生産は縮小している。自分を受け入れれば全てが好転するわけではないけれど、力強く軽やかに進んでいこう。

参考 2冊それぞれの目次

武田友紀『「繊細さん」の本』(株式会社飛鳥新社 2018年)


はじめに
第1章 繊細さんがラクになれる基本
 こんなあなたは「繊細さん」
 「人といると疲れる」のはなぜ?
 私って、細かすぎるの?
 他人の機嫌に左右されてしまう
 繊細さんは自分のままで生きていける
繊細さんストーリー1
 自分を変えるのではなく、自分に合うことを探す生き方へ

第2章 毎日のストレスを防ぐカンタンなワザ
 「刺激」から自分を守る工夫
 五感別!刺激の予防方法
 五感別!回復を早めるケア方法
 「休みたい」と思ったら休んでも大丈夫?
繊細さんストーリー2
 自分に合う環境で力を発揮する

第3章 人間関係をラクにする技術
 繊細さんにとって「最大の罠」とは?
 自分を出せば出すほど、自分に合う人が集まってラクになる
 「配慮が足りない人」に振り回されない方法
 「キライ」は大切なセンサー。人を嫌えるようになろう
 相手の気持ちはどこまでわかる?
 相手と境界線を引いて自分のペースを守る
 人に頼れるようになる習慣
 「相手を助けているの報われない」と思ったら
 心の深さには個人差がある
 「繊細さん仲間」を見つける方法
 「繊細さん✕非・繊細さん」パートナーシップのコツ
 「繊細さん✕繊細さん」パートナーシップのコツ
  自分の居場所は自分の中にある
繊細さんストーリー3
 自分の感覚を肯定し、共感できる人と繋がる

第4章 肩の力を抜いてのびのび働く技術
 繊細さんが仕事で消耗するのは身体よりも「頭」
 マルチタスクを乗り切るシンプルな習慣
 「繊細さんは仕事が遅い」は本当?
 最大の悩みー「いつも私だけ忙しい」から脱出するには?
 「気づかないあの人」の真似をしてみよう
 「いいと思えること」を仕事にする
 不機嫌な人への対処法ー他人の感情は放っておく
 「がんばっても自信を持てない」ときのチェックポイント
 「幸せに活躍できる仕事(適職)」選び方
 全力で逃げるべきときがある
繊細さんストーリー4
 まわりに相談することで、働きやすい環境を作る

第5章 繊細さんが自分を活かす技術
 私が自分の「繊細さ」と仲良くできるまで
 繊細さんに共通する「5つの力」
 自分の本音を大切にすると、どんどん元気になる
 自分の本音を知る3つの方法
 毎日の小さな「こうしたい」から、叶えていく
繊細さんストーリー5
 本音をつかんで元気を取り戻す

エレイン・N・アーロン『敏感すぎる私の活かし方』(パンローリング株式会社 2020年)


まえがき 2020
序文
HSP自己診断テスト
1.とても敏感であるということ ー 欠陥であるという(間違った)感覚
2.さらに先へ ー あなたの性質を理解する
3.HSPの健康状態とライフスタイル ー 幼児/身体から受け取る愛と学び
4.子供時代と思春期をリフレーミングする ー 自分を育てる方法を学ぶ
5.社会生活 - 「内気」になること
6.職場で輝く - 歓びに従い、光り輝く
7.親密な人間関係 - 繊細な恋愛という挑戦
8.深い傷を癒す ー それぞれのプロセス
9.医師と薬とHSP ー 医学における未知の領域を開拓する
10.魂とスピリット - 真の宝がある場所
 HSPと関わる医療従事者のためのヒント
 HSPと関わる教育者のためのヒント
 HSPと関わる職場仲間のためのヒント

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