コントH〈孤独〉

=Hから始まるとある会話=

A「ひどい話だ」

B「どうしたんですか?」

A「誰も私の話を聞いてくれない」

B「何があったんです」

A「何を話しても君は信じまい」

B「少なくとも、私はあなたの話を聞き始めました」

A「そのことは信じてもよさそうだ。それでは何から話そうか」

B「はい」

A「いや、よそう。話したところでたいした話ではないのだ」

B「ああ。もうこのやりとりをあなたと繰り返すのは何度目でしょう。このままではきっとあなたは誰からも話を聞いてもらえない、いや、誰にも話をできない。失礼します」

A「ああ、そこを行く人、話を聞いてくれないか、ひどい話なのだ」

C「どうしたんですか?」

A「誰も私の話を聞いてくれない」

C「その話は聞くに値する話ですか」

A「いや」

C「そうですか、ではさようなら」

A「さようなら」



#ショートショート #超短編小説 #たわ言

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