合法的な落書き (リーガルウォール)

*2020年7月WALLSHAREのサービスはWALLSHARE株式会社に移行いたしました。

リーガルウォール

近年、合法的な落書き(リーガルウォール)が日本のあちこちでも見られるようになってきました。東京では「Legal Shutter Tokyo」といったプロジェクトが進行していて、街中のあちこちでアート作品を鑑賞することができます。

リーガルウォ ールの活動は 1980 年代にアメリカ各地で、1990年代にヨ ーロッパの都市で、非合法的に描かれる「グラフィティ」への歯止め対策として導入されました。敢えて合法的にアート表現ができる場所を設けることで、「街で自分の絵を表現したい!」という強い意志を持った若者などが多く賛同し、完成度の高い壁画制作が行われるようになりました。


国内外の街に描かれる落書きをテーマにして研究を行う、東京都市大学工学部建築学科准教授小林茂雄氏はリーガルウォールについて以下のように言及しています。

落書きは、街の景観を汚してしまうだけでなく、他の落書きを助長し治安を悪化させてしまうおそれがあります。しかしながら、描写力の高い落書きやグラフィティは、街を豊かにしていく可能性もあります。現在、社会問題となっている街の落書きについて、否定的な側面や肯定的な側面など様々な側面から研究し、街の絵を違法な落書きと合法な絵とに分けて論述しています。

著書も出版されていようです。
ご興味ある方は一度目を通して見ると面白いかもしれません。


世界中のリーガルウォールが検索できる

Find legal graffiti walls around the world」を使用すると、世界中のリーガルウォールが一発で検索できます! 2020年4月8日(水)現在によると「2043つ」のリーガルウォールがウェブサイトへ掲載されています(すごい数ですね)。

まだまだ掲載されていない作品も多いですが、既に観光地となっている場所や、マイナーなアート作品をウェブ上から検索することができ、新たな観光産業へ寄与することも期待できます。

特段、欧州や欧米が比較的アート作品が多いように見受けられます👇


日本/関西でもリーガルウォールは増えている

ご存知ない方も多いかもしれませんが、関西でもリーガルウォールは確実に増えつつあります。今回は、兵庫県神戸市とWALL SHAREが共催で行ったリーガルウォール(ミューラルアート)の一例をご紹介します。


場所は、大自然が広がる兵庫県神戸市西区「伊川谷駅」。

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画像参照元:Wikipedia

神戸市では、まちの玄関口である駅前空間の活用をし、まちの質・くらしの質を高め向けた検討を行っており、最寄駅から始まる豊かな暮らしを目指す取り組みを行っています。

駅に愛着が持てる憩いの空間をつくりたいことから「ミューラルアート」の導入が決まり、WALL SHAREでは統括ディレクションをお手伝いさせていただきました。


●アートのコンセプト
1 日常的に居心地が良い
2 大地の恵み
3 空を感じる(青色)


参加したアーティストは2名。

WHOLE9(simo)

大阪を拠点に国内外で活動する二人組のアーティストユニット。ライブペイントと壁画制作を得意とし、経験とセンスを活かしてハイクオリティな作品を作り上げてきた。人物や動物など具象的モチーフを描くhitchと、自然からのインスピレーションを抽象的に描くsimoにより、二人で1枚の世界を描く。一人では創れない作品を通じて、絵のある暮らしを日常にもたらし、気の合う仲間と日々を彩っていくライフスタイルを提案する。

神戸市が求めるコンセプトを実現するため、自然や抽象画を得意とするsimoさんにはぴったりな作品に仕上がると思い、今回プロジェクトへの参加をご依頼。

実際のアート制作風景👇

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約8時間ほどで「高さ2メートル×横2メートル」のミューラル作品を仕上げていただきました。

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お二人目はこの方。

神戸芸術大学 廣中薫准教授

廣中薫准教授 個人サイトはコチラ

鎌倉生まれ。多摩美術大学 絵画科油画専攻(現代美術コース)卒業。/鎌倉+神戸北野、2アトリエにて制作。 ジャンルを問わず、多種なメディアにてアートワークを展開。平面(雑誌 広告 書籍 CD他)・立体・CG制作、タイトルロゴ・キャラクター制作、舞台撮影美術・壁画・ライブペイント制作。国内外にて展覧会開催。その他、展覧会企画・ワークショップ等、幅広く活動中。TIS 東京イラストレーターズソサエティ会員。 神戸芸術工科大学准教授。

地元の方の協力も得たい、地域住民が愛着が持てるアート作品にしたいとの要望から、神戸市西区に所在する神戸芸術大学の教授、学生さんとアート作品を仕上げていただくご依頼を行いました。

※2020年4月8日(水)時点では、新型コロナウイルスの影響により学生参加型のワークショップは延期しています


実際のアート制作風景👇

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廣中先生は約2日かけてアート作品を完成させていただきました。
今後は学生とワークショップを行い、作品へ磨きをかけていく予定です。

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変動性(Volatility)不確実性(Uncertainty)複雑性(Complexity)曖昧性(Ambiguity)が問われてきた世の中、合法的なアート作品の需要が高まれば幸いです。

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