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花に嵐の映画もあるぞ(洋画編)。

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わたしの好きな映画を、「褒めること」意識してつらつら書いていきます。 取り上げる映画は、時にニッチだったり、一昔前だったりしますが、 そこは「古いやつでござんす」と許して、ご容赦… もっと読む
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#レジスタンス

映画「ハイドリヒを撃て!ナチの野獣暗殺計画」_やったが最後、タダで済むはずもなく。

「目的のためには手段を辞さない」ひたむきさ、一種のテロルの輝きを、鋭利に描ききっている。喉に棘を刺すような後味を残す、映画だ。 キリアン・マーフィは、スネ夫ヘアーの後ろに暗い激情を秘めて。ジェイミー・ドーナンは、平穏な暮らしを求める夢を秘めて。二人は亡命政府の勅使として、「自国への報復を恐れず」暗殺決行へとのめり込む。 [ あらすじ ] 第二次大戦中期、ナチスがヨーロッパのほぼ全土を制圧していた頃。イギリス政府とチェコスロバキアの亡命政府とが協力して極秘計画を練る。パラシュ

1959年金獅子賞受賞「ロベレ将軍」_何故、仮面を引き受けた?

これは、偽りの仮面を引き受けた男の物語だ。名を騙る。最初はほんの軽い気持ちだった。 第二次大戦末期のレジスタンスの英雄、デッラ・ロベレ将軍にまつわるきわめて奇異でイタリア的な実話をネオレアリズモの旗手、ロッセリーニが軽妙に、劇的に描く、『無防備都市』をひっくり返したような異色のヒューマンドラマ。その弛まざる演出に応えた役者、デ・シーカが渾身のアンチヒーローを体現し、最低の詐欺師の中にも奇跡的に芽生える正義感(ないし人間的使命感)を表して尋常ならざる感動を呼ぶ。 【スタッフ】

映画「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」_おれがやめたら、だれがやるのだ。

焼け跡からしぶとく立ち上がり、逞しく生きていく人間たちの美しさ、醜さ。 レジスタンスのものがたりは、イタリアにも存在する。 第二次世界大戦が終わった時、イタリア映画にはネオ・リアリズモが起こった。 資金も撮影機材もままならぬ状況にもかかわらず、監督たちはメガホンを取った。 最小限のスタッフと機材、出演は素人、撮影はロケのみ。 そんな逆境が、次々と傑作を生み出した。 そこには、社会に潜む悪を告発する、戦争という理不尽の極みを生き延びた人々の”真実の叫び”があった。

映画「戦争は終った」_勝手に終わらせるな。レジスタンスの孤独。

エヴァンゲリオン新劇場版四部作を貫くのは、「レジスタンス」の精神だと気づいたのは、「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」を観てからのことだった。 「Q」より登場する一見異様な反ネルフ組織「WILLE(ヴィレ)」の体質にも、それが現れている。ミサトさんはシンジ(と観客)のヘイトを買うほど内部の掟に厳しく、アスカはケンスケとマリに、拠り所を求めている。 時に弱さ・脆さを見せ、偶に感情を噴き出しながらも、WILLEのメンバーは屈することなく、軍服を纏い、終わりのない戦いに身を投じて

暗中模索。アンジェイ・ワイダが刻んだポーランドの記憶、「地下水道」。

ワルシャワ蜂起とは、第二次世界大戦後期の1944年、ナチス・ドイツ占領下のポーランドの首都ワルシャワで起こった武装蜂起のことを指す。 ナチス・ドイツを押し返し、赤軍占領地域がポーランド東部一帯にまで及ぶと、ソ連はポーランドのレジスタンスに蜂起を呼びかけた。7月30日には赤軍はワルシャワから10kmの地点まで進出。占領も時間の問題と思われた。レジスタンスたち:ポーランド国内軍はそれに呼応するような形で、8月1日、ドイツ軍兵力が希薄になったワルシャワで武装蜂起することを赤軍と打ち