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花に嵐の映画もあるぞ(洋画編)。

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わたしの好きな映画を、「褒めること」意識してつらつら書いていきます。 取り上げる映画は、時にニッチだったり、一昔前だったりしますが、 そこは「古いやつでござんす」と許して、ご容赦… もっと読む
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#ジェンダー

「誰が安全だけど閉ざされた生活を望むっていうの?」_"Amelia"

1927年のチャールズ・リンドバーグの快挙に続き、1932年に女性として初めての大西洋単独横断飛行を果たした女性パイロット:アメリア・イアハートの伝記映画「アメリア 永遠の翼」より。 現代でもなお、世界の女性パイロットは10%にすら満たない。 当然、数十年もさかのぼれば、女性がパイロットになること自体がとても珍しいことだった。 アメリア・イアハートは、女性パイロットたちの草分け的存在だった。 1897年生まれの彼女はドイツ系の裕福な家庭で育ち、24歳で初めて飛行訓練を受け

映画「ビッグ・シティ」_60年代、早くもサタジッド・レイは"女性の社会進出"に踏み込んだ。

トリウッドやボリウッドほか所謂「マサラ・ムービー」が席巻する以前:かつて日本におけるインド映画といえば、サタジット・レイの文学的で芸術的な、岩波ホールで上映されるような映画そのものだった。 今回はそのうちの一つ、1963年に公開された「ビッグ・シティ」を紹介したい。都市の生活と家族の価値観が衝突する様子を描き、現代社会における女性の地位と役割に焦点を当てた、今見ても全く古びないテーマだ。 60年代前半、カルカッタに住むとある三世代同居のMazumdar一家。眼鏡をかけて生真

ダスティン・ホフマン主演「トッツィー」_くさった男が、シンデレラになる。

アカデミー賞には、複数:ときに十以上の部門にノミネートされながらも、一つの部門にしか賞が与えられない作品が、得てして存在する。 第55回アカデミー賞で10部門にノミネートされた「トッツィー 」など、その代表例だろう。11部門にノミネートされた「ガンジー 」に多くを攫われ、「トッツィー 」は1部門で受賞したのみ:助演のジェシカ・ラングにだけ与えられた。 相手が悪かったとはいえ、何ら落ち度はない。名優ダスティン・ホフマンの名演を見るだけでも、じゅうぶんにお釣りが来る。 原題の"