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花に嵐の映画もあるぞ(洋画編)。

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わたしの好きな映画を、「褒めること」意識してつらつら書いていきます。 取り上げる映画は、時にニッチだったり、一昔前だったりしますが、 そこは「古いやつでござんす」と許して、ご容赦… もっと読む
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#信仰

3つの糸が見事にこんがらかって消化不良。「夜明けの祈り」。

2016年に公開されたフランス・ポーランド合作の映画『Les Innocentes』(邦題:「夜明けの祈り」)より。 監督は「ココ・アヴァン・シャネル」のアンヌ・フォンテーヌ。 第二次世界大戦中のポーランドが舞台。ポーランドの修道院で働く若いフランスの修道女マチルドは、赤軍の侵攻により多くの修道女たちが妊娠してしまったという報告を受ける。これはソ連兵による強姦の結果。しかし、修道女たちはこの事実を外部に知られることを拒否し、社会的な非難や信仰の危機を避けるために秘密にしよう

“もう一人、後もう一人、救う力を。”_”Hacksaw Ridge (2016)”

前半で一本作れたのではないか?そう思える程濃く匂い立つ、戦った父 と 戦う子 のドラマ。メル・ギブソン監督「ハクソー・リッジ」より。 本作の白眉は、やはり何と言っても主人公が と呟きながら、取り残された傷病兵を一人、また一人と救い出す奇跡にあるだろう。 とはいえ、やはり日本人としては、日本兵の描写に「もやっと」させられる。 剥き出しの真っ白けた岩壁の上での殺戮と救出劇が、事実を基にしていながら、まるでこの世のものではないかのように、私の中では浮き上がってくる。 過剰な演

相克と赦し。映画「戦場のメリークリスマス」と原作「影の獄にて」。

1983年の邦画「戦場のメリークリスマス」は当時大ヒットを記録し 今でも「なぜか」クリスマス映画として親しまれている 大島渚監督作品 だ。 ジャワの日本軍捕虜収容所を舞台にしたローレンス・ヴァン・デル・ポストの小説「影の獄にて」の映画化を構想した大島は、イギリスの若手プロデューサー、ジェレミー・トーマスと組み、ニュージーランド領ラロトンガ島で撮影を敢行して本作の完成にこぎつけたが、衝突する日英の軍人をデヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけしという異色のキャストが演じて騒然