マガジンのカバー画像

花に嵐の映画もあるぞ(洋画編)。

183
わたしの好きな映画を、「褒めること」意識してつらつら書いていきます。 取り上げる映画は、時にニッチだったり、一昔前だったりしますが、 そこは「古いやつでござんす」と許して、ご容赦… もっと読む
運営しているクリエイター

#ドイツ映画

まだ東独があったから成り立ちえた危険な映画、いやほんと。「ローザ・ルクセンブルク」(1985年)

女傑、という言葉が似合う女性には、戦前日本なら市川房江、平塚雷鳥、与謝野晶子ら、女性の権利向上・社会進出のために尽力した政治的な人物が挙がるだろう。 戦前ドイツにも、同様の人物がいる。ローサ・ルクセンブルク。 彼女はマルクス主義者の理論家として、戦前日本においてことに知名度が高く、太宰治の「斜陽」にも、かくの一節がある。 そんな彼女の48で短く太く終わった人生を、「ハンナ・アーレント」(2012年)でやはり実在の人物を演じたバルバラ・スコヴァ(Barbara Sukowa,

死が二人を分かつまで。映画「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」

「Knockin' on Heaven's Door(ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア)」は、ボブ・ディラン(Bob Dylan)が1973年に発表した曲だ。 死後の世界を指すメタファーを含んだ歌詞は、同時に比較的シンプルで直感的であり、多くの人に深い感銘を与えた。歌詞には個人的な喪失や絶望感が反映されており、何か終わりに近づいている感覚が表現されている。また、死や死後の世界についてのテーマも含まれている。 本曲が西部劇映画『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯』に対する楽曲とし

水兵さんたち、胸騒ぎ。 ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの「ケレル」。

「古き映画は死んだ、我々は新しい映画を信ずる」 という、1962年2月の新しいドイツ長編劇映画創造のための宣言から始まった、以後80年代初頭まで続く西ドイツ映画における新しい監督世代の潮流:ニュー・ジャーマン・シネマ。 その運動を牽引したのが、ヘルツォーク、ヴェンダース、そしてライナー・ヴェルナー・ファスビンダー だった。その急死(82年)が運動の終焉の象徴とされた程、ファスビンダーは影響力を持っていたという。日本での知名度は皆無だが。 それもそのはずで、ファスビンダーは