マガジンのカバー画像

花に嵐の映画もあるぞ(洋画編)。

183
わたしの好きな映画を、「褒めること」意識してつらつら書いていきます。 取り上げる映画は、時にニッチだったり、一昔前だったりしますが、 そこは「古いやつでござんす」と許して、ご容赦… もっと読む
運営しているクリエイター

#インド

印パ冷戦のスパイもの。「ミッション・マジョヌ」。

インドとパキスタンの冷戦をNETFLIX映画「ミッション・マジョヌ」。 興味ある人もない人も、まずは独立後の印パの歴史からおさらい: インディラはサッチャーに並ぶ、いやそれ以上の「鉄の女」であった。1971年の暮れ、東パキスタン(現バングラデシュ)独立を助けて、インドが隣国パキスタンとの間に第三次印パ戦争をおこすや、インディラ・ガンディーはただちに電撃作戦を展開し、わずか二週間でパキスタンを降伏に追いこんだ。それは初代首相のネルー、2代目のシャストリも、ついになしえなかっ

"I am a Muslim, and a Hindu, and a Christian, and a Jew, and so are all of you."_"Gandhi"(1982)

1982年に公開されたリチャード・アッテンボロー監督の伝記映画「ガンジー」より。この映画は、インドの独立運動指導者であり平和活動家であるマハトマ・ガンディーの生涯を、ベン・キングズリーが演じた。 映画は、ガンディーの人生とその影響力ある運動を、歴史的な出来事・実在の人物とのかかわりを通して詳細に描写する。 具体的には、平和的な抗議活動、そして英国からのインドの独立を求める、文字通り血を流した努力を描写。ガンディーは、塩の行進や糸車運動などを通じて、非暴力的な手段を用いて、イ

ゴシップ&悪意塗れの伝記映画。オリヴィア・ハッセ―演じる「マザー・テレサ」

前世紀生まれの私にとって、マザー・テレサは「無償の献身の、偉大なる人」そのもの。物心ついたころには既に故人だったが、ナイチンゲール同様、そのイメージは小学館の学習まんがで植え付けられたもの。 そんな「マザー・テレサ」について、ChatGptで尋ねてみれば。 2003年に製作、オリヴィア・ハッセ―がマザーを演じたテレビ映画「マザー・テレサ」では、太字のような彼女が引き起こした…いや、時勢柄彼女が既にある所に巻き込まれてしまった「負の側面」にあえて切り込む。 スペクタクルを前

“赤ちゃんがいて私たちがいて…河がある。”_The River (1951)

フランスの巨匠ジャン・ルノワールが堂々たるインドロケを行った「河」より。インド・ガンジス流域のベンゴール地方に住む仲の良い3人の娘たちと、片脚を戦争でなくした英国人大尉の恋の鞘当て。三人の娘の中でもいちばん子供っぽい、作家志望の娘:ヴァレリーのナレーションで映画は物語られてゆく。 ヴァレリーと大尉のキスでそのシーンはクライマックスに達するのだが、そのキスのあとでヴァレリーが涙して言う台詞。 物事が去っていく、何もかもが変わっていってしまうことへの悲しさに託して、別れの寂し