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読書240915「モサドファイル2」

ガザのことがおきてから、これまで中東に関する知識があまりなかったので、パレスチナ側の本や映画も見るようにしていたのですが、イスラエル側の歴史も少し知りたく読んでみました。第2次世界大戦後、モサドで活躍した実際に活躍した女性スパイたちの実話です。

モサドでは早くから女性スパイが活躍していました。私が子供の頃はまだベルリンの壁があり、東西のスパイの映画やマンガも流行っていましたが、その中で女性スパイといえば、ハニートラップというのが定番でした。しかしモサドで活躍した人たちは皆「そういうことを作戦で強要されたことはない」と証言しています。彼女たちは普通にスパイ(情報収集)の仕事をしていました。もちろん「まさか女性が」というような場面に入り込みやすかったことはあったようです。人脈作りでもそうです。

カメラマンになって色々なところに潜り込んだり、ジャーナリストとしてRMを構築したり、またエチオピアの海岸でダイビングスクールを経営した人もいました。このケースはアフリカ大陸で迫害されたユダヤ人をイスラエルへ搬送するために、カモフラージュの施設を作ったのです。活躍していたのはイスラエル生まれの人だけでなく、ちょうど建国の時は、これからイスラエルに移住したい、海外の国籍をもつユダヤ女性たちも重用されていたようです。

そして中東戦争の頃、エジプトやレバノンで彼女たちは活躍し、近隣アラブ国に配備される武器や設備の情報を探ったり、原発の情報を入手したりしていたようです。

インタビューなどにより構成されているこの本は、彼女たちの女性としての生き方もよく描いています。興味深かったのは、建国の頃イスラエルは豊かではない共同農場などの社会でした。スパイになった女性たちは近隣の国で裕福な家に生まれたケースが多く、それゆえ、パリやフランスの文化をたっぷりすった北アフリカの首都に溶け込み、贅沢な場に馴染んで地元の名士たちと関係を築くなど活躍するのですが、それらの活動を何らかの形で終えて、イスラエルに移住したり帰国すると、そこの地味な生活に馴染めないケースもいくつか描かれていました。

また活動中、家族をもつといった幸せが得られないと悩んだり、本気で恋に落ちてしまったり。多くは普通の女性としての悩みも抱えていました。そして引退し幸せになった人や、歴史から消えひっそりと暮らす人など様々な人生があったようです。

彼女たちを通して、建国の頃イスラエル側では、イスラエルを守るために必死に戦った人たちがいたことが理解できます。もちろんそれらの物語には反対側に自分の土地を守る人々の戦いがあったわけですが。。。

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