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KPOPの<サビABサビ>構造は、物語創作に応用できるのか?(前提編)


ちょっと前までよく言われたのが
KPOPってどれも似ている。音楽だけ聴くと誰が歌ってるのかよくわからない。
KPOP良く知らない人がマウントとるときに使われがちな言い方です。

ただ、あながち2010年前後のKPOPアイドル楽曲に関しては否定できない要素でもあります。

なぜか?
曲構成がだいたい「サビ・Aメロ・Bメロ・サビ」で、
テンポ似てる
アレンジ似てる
衣装メイク似てる
熱心なファンでもなければメンバー入れ替わっても分からない時もあります。

KPOPは、その時の流行りの規定ルールの中で厳しい勝負をしてきていました。
とにかく売れることヒットすることが、アーティストと会社の命運を握る競争の激しいKPOP業界。
当たる可能性が高いジャンルに事務所も全ベット!
だから、アイドルコンセプト、振り付け、音楽アレンジめっちゃ似てくる。

でも、100年前からポップスの基本パターンは、

Aメロ、Bメロ、サビ

でした。

Aメロ・・・歌手と歌のキャラクター導入
Bメロ・・・テンションかかる
サビ・・・ABの発展として一番印象的なフレーズ

長年、人類の多数が選んできた心地良い構造といってこれは間違いないです。

また、音楽同様、時間芸術といわれる映画・ドラマも、エンターテインメントジャンルシナリオの基本は三幕構成と言われています。
人が満足感、達成感を感じる体験プロセスは、似ていると思いました。


今、世界中に配信され、KPOPがランクに入っています。J-POPが夢見た割にはあんまり挑戦しなかった世界で、普通を達成しています。
そして、コミックアプリも、LINEマンガとKAKAOピッコマが2大勢力となりつつあります。

なぜ、韓国はエンタメで世界と戦えるのか?

こういう大きなテーマを考えると根拠が大変ですが、おそらく、強くなるためには多くの条件を満たさないといけないことはわかります。
その条件を調べるのも面倒です。

ただ、高校野球全国大会で考えると、おそらく韓国内の予選がレベルが超高いのではと考えるのが普通です。

強い選手が勝つために練習と研究を重ねて来て、しかもそんな学校が地域に何校もあって、それがトーナメントで勝ち残った代表なので強いのは当たり前。
じゃあどんな練習と作戦を立てているのか知りたくなります。
そしてこの事は、別ジャンルでも応用が効くのではないかと考えました。

そこで、同じく手軽な配信エンタメである、WEBTOONです。

まずはKPOPが戦ってきた、この厳しいルールの確認からです。

ルール1、基本構成

前サビ・・・先に売りとなるフレーズ提供
Aメロ・・・キャラとジャンルわからせる
Bメロ・・・Aメロからテンション上げるか、A状況の破綻を予感させる
本サビ・・・勝負のリフレイン

頭から勝負! AもBもサビに向かう準備と焦らしとジャンプで攻撃的。

もちろん、これは飛躍したまとめ方で、HIPHOP命のYG系、アメリカンR&B魂のJYPなど、歌謡曲&クラブMIXのSMエンタなど、各事務所の個性はあるが、少なくとも2010年前後第2~第3世代ダンス系女性アイドルKPOPは、少女時代、KARA、T-ARA以降、ひたすらこの規定ルールの中で勝負していた。

単純に繰り返しにならないバリエーションも多く、前サビ→A→B→本サビ→大サビというサビづくしから、サビ→A→サビ、A→A‘→B→サビ(これも多い)とか、Aメロ内での2回め転調、Bメロ2分割でリズムチェンジなど、変化も激しい。さらに、サビあとラップ、間奏自体がサビメロでポイントダンス、だったり全く休む暇がない。

ルール2、1番の本サビまで1分以内で到達

パルリ(急げ)の韓国。待ってくれません。大体配信で聞いていてサビきたと思ったら45~50秒。

イントロ4小節、前サビ4小節、Aメロ8小節、Bメロ8小節、本サビ8小節で60秒。

音数を4分音符換算で、
16+16+32+32+32=128
ビートにすると128BPM

テンポも当然似て来ます。

その後ラップと2番とサビリフレインあっても曲自体3分ぐらいで終わる。

これは、効き目速攻の短距離栄養剤。

また次の同じテンションの曲が聞きたくなります。結果お金が回りやすい。

アルバム収録曲的に全部聞く習慣が根付かないのもわかります。


そして、曲のコンセプトジャンルもしっかりセグメントされていて
女性アイドルグループの場合

・清楚系(制服着がち)
・元気系(髪ピンクにしがち)
・ガルクラ系(首曲げがち)
・大人系(セクシーすぎガチ)

この4キャラをベースに、清楚元気系、清楚文系、体育系、ガルクラ ビッチ系 元気系、大人系セクシー、トロット系と細分化。

しかもこれを同じグループが短期間にするので大変。

デビュー清楚文系で売れなかったら、2曲目清楚元気系で勝負。
これで売れなかったら、翌年メンバーチェンジしていきなりセクシー系とかに変更あたり前。
一度やってダメなら、二度目はない、3年なんて我慢できない、若い時にしかできないアイドルは売れてこそ意味があるというサバイバル。

しかも

昔は年2回活動。

曲のジャンル&テーマは

春夏・・・恋の始まり(喜びor楽しみ)
秋冬・・・失恋(哀しみor怒り)

ほぼこの二つ

このルールに合わせて、各グループはそれぞれのコンセプトに分かれて曲を出して戦う。

夏のAメロ。清楚系は寮でワクワクと静かに始まり、元気系はプールでノリノリで、ガルクラは車に乗ってオラつく。
冬のAメロ。清楚系は草原でハイトーンで歌い上げ、元気系は学校で友達と落ち込まないわとサビであげ、ガルクラは夜のクラブで恨み節を怒りでぶつける。

曲構成、BPM、グループキャラ、コンセプトジャンル、ファッション
全被りの中で、サバイバルの戦いが何年も繰り広げられていた。
似てる。
しかし、みんな同じかというと、それが違う。

小さかった韓国国内音楽マーケットでは勝者だけが生き残る。
売れ筋規定のルールの中で、各ジャンルのプロ達がアイドル市場で戦うので、結果残ったものはレベルが高い。全く売れなかった曲でも、手は抜いていない。
基本レベルアップの上昇が激しい。

毎日のようにランキング音楽番組があり。
過当競争が日常的で、エンタメ界は勝者にならなきゃ意味がない。
失敗したら1年で解散、事務所倒産のサバイバル。
グローバル前から、このように厳しい戦場で鍛え上げられたKPOP界。

一つ頭ぬけた新しいトレンド、ヒット曲が出ると、それをヒントに全集中するので、すぐに飽きられるが、焼け野原からたくましく必ず次のヒット作出る。そがヒントとなり、また全集中。また焼け野原。

それを繰り返すことで業界全体の基本筋力がアップしていて、のんびりした日本や、競争が始まっていないほかのアジアの国に出たときは圧倒的な力の差となって現れる。

ここでようやく話を三幕構成シナリオに戻します。


三幕構成

三幕構造のシナリオで散々叩き込まれる配分が、1:2:1なので、これを先程のKPOPパターン
イントロ4小節、前サビ4小節、Aメロ8小節、Bメロ8小節、本サビ8小節に当てはめると、

第1幕 1 イントロ、前サビ
第2幕 2 Aメロ、Bメロ
第3幕 1 本サビ

とざっくりなります。
シナリオで第1幕は「状況提示とテーマ設定」と教えられるので、物語は主人公がどんな人物で、どんな問題を抱えているのかを書くのが定石と考えますが、KPOPで考えるとそんな余裕は無く、第1幕では一番おいしい場面にぶち込め、全体の25%かかっても良いということになります。

これは刑事ドラマなら、第3幕にとっている犯人逮捕のアクション。恋愛ドラマなら、告白、結ばれる、付き合うの大山場。サクセスストーリーなら社長になる。アクションなら、ラスボス倒すとこから見せるということになります。

確かに韓国のWEBTOONは冒頭で主人公死んで転生するジャンル人気です。
これは山場と目的の提示が同時にできるのでとても便利です。
ただ飛びネタなので、すぐ飽きられるだろうと私達は思いますが、KPOPで考えるとどうも違うと感じます。
「これは勝ち筋のルール」なので、ここで迷ってはいけなくて、このフォーマット&テンプレの中で、アレンジ、トレンド、変化、演出、キャラ・個性、ファッションで差別化して勝利することが大事なようです。

シド・フィールド説

そこで、過去のKPOPヒット曲のアレンジを参考にすることで、WEBTOONでヒットを生み出すヒントが見えてこないか、シド・フィールド先生のいう、各ポイントに相当する位置で、映画からすると120分の1の60秒の世界で、KPOPヒット曲は何を仕掛けているのか?

実際は、IZONE以降のリッチな事務所の多人数グループの曲は、単純なABサビ構成になっておらず。
4小節ずつ次々と変化し、サビに匹敵するフレーズが3種類位あるようなリッチな作りが普通になってきてます。
前サビ+A+B+C+D+1サビ+本サビ と言う感じです。
コードもメジャーマイナー、リズムチェンジも頻繁で、聞き手の情緒に寄り添う前に変化が激しくて、どこ目指している曲か分からなりそうですが、そこをグループのキャラクターとダンスで振り落とされず乗り切る力があります。
変化の激しすぎる曲でも、分析的に聞くと、それぞれのブロックは開放と緊張だったり、期待と不安だったり、ABサビ構成と同様の役割を短い間に、各ポイントで果たしています。

次回から曲別に分析したいと思います。
ルールに厳密過ぎて曲の違いが分からないT-ARAから、その規定ルールすら変化させつつあるNewJeansまで見ていくと、WEBTOONの勝ち筋トレンドが言語化できるヒントがあるような気がしています。

なんとなく






ドラマ企画100本目指します!