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音楽配信サービスの憂鬱

音楽のストリーミング配信サービス、私はSpotifyを利用しています。他のサービスも試したことはありますが、いまサブスクリプションしているのはこれだけです。(他にも会員のおまけサービス的に利用できるもの:例えばAmazon Music Primeなどはたまに使うこともあります。)
音楽配信サービスの利用が可能になった当初は、以前は買ったり借りたりしないと聴けなかった曲をこんなに簡単に聴くことができる時代になったのかと感動しました。使うようになって気づいたのは過去リリースのすべてのアルバムや曲が聴けるわけではなく、あくまで提供されているものだけということでした。特定のアルバムが提供されない理由はレコードレーベルとの問題などもありそうですが、アルバムが抜けていたりすることがありますね。そういう時はYouTubeで探したりもしますけど。それでも新譜などはリアルタイムでほとんど聴けるので、普段聴いている・いないに関わらず興味を持ったアルバムをいろいろ聴いてみたり便利に利用しています。

音楽メディアを購入せずこういうサービスに頼るのが悪いとは思っていません。何もかも購入するのは無理ですし、ざっくりとアルバムやヒット曲を知るうえではあまり問題ないと思います。
ただ、サブスク契約した制約のない状態で、自分が実際に聴いたことのある過去リリースのアルバムや曲を聴いた時に、これは違うんじゃ?と違和感を抱いたことがありました。

それは主に、曲に複数のバージョンがあり、どちらのバージョンが収録されているかを自分が知っている時に発生します。つまり自分の頭の中のライブラリと不一致を起こしているわけです。例えば、オリジナル・アルバムにシングルバージョンが含まれていたり、ベスト・アルバムの曲が本来収録されているのとは違うバージョンに置き換わっていたり。わずかな違いですがこれは正しくないでしょう。

もしかして、サブスクで聴けるのはアルバムのトラックリストに合わせた「プレイリスト」なのかもしれない。用意できない曲を代替で済ませるのはよくあることなのかもしれない。
そんな風に納得できればこの問題はクリアなのでしょうが、これがきっかけで、ある時からライブラリを丸々信用していいのか不安を抱くようになってしまいました。この記事のタイトルはそういう意味なんです。

きっかけになったForeignerのアルバムの違和感を含め、少し紹介します。

Foreigner - Foreigner (1977)

言わずと知れたデビューアルバム。アナログレコードを持っていたんですが引越し先のスペースの関係で維持できずレコードは2014年にほとんど手放してしまいました。このアルバムはCDで買い直していませんでした。これをSpotifyで聴きました。

1. Feels Like The First Time (3:12)
イントロを聴いてすぐシングルバージョンと気づきます。アルバム収録のフルバージョンを聴くつもりで身構えていたからシングルバージョンが出てきて違和感ありまくり。

トラックリストにあったのはこのバージョン。ミュージックビデオと同じバージョンです。


私がオリジナルと思っているアルバムバージョンはこちら。


2. Cold As Ice (3:20)

アルバムのオリジナルバージョンでした。よかった。
このミュージックビデオの音源はアルバムバージョンですね。こちらはセカンドシングルなので最初からシングルカットする予定でFeels Like The First Timeと一緒に撮影したのかも。

6. Long, Long Way From Home (2:52)
イントロ数秒欠けてるしミックスもだいぶ違うシングルミックスバージョンでした。私が聴きたいのはこれではないんですが、SpotifyのForeignerのアーティストサイトには1977年当時のアルバムバージョンが出てきません。(2011年リリースのアルバムに収録されている曲のアレンジは同じなのですが、歌っている人がケリー・ハンセンでルー・グラムではない。)

こっちはシングルミックスバージョン。


ようやくみつかったのがこのコンピレーション。アルバムバージョンです。

ForeignerのOfficial YouTube Channelでアルバムを探しても、Foreigner単独名義のアルバムにこれと同じバージョンが出てきません。なぜだ。オフィシャル的に曲を差し替えたのかと勘違いしてしまいそうなんですが。

Records - Foreigner (1982)

1982年リリースのベストアルバムで、収録されている曲のほとんどはシングルバージョンです。「Hot Blooded」だけライヴバージョン。これをSpotifyで聴きました。アルバム丸ごとバージョンを比較してみました。これはCDを所有しているのでそれとの比較です。オリジナルの曲の長さ(時間表示)はWikipediaの「Records」の情報です。

1. Cold As Ice (3:20)
オリジナル:シングルミックス (3:19)
Spotify:アルバムバージョン
シングルバージョンはミックスが違いストリングス等の音が増えてます。

アルバムは違いますがこれが同じシングルミックスバージョンです。
探してみたらSpotifyにアルバム「40」が登録されていて、このアルバムのシングルカット曲はRecordsのバージョンと一致してました。もしや過去アルバムは雑に扱われてるだけ?

2. Double Vision (3:37)
オリジナル:シングルバージョン (3:29)
Spotify:アルバムバージョン
シングルとアルバムの違いは時間がほんの数秒違うだけ(シングルはアウトロのフェードアウトが少し手前で終わっています)なのでほとんど違わないです。数秒短縮のためのシングルバージョンは必要だったんですかね。

3. Head Games (3:37)
オリジナル:アルバムバージョン (3:37)
Spotify:アルバムバージョン
一致してます。

4. Waiting For A Girl Like You (4:51)
オリジナル:シングルミックスバージョン(4:35)
Spotify:アルバムバージョン
これは曲の長さ(タイム)を見るとすぐわかります。シングルバージョンはミックスが違いヴォーカルも部分的に差し替わっています。レコーディング時のテイク違いでしょうね。この曲の全米チャート10週連続2位はリアルタイム体験しています。放送でどちらのバージョンが流れるか楽しみに聴いていたのですが、けっこうアルバムバージョンが流れてましたよね?

私が期待したシングルミックスバージョンはこちら。


5. Feels Like The First Time (3:28)

オリジナル:エディットバージョン (3:28)
Spotify:エディットバージョン
先のファーストアルバムの1曲目と同じシングルミックス(3:12)が使われているかと思いきや、これは名前に[Edit]と入っていてそれとは別バージョン。これは一致してました。

6. Urgent (3:57)
オリジナル:シングルバージョン
Spotify:シングルバージョン
一致してました。

7. Dirty White Boy (3:38)
オリジナル:シングルバージョン (3:13)
Spotify:アルバムバージョン
シングルバージョンはアウトロがフェードアウトされてて短いです。


8. Juke Box Hero (4:20)
オリジナル:シングルバージョン (4:03)
Spotify:アルバムバージョン
シングルバージョンは間奏が部分的にカットされてます。リマスターされた下の音源と同じバージョンです。


9. Long, Long Way From Home (2:52)

オリジナル:シングルミックスバージョン (2:47)
Spotify:シングルミックスバージョン
秒数若干違いますがアナログとデジタルの違いでしょう。
ここではセーフですがファーストアルバムでこれを使うのは違うと思う。

10. Hot Blooded (3:04)
オリジナル:ライヴバージョン(6:55)
Spotify:シングルバージョン
ライヴバージョンは2002年にRhinoから発売されたアルバム「Double Vision」のリマスター盤にボーナストラックとして収録されています。

曲数が多くてより新しいリマスター盤がリリースされてるから、過去の中途半端なベストなんてどうでもいいのかな。そんな風に感じてしまいました。

Foreignerをちゃんと聴き始めたのは実は遅くて1981年の「4」の時だったのですが、渋谷陽一さんのサウンドストリートで発売前に数曲オンエアされたのを聴いて気に入り、アルバムは予約して購入しました。当時は全世界同時リリースはほとんどなく日本発売はだいたい遅かったので7月25日くらいだったと記憶しています。過去リリースのアルバム3枚も奨学金とおとし玉を有効活用してすぐ揃えました。お金のない田舎の高校生はこうやってアルバムを揃えていました(笑)

今回の記事を書くにあたり、久しぶりにForeignerをいっぱい聴いて、ルー・グラムの声にとにかく聴き惚れました。彼の声を嫌いな人なんてこの世にいるんだろうかと思いながら。

The 7th Song - Steve Vai (2000)

急にSteve Vaiさん登場。実は昨年のクリスマスの記事を書いていた時に気がつきました。たぶんエラートラックです。リリース年も違いますよねぇ。

11. Boston Rain Medody - Bonus Track, hey hey
謎だったのがこの曲。
CDを持っているので普段はストリーミング再生などしないアルバムですが、たまたま聴いてしまい驚きました。私はいったい何を聴かされているのかとタイトルを見直したくらいです。曲として成り立っていません。

最初の26秒間は7曲目のMelissa’s Gardenの7:23辺りから突然始まり最後まで流れます。そしてその後数秒間の無音を経てシークレットトラックのように始まるのは8. Call It Sleep。そして途切れて終了。

SpotifyのSteve VaiのThe Essentialにも同じ曲がリストアップされていて、こっちの曲は正しいですね。でもタイトルが「Bonus Track, hey hey」が付いたまま。何だこれ。

本来はBoston Rain Medody は4:39、その後数秒間の無音を経てシークレットトラックのようにFire Gardenのラストの曲「Warm Regards」が流れます。


アルバムの曲順違いは、リリースした国によっては異なることもあるので理解しています。曲そのものが違うのはちょっと嫌だな。

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