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「わくわく創造アトリエ」の活動

 私は「わくわく創造アトリエ」で子どもの指導にあたったり、大学の講師をしたり、講演・講座で全国各地をとびまわったり、本を書いたり、新製品の開発を手がけたり、そのうえ余儀なく十数人のスタッフを抱えて、目のまわるような毎日をおくっていましたが、もともとは童具のクリエイター(創作者)です。いまも創作を続けています。その延長線上にすべての仕事は生まれています。

 「童具」

 聞きなれない言葉だと思います。私がつくった言葉です。子どもが遊ぶものを、一般には遊具とか玩具とかおもちゃとか、遊びのイメージを込めた言葉と、教具、教育玩具、知育玩具など、いわば学びのためにつくられたものとの二つに分けています。

 しかし、子どもの活動を見ていると、子どもは遊びながら豊かにいろいろなものを学びとっています。それをわざわざ「はい、勉強の時間ですよ」「はい、遊ぶ時間ですよ」と区別することはできないと思ったのです。

 体験することは身をもって学ぶことです。

 遊びは自発的な体験活動です。

 子どもはなにごとも自分でやろうとします。させられることを嫌います。

 言葉を獲得したばかりの二歳児は「じぶんで!」「じぶんで!」と言って親の手を振り払います。自分の力でやってみたい、それが子どもの欲求であり願いでもあります。

 そのために私たち大人が、遊びながら、つまり自発的な活動をしながら学べる環境をどうつくっていくかということが、子どもと関わる時の最大の課題となります。

 「なんで子どもに学ばせなきゃあいけないの」と言う人もいるかもしれませんが「子どもがいつも学ぶことを求めているから」と答えるしかありません。

 2歳児が「これ何?」3歳児が「なんで?どうして?」とうるさいほど聞いてくるのは、学びへのあくなき欲求だと私は思っています。

 この役割を託すためのものとして童具という言葉をつくらざるを得なかったのです。


和久洋三著書『子どもの目が輝くとき』より

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