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赤ちゃん童具創作秘話②

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ねじっこ

 ピンセットつまみができるようになると、乳児は細かな手作業に集中し、ゴミのような小さいものを見つけてつまんだり、小さな穴があると物を詰め込んだりします。同じ頃、ねじることに関心を持ちだし、ビンにフタがあるとどれもこれもねじ開けようとします。

 その時期の子どものためにつくったのが<ねじっこ>です。エンドレスに活動を続けられるように工夫し、この活動に関心がなくなった後は積木遊びに導入できる寸法が設定してあります。球を1個で、あるいは2連、3連にして回転させてコマとしても遊べます。

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とんねる

 ピンセットつまみが上手にできるようになる頃(1歳前後)、我が子が穴にものを通す作業に熱中する時期が半年ぐらい続きました。これも関係性の究極にある一致の快感を求める作業なのかと思い、この活動をいつでもどこでもできる童具をつくってやろうと思い立ちました。

 私は子どもが無我夢中になる活動は成長にとって深い意味があるに違いないと信じているので、その欲求に応えるものをつくることを常日ごろ心がけています。

 <現存−消失−再現>の観念がこの童具にあることを知ったのはずっと後のことですが、一つの円柱を入れることによって、違う色の円柱が現れるこの作業に夢中になるのは我が子ばかりではありませんでした。知り合いの2歳の子は、品川から神戸までの間、新幹線の中でこの童具で遊び続けたとのことです。

 用済みになったら紐を切って積木の部品として遊べるように大小の円柱の寸法を3cmと6cmにしました。

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ぽこ

 ガラガラは太古の昔からありました。乾いた木の実を鳴らしたのがそのはじまりと言われています。音に魔除けの願いを託していたようです。その発想をそのまま取り入れ、木の実に乳首の形を取りつけたのが<ぽこ>です。

 球の<変形体>として、紡錘体を暗示する形にもなっています。同じ形を2個1セットにした理由は「同じ」であることに敏感になることや、1:1対応・ペア(pair=対)の意識を生むためでもあります。

 この2個のガラガラは違った音をだしますが、似ていても違う点があるものが世の中にはたくさんあることによります。よだれで濡れた時の予備にもなります。ガラガラとしての役割を終えた後はコマとして遊べます。


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