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Vol.4 インターナショナルスクールってなんだ?

まさか我が子がインターナショナルスクールに行くことになるとは思っても見なかった。そして「日本のアタリマエを変える学校たち」(新評論)を書くことになるとも思わなかった。書店に並ぶ書籍は有名な人が書くものだと思っていた。しかし、よく考えたら、有名じゃない人の方が著者には多いかもしれない。そもそも有名の定義はなんだろう?


英語で教えたらインターナショナルスクールなの?

「日本の全都道府県に公立のインターナショナルスクールを作りたい」とさまざまなところで言っていると、ちょくちょく「インターナショナルスクールを買いませんか?」と言う連絡が入る。一回や二回ではない。そして概要を確認すると、大抵が子ども英語スクールや英語保育園等で、「私が思っている学校」であったことは一度もなかった。これは私が「スクール=小学校から高校」と思い込んでいたからだろう。

インターナショナル・スクール(英語: international school)あるいは国際学校(こくさいがっこう)とは、主に外国人生徒を対象にその所在する国や地域の教育システムに基づいて就学前・初等・中等教育を施す学校[1]。
異文化体験や国際的に通じる学歴取得の機会として選択されることもあり、その所在する国の生徒のほうが在籍者の比率が高いこともある[1]。
また、学校に通わずオンラインで学習するオンライン・インターナショナル・スクールも存在する。

wiki インターナショナル・スクール

日本では法令上の規定がないことから「英語で教える、生活すればインターナショナルスクール」的な部分が否めない。実は7年前ほどからカンボジアの大学運営に携わっていたのだが、プノンペンには本当にたくさんのインターナショナルスクールがあり、ここしか都市がないからでもあるのだが、International Schoolの看板をたくさん見る。内戦終了が1991年のこの国では、英語ができることが良い職を手にいれる条件と重なり、都市部の子どもたちは毎日英語塾に行くそうだ。午前中は公立の学校。帰宅して昼食をとって中国語塾、帰宅して夕食をとって英語塾、平日のルーチンはこんなものだと言っていた。余談だが、日本の子どもたちは英語塾でも週に1回1時間ほどだから、それで英語が話せるようになるはずがない、とクメール人に言われて驚いたものだ。彼女は今はマイクロソフトで働いている。英語力がものをいった実例だ。

7年前は息子も日本の公立中学生だったし、私自身がまだ「地方に公立インターが必要」とは思っていなかったので、「カンボジアってすごい(ひどい?)ところだな」と思っていたのだが、なんだ日本も一緒だった。色々調べてみたが、47都道府県のうち半分にしか「学校としてのインターナショナルスクール」はなかった。今の日本(文科省)が認める学校は一条校だけなのである。

一条校とは、学校教育法の第1条に掲げられている教育施設の種類およびその教育施設の通称
第一条 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。— 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条、「第1章 総則」中学校教育法(文科省)

学校教育法(文科省)

混乱や誤解を避けるために、幼稚園や塾等を除いた、多くの子どもが日常に集う学校の機能を持ったものをインターナショナルスクールと呼ぶことにする。英語で教える、ドイツ語で教える、等々、国と国をつなぐ・またぐ学校なのだから、子どもたちの共通言語があり、それが学習言語になっている。そして、小学校を卒業すれば中学に行くし、高校、大学と学びは深まっていく。国によって中高が一緒になっていたり、学び始める年齢が違っていたりと差異があるが、そこは今回は気にしないこととします。

IBとケンブリッジ国際比較

世界中にはたくさんのインターナショナルスクールがあるが、この国際バカロレアとケンブリッジ国際が採用されている場合が多い。もちろん、各国独自の学びがある場合はこれらを利用していない。しかし、世界的なインターナショナルスクールの国際的な評価団体(WASC、ACSI、ECIS)に加盟することで利用者に安心を促している。

全ての都道府県に英語の幼稚園はあるのに・・・

インターナショナルスクールタイムスの調査によると日本のすべての都道府県に英語で生活する幼稚園と保育園はあった。都市部では英語の学童保育(アフタースクール)もある。残念ながら21の都道府県にしかインターナショナルスクールの小学校はない。これから増えていくだろうか、英語で学ぶ学校では英語が公用語なので必然的に英語習熟度が高くなる。一般的な日本の学校では英語が教科となった途端に、点数がついたり、やらされている感も強くなる場合もあり、好き嫌いができてしまう。せめて嫌いにならない英語教育であることを願うしかない。「試験がないことには子どもたちは勉強しない」と思われているようだが、世界中にいる英語を操る日本人は異なる方法で英語を習得している人も多い。小さい時は覚えるのも忘れるのも早いとも言われているが、せっかくお金をかけて金額の高い英語の幼稚園に行っても、次の英語で学べる学校がないのは本当に残念なことである。少子化の今、新たに学校を作るのは本当にもったいないと思う。今ある公立の小学校を各都道府県が1校ずつインターナショナルスクールにすれば、少しの課題解決と国際的視野を持つ子どもと大人がグンと増える。すぐ近所にあれば、身近なものとなり、自分ごとにもなってくる。

地方にインターがないと損をするのは日本

さて、日本の学校、いわゆる一条校にも10年前から一条校インターナショナルスクール1号のUWC ISAK JAPANが開校し、その後一条校インターが増えてきている。ケンブリッジ国際の一条校も2020年からでき始めた。怖がり日本なのに、と実は驚いた。(一番の怖がりは私かもしれないが、、、)日本の学校では日本語でIBを学べる学校を文科省主導で増やしてきた。(日本語なのでIBを学ぶ上では親和性は高いのだが、英語ができるようになるものではないので要注意である。)しかしながらケンブリッジ国際は英語で学ぶものなので、今の日本の日本語IBとケンブリッジ国際と同等に考えてはいけないことを覚えておいてほしい。

現在、熊本県では台湾の半導体メーカーTSMCの工場が稼働し始め、多くの台湾人家族が上陸した。子どものいる家庭の懸念事項は学校と病院だ。その地域には英語で学べる学校が2校あり、どちらも大賑わいを呈しているようだ。そこに通う日本人の子供たちにとっても、世界への架け橋のステップを手に入れたようなものだと思う。学費は高いだろうが、なんとか踏ん張って、たくさんの熊本の子供達がこれらの学校にいくことを願ってやまない。


英語7割・日本語3割の授業 台湾のTSMC従業員の子ども受け入れへ学校説明会 希望者には「台湾華語」での授業も【熊本発】

テレビ熊本2023年9月7日 木曜 午前7:00

きっとこのニュースをみた人たちは「TSMCが日本に工場誘致したのは国策だから、それはそんなものだろう」くらいに思う人もいるかもしれない。こんなにまとまって、しかも英語スピーカーが日本に来るというのは、税金が入るだけでなく、「地方から世界へ」がその周辺の人たちにも確実に伝わっていく。一番変わっていくのは子どもたちだろう。羨ましくて仕方がない。

また、秋田県仙北市でもインターナショナル誘致活動が行われていて、2026年度より開校の予定となっている。これは私の仮説だが、秋田県立国際教養大学ができたことで、秋田市の国際的視野が広がり、インターナショナルスクールがあることの効用を確実に理解したことと、隣にこのAKITA International Universityがあることで、ここの学生との連携でさらに面白いこともできると考えているのではないか、と思うのだ。すでに、そこに優秀な外国人がいっぱいいるのだから。これは大分の立命館アジア太平洋大学や新潟の国際大学にも言えることだろう。沖縄科学技術大学院大学(OIST)は学生だけでなく、教授陣もノーベル賞をはじめ、様々な賞を獲得していて、リーダーの存在感を醸し出している。

無いものはわからない

いくつか挙げたインターナショナルな大学もそうだが、それらがそこにあることで初めてわかることがある。つまり「無いものはわからない」のだ。たまたま昨日は、ヘレンケラーの映画を見たのだが、サリバン先生の指導で、彼女は文字を覚え、発話を覚えた。「それを知ることで人生が大きく変わる」ことを知っている人は実は少ないのでは無いかと思う。

インターナショナルスクールが都市部や学費の払える外国人の生活居住区にしか無いのはあたりまえのことで、必要な人があり、高い学費が払える人が集まるところでしかビジネスが成り立たない。しかし、日本国内には36,000校の小中高校がある。その内公立高校については3600校である。各都道府県で1校ずつをインターナショナルスクール高校にしたところで、47校である。普通の公立高校と同じ金額で、世界の学校と同等の学びのできる環境をその47校だけに提供することはできないものかと思う。確実に子どもたちは爆発的に変わる。半数ほど外国人学生に来てもらう必要があるので寮を作るなどのコストもかかる。高崎市立くらぶち英語村がすでにやっているので、ノウハウは教えて貰えば良い。県立広島叡智学園も教えてくれるだろう。皆さんは苦労して得たノウハウを多くの人にシェアしたいのだ。だから私の取材にも対応してくださった。


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