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高校3年生のみなさんに送りたい言葉。「おめでとう」よりも大切な一言かもしれません。

・めちゃいい!今一人あの子もこの話聞いてくれるといいな、と思っています。
・やめる選択もポジティブです😁むしろ始める選択よりポジティブかも知れません。
・どんな一歩も門出、、、なんて素敵なメッセージなんでしよう❣️

今日は午後から高校でのオンライン授業がある。少し緊張している。3年生のほぼ最後の授業。今回の授業はOut of Boxのメンバー間でも、このような重要な役割を我々が担って良いのかという議論があった。卒業という事象への感覚の違いもあったのだと思う。人生の節目であり、とても大切なものでもあると思う。しかしながら、単純に「卒業おめでとう」という話でもない、と私は思っていた。高校3年時の卒業に対する思い入れや感じ方は人それぞれで、教師の皆さんも、保護者・本人たちも違うだろう。そもそも、誰もが同じ感情で卒業を考えていると思っているのは、むしろ我々かもしれない。

希望の大学に合格した人もいれば、記念受験で予想外の合格に喜んでいる人もいるだろう。逆に、安全圏と言われていたのに不合格だった人、浪人できない・したくないから、滑り止めと言われる学校に行くことに決めた人、様々な事情から希望の進学ができない人もいるだろう。地方に行けば、大学は自分が行くところではない、と思い込んでいる人もいるだろう。しかしながら、高校の成績は良くても、大学に行く意味が見出せずにひとまず進学はやめた人もいれば、大学に入学した後に「何かが違っている」と退学する人もいる。そんな人たちを知っている。いわゆる、有名大学から有名企業に就職してから、「あれ?なんかオカシイ」と思って退職する人も知っている。いわゆる優良企業への就職を最初からするつもりがなく、大学を卒業した後にフリーランスで働いている人も知っている。進学校(高校)に入学したけど、美容師になりたいと大学進学をせず、教師は「国立大学に行けるのにもったいない」と言われた人の話も聞いた。美容師の傍ら、地域の子どもたちに勉強を教えている、ってすごいなと思った。

ここに敢えて書いた、浪人・滑り止めという言葉は不登校と同様に、やめた・あきらめた・合格しなかったことを貶める言葉に聞こえるのは私だけではないだろう。商店街のお店が閉店したら「潰れた」という人は多い。潰れたってなんだろう?経営不振で夜逃げをしたのを見たのか?別の場所に移転したり、体調不良で閉店したのかもしれないし、次にやりたいことを見つけたからお店を辞めたのかもしれない。そんなことを言う人は、一般的な世間で習慣化された言葉の使い方をしているだけで、悪気はない。今の日本人の多くはそうなのではないかと感じる。しかし、今の日本ではまだまだ、それらの言葉に傷つく人は多いだろう。

・大学に不合格だった、その後の世界旅行に行って今の自分がある
・あのとき退職したから起業した
・不登校を決めたことで自分の好きなことに気がついた
・解雇になった後に学校経営者になっちゃった

こんな人をたくさん知っているが、そんな話を聞くことは少ない。それは私が50代でいろんなことを見たり、知ったり、探しにいったからで、高校3年生はいろんなことを知らない。一つひとつのことに悲しんだりビクビクしたり、驚いたり、喜んだりしているだろう。感情的にネガティブに事象を捉えてしまっていることが本当に多い。「どうせ自分なんて」と思わせてしまう日本の社会がある。それを変えなくては行けない。大人が変わらないと、子どもたちに悪い影響を与えてしまう。それがわかる大人を増やす必要がある。そんな大人が増えれば、子どもたちは元気になれる。そして、大人たちは、かなりの確率で、「実は良い大人予備軍」なのだが小さな一歩を踏み出すことができないだけなのだ。そんな人もたくさん、たくさん、見てきた。大人にもどうか小さな一歩を踏み出して欲しい子どもたちのためにも。それが日本の未来のためになるのだとわかって欲しい。

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新しいことは全てが新たな門出だ。高校や大学は自動的に卒業があるが、社会に出ると、様々な分岐点は自分で作り出したり、呼び寄せたりしないとそれはやってこない。そんなことを高校で学べた方が良いのにな。だから、ちょっとした冒険や小さな失敗、そして、自分で頑張って何かを変えるといった経験を中高生にはして欲しい。約2年のコロナ禍で学校関係者は「子どもたちに他の卒業生同様の思い出を作ってあげられなかった」と苦しんでいらっしゃるが、ぜひ苦しむのを辞めて欲しい。先生方の責任ではないのだ。そして、もしもできるのなら、「2年間の取り返し方」を生徒と一緒に考えたり、生徒に先んじてやってみることを勧めたい。様々な制約はあると思うが、大学時代のバイトはできるだけその生徒のやりたいことに近づく内容で、単なる時間をお金に換えるものを選ばないように勧めると言うのも一つだろう。あるいは、事情が許すなら、交換留学や一年休学して世界一周するなども勧めても良いのではないかと思う。私とは全く桁違いの卒業生を知っている先生方なら、子どもたちに成功事例・失敗事例の話もして挙げられるだろう。失敗した後の立ち直り方や、その後の人生などは今の高校生にとっては宝のような話だと思う。

この3月で教員を辞める先生とも何人もお話しした。どの人も口を揃えて言うのは「生徒に先生と呼ばれるにふさわしい人間になってから、学校現場に戻りたい」だった。その方々それぞれの理想の教師像が見つかったので、それに近づくために退職するそうだ。今、学校の先生が減っている中、やる気のある教師が辞めるのはもったいないことだが、グレードアップして、トランスフォーマーとなって教壇に戻ってくるならば、実はその方がとても良いことかもしれない。そんな先生を見たら、生徒たちも「辞めることは、次への一歩」だと気づくに違いない。(辞めなくても社会経験ができる制度がもっと拡大・浸透した方が良いとは思うが、、、)

最後に、私がいつもやっている「しあわせってなに?」の授業を塾講師の大学生に社内研修として行った際に「あなたにとっての透明の箱はなんですか?」と言う質問をした回答の一部を紹介したい。「透明の箱」は思い込みや常識、当たり前など、間違った判断をリードする危険なものだ。自分や誰かの行動を制限してしまい、達成できるものまでできなくしてしまう恐ろしい箱のことだ。
・大学生になれば、なんでもできるようになると思っていました。
・大人は失敗しない・常に正しい
・一番になることが素晴らしい
・成長し続けなければならない

・受験に受からないと思っていたこと
・学校は若者が行くところ

「そんなの常識でしょ!」「当たり前のこと言わないで」「そんなこと、あなたにできるはずがないでしょ」「自分のできる範囲で行動計画しよう」そんなことを言ったことも言われたこともあるかもしれない。しかし、そう言われていなかったら、どんな行動をしただろうと考えてみて欲しい。

そして最後に、高校3年生へ。卒業おめでとうございます。人生には何度かの節目があります。卒業は自動的に訪れますが、それ以外の節目は自分で作るものです。就職も結婚も出産も離婚も移住も友達を作るのも、、、小さな失敗を積み重ねることで、失敗を乗り越えたり、他者を許したり、支えあったり、一緒に何かを作りあげたりができるようになるのです。今、心情的にどんな状況かは人によって違うと思います。しかし、裏を返せばみんな一緒なんです。卒業を迎えて、次の一歩に踏み出すのだから。自分で人生を良いものに作り上げる努力をすれば、素敵な未来があなたを待っています。たくさんの人を巻き込んで、楽しい人生を送ってください。若いみなさんが羨ましい。私が高校3年生の時は「失敗してもいいんだよ」「一人ひとり違う人生を送っていいんだよ」なんて言ってくれる人はいなかったから。

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