見出し画像

ライフワークだと思っていたのに-②

【博士号を取得する】
私は、研究者になるために博士号を取得したかったので、企業の研究所で働きながら大学院に通い、まず、修士号を取得しました。私たち修士課程の第一期の卒業生が出るタイミングで、この大学院は、博士課程を新設する計画を立てていました。だから当然のように、卒業が迫るころ、教授から私へ博士課程進学の打診がありました。

私自身は、修士号を取得した後、博士課程が新設されればこの大学で、もし博士課程ができなければ別の大学で、博士号を取得しようと考えていました。ですから、教授からの博士課程進学の打診は、予定の範囲内でした。が、社長の方はそうは考えていなかったようで、更に進学したいと話すと、驚かれました。ですが、最終的には承認していただきました。

更に3年間、あの生活を続けるのかとドキドキしながら進学してみると、博士課程は卒業に必要な単位数が少なかったため、大学に通う頻度が減り、修士課程よりも体力的に楽でした。実はこの頃、私の開発・作製した製品(抗体)がヒット商品となり、この抗体のおかげで私は英語論文を2本書け、会社の売り上げもかなり伸びることになりました。

私が博士課程に在学していたころは、研究者としてのベースを作り、それが会社にも貢献できていた時でした。このころ、会社は株式上場をするのですが、私もそれに尽力できていたと実感しています。抗体医薬が注目を集めていた頃だったので、時代の波にも乗れていたのだと思います。博士号を取得するまでは、私はこのまま研究者としての道を進むと信じていました。

画像1

【結婚】
研究者になるために、博士号が欲しかった私は、働きながら大学院に通い、この大学院初の博士号を取得することができました。学位記の番号は4番。入学時には15人いた同期も、卒業時には5人になっていました。働きながら学位を取る難しさを改めて実感し、自分の幸運に感謝しました。

博士号を取得したことで、その時としては破格の昇給がありました。大学院に行き始めたころの予定では、博士号を取得したら会社を辞め、大学の研究室か、公の研究機関に職を探すつもりでした。ですが、昇給したことと、会社での自分の研究も、もう少し続けたいと思うようになっており、しばらくこのまま働くことにしたのです。

また、卒業した年は自分にとってもう一つの転機の年でもありました。結婚をしたのです。博士号を取得した後、北海道にある研究所への転勤の打診が、会社からありました。栄転だったので、会社としては断るはずはないと思っていたようです。また、私の自由奔放ぶりは社内の誰しもが知るところだったので、私が結婚するとは誰も思っていないようでした。

実は、この転勤の打診が結婚の決め手となりました。今考えると、私も彼も、結婚に対してさほど積極的ではなく、何もなければ結婚しない可能性もありました。ところが、転勤の話が出たので、結婚する(転勤を断る)か、しない(転勤する)か、決めないといけなくなり、結果的に結婚するという選択をしたのです。私のライフスタイルが大きく変わりました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?