見出し画像

赤坂というコミュニティの一員としてーー 株式会社WOWOWと協働する“企業の子ども応援プロジェクト”の全貌

キーパーソン21は株式会社WOWOWと連携し、2012年から「企業の子ども応援プロジェクト」と題し、社会の第一線で働く大人との出会いの中で、子どもたちが勇気と自信を持って自分らしい未来を選択できるよう、子どもたちへの教育活動を行っています。

本社と同じ地区にある赤坂中学校の子どもたちをオフィスに招くスタイルで、社会で活躍している大人が自分の人生や仕事についてありのままの言葉で語る「おもしろい仕事人がやってくる!」や、わくわくエンジンを見つける「すきなものビンゴ&お仕事マップ」などのプログラムを届けています。

画像5

今回はわくわくエンジンを心から理解してくれて、プログラム実施に何度も参加している、子どもたちに大人気の濱ちゃんにインタビューさせていただきました!濱ちゃんのお仕事はちょっと難しい法(みんながお互い生活し易いように、守らなくてはいけないお約束やルール)に絡んだ仕事ですが、濱ちゃんのわくわくにぴったり一致したもの。濱ちゃんがエンジョイする仕事についてや、プログラム実施での子どもたちとのやりとりについてお伺いしました。

わくわくして動き出さずにはいられない原動力「わくわくエンジン®」を持って活動している方たちを紹介する連載「わくわくエンジン図鑑」。
認定NPO法人キーパーソン21がお届けします。

【図鑑No.25】
お名前 
濱田 智弘(はまだ ともひろ) 通称 濱ちゃん
お仕事 
国際法務:株式会社WOWOWが制作した番組や世界中から厳選したコンテンツ(番組)を、放送・配信し、テレビやスマートフォン、タブレットなどでお楽しみいただけるように、契約書にまとめること
わくわくエンジン
世界中に存在するあらゆる『!』をより多くの人々に届けること


「!」をより多くの人に届けたい


—— 今回は、濱ちゃんと呼ばせていただきます!
ではさっそくですが、濱ちゃんのお仕事を教えてください。

私は、株式会社WOWOW(以降は株式会社を省略表記)で国際法務の仕事をしています。具体的には、WOWOWが制作した番組や、世界中からWOWOWが厳選した番組を視聴者の皆様にお楽しみいただけるように契約書にまとめる仕事です。

—— 濱ちゃんのわくわくエンジンは「世界中に存在するあらゆる『!』をより多くの人々に届けること」だそうですね。この『!』にはどのような思いや、意味があるのでしょうか?

「!」(感嘆詞)は、人によってひとりひとり捉え方が違うと思います。
「びっくりした!」「うれしい!」「こわい!」「すごい!」などいろんな「!」があり、何かに出会った時の「化学反応」によって感情が昂ったときの思いを「!」の記号で表しました。そんな世界中に存在する「!」をより多くの人々に届けたいというのが私の思いです。

WOWOWという会社名の由来も、「WOW!」+「WOW!」という英語で驚きや感動を表す感嘆詞を二つ重ねたもので、驚きや感動を伝えたいという強い思いは会社名にも込められています。

—— わくわくエンジンがそのままお仕事とつながっているんですね。まさにそういう会社だから入社されたのですか?

はい。具体的には

①法(みんながお互い生活し易いように、守らなくてはいけないお約束やルール)というものが好きだということ
②世界中の人々とお話しすることが好きだということ
③世界中の「!」を伝えたいという思いを実現することができると考えたこと

自分のわくわくエンジンとそれを構成する大きな要素がWOWOWに揃っていると思ったので、WOWOWで働きたいと思いました。
そのため、毎日「本当に」いろんなことがありますが、充実しています!

画像2

濱ちゃんのわくわくエンジンの原点


—— 濱ちゃんのわくわくエンジンの原点があれば教えてください。

幼いころから映画や本などでしか出会うことができない恐竜が好きで、恐竜映画を観たり、図鑑で恐竜の種類を調べたり、博物館で何時間も骨の展示をみては生きていたころの恐竜を想像するなどしていました。

また、国や地域によって遵守しなくてはいけない法が違うと知った中学生のころから法が好きになり、それまで知らなかったことを発見したときのびっくりが好きなどの要素が、自分のわくわくエンジンの原点になっているのではないかと思います。

—— 中学生で法が好きだったのですか?

私は、アメリカやバングラデシュ、台湾、フランスなどいろんな国や地域に住んでいたこともあり、国や地域によって遵守しなければいけない法や学校の校則も違うという体験をしました。

たとえばアメリカだと州が違うと州法も違うし、シンガポールだと「外でガムを噛むことや持つことも禁止」という法があります。国や地域が変わると遵守しなくてはいけない法が変わるんだと気づき、またその法がその国や地域の人々が一緒に生活し易いように昔から考えられた「人々の知恵の結晶である」ということやその国や地域の文化や価値観を表すものだと気づいた中学生くらいのころには法にすごく関心を持つようになっていて、他の国や地域の「おもしろい」法を調べることが好きだと思っていました。

—— 濱ちゃんのわくわくエンジンが、仕事をこなす上で活かされていると感じるところはどこでしょう?

仕事の全てですね。すべてがわくわくエンジンに直結している気がします。

多いと300ページもある膨大な量の英文契約書を読み込み、作成するなど、硬い文章を大量に扱うので敬遠されがちな仕事ですが、実は英文契約書には強い思いが込められていることが多いです。

英文の契約では、「どのような理由や思いでこの契約を締結するのか」などを規定する「前文」と呼ばれるものが書いてあることがあります。どのような理由や思いで番組を制作しようと思ったのか、どのような企業や人に関わってもらいたいかなど、いろんなことが書かれていて、契約書自体が一つの物語になっている気がしています。

たとえば映画やドラマもそうですが、スポーツも膨大な量の英文契約書を締結します。同じスポーツでも、サッカーの契約書とテニスの契約書では、それぞれ込められている思いが異なっています。それぞれのスポーツの大会をどのように視聴者の皆さんにお楽しみいただきたいのかなど、そのスポーツ大会に関わる人々の「熱い思い」がぎっしりつまっており、まるでそのスポーツの大会の「メイキング番組」をみているようで面白いです! 


—— 契約書に携わることで、奥にある思いまで知ることができるんですね。

はい。
そのため、契約書に携わる仕事は、契約書という番組が完成する前のストーリーと、番組が完成した後のストーリーと2つあり、2回楽しめるんです。映画ではよくメイキングやNGシーンを公開したりしますが、それとおなじようなストーリーを契約書に感じています。だから2回楽しめて面白いな、お得だなと感じています。

—— 私はできれば300ページもある契約書は見たくないと思うのですが、それを2回楽しめてお得だなんて私からすると信じられません。300ページもの契約書とは、大変なお仕事ですよね?

はい!大変なことは「本当に」多いです!(笑)
仕事楽しいんですか?とよく聞かれますが、もちろん「わっはっは」と笑うという意味での「楽しい」ではなく、達成感があるか、もっとやっていきたいと思うか、という「エンジョイできる」という意味で「楽しい」仕事だと思っています。

実際、仕事に携わる時間の99% は苦しいことや悩んでいる時間だったりします。残りの1%が「あーやっぱりやっててよかった!やってて楽しい!」と思う時間です。その1%は数字としては小さいですが、全体を通した時に得られる実感があまりに大きいので、楽しいし、エンジョイできると思っています。

—— 正直辞めたいと思ったことはありますか?

「あーもうこれはやだ!」と思うことはあります(笑)でも、「辞めたい」はないですね。
やっぱり仕事は自分のわくわくエンジンそのものだと思っていて、これがなくなったら自分じゃなくなってしまう。「やだ!」とは思うのですが、そこからどうすればこの「やだ!」と思う状態を改善できるのか、どうすれば課題を解決できるのかという考え方に切り替えられるのかが大切なカギだと思います。

05のコピー

「企業の子ども応援プロジェクト」について聞いてみた


—— 濱ちゃんが『企業の子ども応援プロジェクト』に参加するようになったきっかけを教えてください。

会社のすぐ前の桜並木で、小学校〜中学生くらいの男の子がセミを捕ろうと苦労していたところに声をかけて話をするようになったのがきっかけです。

虫の捕り方というと、友だちやおうちの人に教えてもらった記憶がありますが、その男の子は、スマホでYouTubeを見ながら道具もないまま手で捕まえようとしていたんです。セミの横から捕まえようとしていたので、セミの横からだとセミの視界に入っちゃって逃げられちゃうよって教えてあげたことがあって。
それがきっかけで会社の近くの学校に通っている生徒さんとお話しするようになり、同じコミュニティーで暮らしている人とのつながりを大切にしたいと思ったんです。地域にどう関わっていけるか、どう貢献できるか、どう橋渡しできるかを考えるようになりました。

—— プログラムは本社に子どもたちを招く形ですが、会社に来た中学生の反応はどうですか?

楽しみにして来てくれたという生徒さんと、やだなーという生徒さんと、生徒さんによって反応は違います。でも楽しみにして来ていただいた生徒さんにはさらに楽しく、いやだなーと思いながら参加する生徒さんには、ちょっとでも楽しんで、興味をもってもらえるように私から声かけをしていくようにしています。

—— プログラムに参加して何か印象に残ったことを教えてください。

開催するごとにいろんな生徒さんと接することができるので、毎回楽しんでいます。
印象に残っているのは、中国語が第一言語だという生徒さんがいらっしゃった時のことです。その生徒さんは中国語が第一言語で、細かいニュアンスまでは日本語で話すことができず、まわりの子どもたちも中国語が話せる様子ではありませんでした。そのため私が微妙なニュアンスを通訳しながらそのグループでは日本語と中国語を交えて話していました。(濱ちゃんは英語のほかにも、フランス語と中国語も話せるんですって!)

私が細かいニュアンスを通訳をすることで、日本人の生徒さんとよりスムーズにコミュニケーションが取れるようになって、ああ!そんなことを考えていたんだね!そんなこと好きだったんだ!、一緒なんだね!と会話が盛り上がって。生徒さん同士がより仲良くなるきっかけをつくれたのではないかと思います。

—— 濱ちゃんがこのキーパーソン21のプログラムに参加することによって自分自身が変わったと思ったことはありますか?

以前から自分でなんとなく「自分を動かす原動力」はこれだな、と感じていましたが、それを「わくわくエンジン」という考え方で、整理することができました。言葉で整理することで自分自身の考えを客観視でき、自分の中で整理できるのでスッキリしたのかなと思います。プログラムに参加することで自分の考えを整理でき、そして、赤坂というコミュニティの一員としてひとつ役割を果たすことができ、充実感や達成感がうまれたかなと思います。

—— 参加して感じたことなどあれば教えてください。

プログラムの中で、「将来何かなりたいものが決まっている人はいますか?」と質問するシーンがありますが、決まっていないことに対して、中にはネガティブに捉えてしまう生徒さんがいらっしゃいます。

でも、それって決して悪いことではなくて、ネガティブなものとして捉えて欲しくないと感じました。中学生の時から将来なりたいものをわかっていることはどちらかというと非常に恵まれていることであって、決まっていないからといって決して不安に思う必要はないと思います。

私も中学の時に大人から「将来何になりたいの?」と聞かれてもまだ本当の答えとして明確に答えられず、その大人の質問に答えるためだけの別の答えをいつも用意しておいてスルーしていました。
でもそのあと見つけることができ、今は仕事をエンジョイしています。

中学の段階では、何に自分が興味を持てるのか、情熱を持てるのか、何に対してだったら自分は頑張れるのかを見つけるのが僕は重要だなと思っています。

画像3

弟の結婚式ギリギリまで参加した理由


—— 噂によると、ご家族の結婚式に遅れてまで、赤坂中の子どもたちへのプログラム実施に参加されたとお聞きしましたが。

ああ!(笑)弟の結婚式がありましたが、ギリギリまでこちらに参加しましたね。

—— そこまでして参加していただいた理由は何でしょうか?

そうですね、毎回参加するものと思っていて(笑)
このプログラム実施は、生徒さんのキャリア研修という位置付けになっていますが、WOWOWは、社員の研修の一つとして位置付けています。

プログラムを通じて生徒さんと一緒にお話をし、どういうことを考えているかを聞くいい機会でもあり、逆にWOWOWがどういう会社であるかと紹介する機会でもあり、また我々にとっても得るものが多い研修になっていると思います。だからこそWOWOWも中学生との研修を我々社員の研修の一つとして位置付けているのではないかと思います。

—— 企業人と子どもたちが関わる意義があるということですよね。

はい。私は世界中の人々とお話しする機会はあるのですが、社会人より年下の方とお話しする機会というのはなかなかありません。今の中学生がどういうものに興味を持っているかは興味深いですね。WOWOWの社員としても、今の中学生がどういうものが好きで、興味を持っているのかを知ることができることは有意義であり、貴重な機会だと思います。

諦めるか諦めないかは自分でコントロールできること


—— これから濱ちゃんがやってみたいことはあるでしょうか?

これまでは、海外からの「!」を日本に向けて届けることが多いなと感じています。しかし、これからは日本発の、日本から世界へ向けた「!」を多く届けることができればいいなと考えています。

—— 実際にできると思いますか?

できると思います。

—— それはどうしてでしょう?

できるまで諦めないからです。

自分自身でコントロールできないことはいろいろありますが、諦めるか諦めないかは自分でコントロールできることです。「結局、すべて自分次第」

諦めなければ達成できると思っています。

子ども時代は無限の可能性がある

01のコピー


—— 最後に子どもたちに伝えたいことがあればお聞かせください。

はい。中学生のころは無限の可能性がある時期なので、まずはいろんな自分の「好き!」を見つけてみてください。

好きなものを聞かれてもすぐに答えが出ないこともあると思います。もしすぐ答えが出なかったとしても決して焦る必要はなくて、自分はどのようなことに興味があるんだろう、自分は何に対して情熱を持てるんだろうなど、自分で「自分」を探るところから始めるといいと思います。

学生時代は時間にも余裕があり、好きなことに没頭できる時期だと思います。学生時代に経験したこと、出会えた人やモノが今の私につながっていると思います。

おうちの方の承諾が得られないと難しいこともあるかもしれませんが、無限の可能性があってそれを徹底的にチャレンジできるのは学生時代が絶好の機会だと思います。ぜひ自分の「好き!」を探してみて、みつけられたら徹底的にチャレンジしてみてください!

(編集あとがき)
まだまだ聞きたいことがありましたが、あっという間にインタビューの時間が終了です。濱ちゃんのように「わくわくエンジンと仕事が直結しています」と楽しそうに語る大人と出会えたら、きっと子どもたちの心の中に、仕事をエンジョイするイメージがくっきりと刻まれるのでしょう。

そして将来子どもたちが進路を選択するときに、きっと濱ちゃんの笑顔を思い出して大きな力になるのだろう、そんなことを思いました。地域の子どもたちと企業がつながると、未来に向けて多くの可能性が生まれる、そんなことを実感したインタビューでした。
(ライター・てらっち)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?