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「遅いインターネット(先行公開)」#3 平成の「改革」はなぜ失敗したか

平成とは「失敗したプロジェクト」である。それが僕の基本的な認識です。そしてその巨大な失敗のひとつが平成の「政治改革」だったことは間違いがない。テレビポピュリズムを用いて既存政党の組織票に対抗し、「改革」を実現するーーこの戦略はなぜ挫折したのか。そしてこの失敗から僕たちはいまなにを学びとるべきなのか。これらの総括がないかぎり、この国は平成の「失われた30年」を無限に延長し続ける。僕はそう考えています。

■平成の「改革」はなぜ失敗したか

 ではこの「平成」という「改革」プロジェクトはなぜ失敗したのだろうか。
 小沢一郎、小泉純一郎、橋下徹、小池百合子――その所属勢力こそ異なるが、平成という時代は小さな政府/構造改革を唱えるカリスマ的なリーダーがテレビポピュリズムを用いて、55年体制的な戦後政治を打破しようとした時代だった。そして彼らは相応に成果を上げていったが、しかし誰ひとりとしてその志を貫徹できなかった。それは彼らの選んだテレビポピュリズムという手法の限界でもあった。
 ポピュリズムはその性質上持続可能性が低い。最初の選挙ではうまくメディアを操作し、ワイドショーとTwitterの「潮目」を読んで善玉として扱われたとしても、2回目、3回目の選挙でうまくいくケースはほとんどない。あの天才・小泉純一郎ですら、5年で「勝ち逃げ」することが精一杯だった。
 したがってポピュリストは「風」を吹かせ、選挙に勝利したあとは次の選挙に向けて組織票を固めなければならないが、都市の無党派層に対するテレビポピュリズムによる集票を試みた彼らはいずれも、それができなかった(理解が浅く、その可能性を追求できなかった)。

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インターネットによって失った未来をインターネットによって取り戻す――
インターネットは世の中の「速度」を決定的に上げました。しかしその弊害がさまざまな場面で現出しています。世界の分断、排外主義の台頭、そしてポピュリズムによる民主主義の暴走は、「速すぎるインターネット」がもたらすそれの典型例です。インターネットによって本来辿り着くべきだった未来を取り戻すには今何が必要なのか、提言します。


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