閉じる国家と開く都市(庭の話 #15)
昨年末から僕が『群像』誌で連載している『庭の話』を、数ヶ月遅れで掲載しています。今回載せるのは第15回です。過去の連載分は購読をはじめると全部読めるように設定し直しておいたので、これを機会に購読をよろしくお願いします。
1.孤独と自立
まずは、前回の議論の補足からはじめたい。人間を孤独にする場所であること、それが私の考える「庭」の最後の条件だ。
私たちはここで、初回で論じた吉本隆明の『共同幻想論』をめぐる議論を思い出すべきだろう。
吉本は1960年代の学生反乱の季節