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日本の書籍はどこへいったのか?世界3番目のブックフェアにて(後編) | 鷹鳥屋明

鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』。前編に引き続き、中東最大の本の見本市「シャルジャ・ブックフェア」のレポートです。子供向けの絵本や知育玩具では、イスラム文化圏らしくムハンマドやコーランを題材にしたグッズが充実。「忍者」や「和食」など、日本文化を紹介するワークショップは、現地の人々に大人気だったようです。

鷹鳥屋明『中東で一番有名な日本人』
第16回 日本の書籍はどこへいったのか?世界3番目のブックフェアにて(後編)

アラブ世界ならではと言える知育・玩具紹介

前編でお話したシャルジャ・ブックフェア、残念ながら日本の書籍をほとんど見ることができない(一部有志による出版社の出店を除く)今回の書籍イベントですが、この日本から遠い場所で開催されているこの会場では日本人である我々にあまり馴染みのない珍しい品々を見ることができます。

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▲シャルジャ・ブックフェア内、学生と教師で溢れる様子

現在、アラブ諸国の人口ピラミッドは末広がりの構造になっており若年層が厚くなっております。そのためその若年層向けの書籍や商品の比率がとても高いと言えます。大量の絵本や漫画の類が若年層向けに展開されているのは当然と言えますが、その中でも日本の絵柄やデザインをコピーしたものを垣間見ることができます。

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▲日本の漫画の影響を少し受けたようなUAE現地の漫画作品

さらに中東のご当地ならでは、と言えるグッズがあり我々日本人にはなかなか珍しいものが多く、見応えがあると言えます。

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▲シリアの出版社によるアラビア語・知育グッズコーナー

書籍だけではなく子供達が楽しく学べるような工夫を凝らした作品は特に見応えがあります。学校教育系の工夫を凝らした知育グッズはいくつかありますが、そこは日本やヨーロッパと大きな差はありません。ですが、大きな違いは若年層向けの宗教教育にあると考えられます。それらをピックアップしてみましょう。
私のオススメはお人形の「タリアちゃん」。左手にあるボタンを押すとイスラームの聖句を唱えるというお人形遊びと宗教教育を両立させた人形です。

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▲聖句おしゃべり人形タリアちゃんとその笑顔

このタリアちゃん、左手のボタンを押すと女性の声でクルアーンの聖句を奏でます。また「聖なる玩具」という点では預言者ムハンマドの一生を辿る双六(すごろく)もありました。このゲームもなかなか手が込んでおり面白いのが、聖地各地を巡る中でコマの中にイスラームの教えが書かれていたり、物語を進めるにあたり必要な服やテント、巡礼用の道具などを買わないといけなかったり、となかなか実際の生活に即した内容になっています。どちらかというと双六というより人生ゲームと言った方が近いかもしれないですが。

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▲左、預言者ムハンマドの生涯を辿る双六(人生ゲーム)

このように宗教関連の児童教育本はかなり充実しており本だけでなく玩具の類も多くあります。子供のうちからイスラームとして模範的な生活とはなんなのか、を学ぶツールのバリエーションの多さを感じます。

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宇野常寛が編集長をつとめる〈PLANETS〉の公式noteです。政治からサブカルチャーまで、ざまざまな分野のスペシャリストが集まっています。独自の角度と既存メディアにはできない深度で、読むと世界の見え方が変わる記事を月に20本以上の記事を配信しています。

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