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アニメには人生を賭ける価値がある | 山本寛監督

今朝のメルマガは新連載です。『らき☆すた』や『かんなぎ』で知られるアニメ監督・山本寛さんの、これまでの活動を総括するロングインタビューをお届けします。
第1回では、宮﨑駿監督の影響のもとアニメ監督を志し、京都大学のアニメ同好会で自主制作映画を作っていた頃のエピソードについてお話を伺いました。◎取材・構成:高瀬司

山本寛監督インタビュー「いまだからこそ語るべきアニメのこと」
第1回 アニメには人生を賭ける価値がある

命を賭するに値するもの

――本日は山本寛監督のこれまでのご活躍を総括する、かなりの長時間インタビューをお願いしておりますが、取材に先立ち、山本監督が現在、お立場上語ることのむずかしいトピックについて確認させてください。ブログTwitterなどでは『Wake Up, Girls!』の現状や今後については何も発言できないともおっしゃられていましたが(※編注:2016年12月11日に『Wake Up, Girls! 新章』が発表された)、同様に以前所属されていた京都アニメーションさんについても、公に語るのはむずかしいのではないかと思うのですが……。

山本 基本的に話せることであればなんでも話すつもりですよ。『Wake Up, Girls!』についても、トピックが限定されてはしまいますが、なるべく話したいとは思っています。また古巣の京都アニメーションについては、確かに以前は語りづらかったんですが、いまとなっては一周回って逆に一番話しやすくなってるんですよ(笑)。『涼宮ハルヒの憂鬱』から10年が経ち、もう時効になったような話も多くなりましたし、むしろ積極的に語っていきたいという気持ちがありますね。

――それは個人的にも非常に楽しみです。では本日は、山本監督のこれまでの歩みのなかで、Ordet設立までを中心にうかがわせてください。特に情報の少ない京都アニメーションさんの舞台裏やことの顛末については、知りたがっているファンがたくさんいると思います。
それでまずはじめに、定番の質問となりますが、山本監督にとってのアニメの原体験をうかがえるでしょうか。

山本 決定的だったのは、中学1年生のときに偶然テレビで観た『天空の城ラピュタ』(1986年)ですね。空からシータが降ってきた翌朝、彼女が屋根の上に登るとハトが一斉に飛んでくるシーンから観はじめたんですが、その時点でもう夢中になってしまって。それが僕にとってのアニメの原体験です。もちろんそれ以前もアニメを観てはいましたが、『ラピュタ』のそのシーンを観た瞬間、一気にアニメの魅力に引きこまれたんですよ。

――ちなみにそれ以前の、子どものころご覧になっていた作品というのは?

山本 当時はゴールデンタイムにアニメを放映していた時代だったので、夕飯どきに流れていた『Dr.スランプ アラレちゃん』(1981-1986年)や『パタリロ!』(1982-1983年)、『小公女セーラ』(1985年)や『愛少女ポリアンナ物語』(1986年)といった「世界名作劇場」シリーズなどを、お茶の間で家族と一緒によく観ていました。

――しかしその当時はまだ、アニメを特別なものとは感じてはいなかったと。

山本 テレビっ子だったので自然と、なんとはなしに観ていただけでしたね。そのころはマンガ家になりたいと思ってたんですよ。小学生のころに藤子不二雄先生の『まんが道』(1977-1982年)に出会い、ものすごく影響を受けたんです。だから藤子先生のアシスタントになりたいと、ファンレターを出したりもしましたね。ただ、当時から自分の画力では不十分だという自覚があって。練習はしていたのですがこのクオリティではダメだと、マンガ家の道は中学に入ったころに諦めたんです。そんなとき『天空の城ラピュタ』と出会い、俄然アニメに心惹かれるようになりました。さらに調べてみると、高畑(勲)さんや押井(守)さんなど、アニメは自分で絵を描かなくても監督ができるということがわかってきて……それで「アニメだ!」と(笑)。

――(笑)。そのころ印象的だったりよく観ていたりした作品というと?

山本 ひたすら宮﨑駿さんの研究をしていましたね。『ラピュタ』は70回以上は観ましたし、『風の谷のナウシカ』(1984年)も50回は観ています。ほかにも『月刊アニメージュ』を買って、宮﨑さんについてのインタビューや紹介記事、当時連載中だった『風の谷のナウシカ』の原作マンガを読んだりしていました。その後『トップをねらえ!』(1988-1989年)と『ふしぎの海のナディア』(1990-1991年)を通じて庵野(秀明)さんの存在を知ってからはガイナックスにもハマるわけですが、それまではひたすら宮﨑さんでしたね。それで徹底的に研究して、アニメというものが自分の人生を賭けるに値するかどうかを見極めようしたんですよ。それで、中学3年生の夏休みにはもう、自分は将来アニメ監督になると心に決めていました

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宇野常寛が編集長をつとめる〈PLANETS〉の公式noteです。政治からサブカルチャーまで、ざまざまな分野のスペシャリストが集まっています。独自の角度と既存メディアにはできない深度で、読むと世界の見え方が変わる記事を月に20本以上の記事を配信しています。

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