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そこには確かに「いくつもの片隅」があった-『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』 | 山本寛

アニメーション監督の山本寛さんによる、さまざまな作品の分析を通じてアニメの深奥にある「意志」を浮き彫りにする連載の第4回。今回取り上げるのは、現在公開中の『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』。2016年公開の『この世界の片隅に』ではカットされた重要な原作エピソードを新作シーンとして入れ込み、「別の映画」として再構成した本作の成否は、長年の原作ファンであり、2016年版映画も破格に評価していた山本さんの目には、どのように映ったのでしょうか?

山本寛 アニメを愛するためのいくつかの方法
第4回 そこには確かに「いくつもの片隅」があった-『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』

2019年10月、韓国の富川国際アニメーション映画祭に拙作『薄暮』(2019)がノミネートされ、招待されて行ったら、偶然にもレセプションパーティにて、名誉賞を受賞された片渕須直監督と同席になった。
大変緊張した。
お会いするのは二回目だったが、覚えてくださっていたようだ。
僕の岡田斗司夫さんとの対談(ニコニコ生放送「岡田斗司夫×山本寛『どうなるアニメ業界!?10月クライシスから宮崎駿復活まで、とことん語るSP』」)も観てくださっていたらしい。

ならば、と思い、完成間近の『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(2019)の話を振ってみた。
「敢えて切ったところを戻すとは、プレッシャーじゃないですか?」
「いやいや、あれは別物なんだよ」
「別?」
「僕は『この世界の片隅に』とは別の作品として作ってるんだ!」

別かぁ……?
ちょっと、釈然としなかった。

で、先日『(さらにいくつもの)片隅に』を観た。
今回はこの不世出の名作に傷を付けぬよう(笑)語ってみたいと思う。

まずは、やはりと言っては何だが、新作部分は原作で描かれなかったところそっくりそのままだった。
現時点で詳細な分析はできないが、1コマたりとも撃ち漏らしてないのではなかろうか。
徹底した「原作準拠」、これについては後で語る。

そして、これもまたやはりと言っては何だが、長い。
2時間47分は長い。
その長さを感じさせる理由はもう一つあって、新作部分の編集のテンポ感が、旧作部分にくらべてゆったり遅いのだ。
だからひとつなぎで観ると妙にちぐはぐだ。同じ映画なのに二本の作品を観せられている気分になる。

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宇野常寛が編集長をつとめる〈PLANETS〉の公式noteです。政治からサブカルチャーまで、ざまざまな分野のスペシャリストが集まっています。独自の角度と既存メディアにはできない深度で、読むと世界の見え方が変わる記事を月に20本以上の記事を配信しています。

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