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母と娘の物語

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書評家の三宅香帆さんによる、国内のさまざまなフィクションで幾度も反復して描かれてきた「母」と「娘」の物語に潜む本質を読み解く連載
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#角田光代

角田光代──嫉妬される娘|三宅香帆

今朝のメルマガは、書評家の三宅香帆さんによる連載「母と娘の物語」をお届けします。今回は小説家・角田光代の作品で描かれる母娘関係について考察します。母親から娘へ、または娘から母親へ注がれる同化の視線が交差して描かれる角田光代の小説『銀の夜』。各々の登場人物が持つ嫉妬の感情について考察します。 三宅香帆 母と娘の物語 第六章 角田光代──嫉妬される娘1.母と娘の嫉妬の関係前章で母と娘の関係には、同化のまなざしがあることを指摘した。母から娘への独占や同化という欲望は、母息子の関係

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