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母と娘の物語

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書評家の三宅香帆さんによる、国内のさまざまなフィクションで幾度も反復して描かれてきた「母」と「娘」の物語に潜む本質を読み解く連載
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#松浦理英子

松浦理英子──同化する娘(後編)|三宅香帆

今朝のメルマガは、書評家の三宅香帆さんによる連載「母と娘の物語」をお届けします。今回は松浦理英子の小説をめぐる考察の後編です。短編小説「肥満体恐怖症」は、肥満体質の母を病気で亡くした主人公・唯子が肥満体の同級生たちから持ち物を盗む話です。主人公を通して、母から娘だけでなく、娘から母への感情にも同性愛的な愛情が存在することを示唆していると指摘します。 (前編はこちら) 三宅香帆 母と娘の物語 第五章 松浦理英子──同化する娘(後編)4.侵入を許す娘 ──「肥満体恐怖症」

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松浦理英子──同化する娘(前編)|三宅香帆

今朝のメルマガは、書評家の三宅香帆さんによる連載「母と娘の物語」をお届けします。同性であるがゆえに娘に強い同一化を求める母娘関係は、これまで様々なフィクションで描かれてきました。今回は小説家・松浦理英子の作品で描かれる母娘関係を手がかりに、同一化欲求を超えた「愛情」を望む母娘関係について、前後編で考察します。 三宅香帆 母と娘の物語 第五章 松浦理英子──同化する娘(前編)1.母娘と「ヘドロのような」同一化欲求母と娘の関係と、父と息子の関係の何が最も異なるのか。 もちろんそ

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