マガジンのカバー画像

母と娘の物語

15
書評家の三宅香帆さんによる、国内のさまざまなフィクションで幾度も反復して描かれてきた「母」と「娘」の物語に潜む本質を読み解く連載
運営しているクリエイター

#川上未映子

川上未映子──保守化する娘(後編)|三宅香帆

今朝のメルマガは、書評家の三宅香帆さんによる連載「母と娘の物語」をお届けします。今回取り上げるのは川上未映子の作品です。母を愛し、自らも母となる「保守化」した娘が諸作品で描かれていた1990年代。一転して川上未映子が2008年に描いた『乳と卵』には、母を愛しながらも、「母性」の暴力性に自覚的であるがゆえに葛藤する娘の姿がありました。 (前編はこちら) 三宅香帆 母と娘の物語 第十章 川上未映子──保守化する娘(後編)|三宅香帆3.母性の暴力性―『乳と卵』2008年、信

有料
500

川上未映子──保守化する娘(前編)|三宅香帆

今朝のメルマガは、書評家の三宅香帆さんによる連載「母と娘の物語」をお届けします。団塊ジュニア世代の漫画家の多くが「母殺しの困難」「重みとなる母」を描いていたのに対して、1990年代には素直に母を愛し、自らも母性を獲得していく娘が諸作品でみられるようになりました。そうした娘の「保守化」が生じた1990年代の作品史をたどります。 三宅香帆 母と娘の物語 第十章 川上未映子──保守化する娘(前編)|三宅香帆1.保守化する娘―団塊ジュニア世代の娘たち本連載でも冒頭から見てきたように

有料
500