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成馬零一『テレビドラマクロニクル(1995→2010)』

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1995年から2010年のテレビドラマでは何が起きていたのか、ドラマ評論家の成馬零一さんがこの時代の年代記をまとめます。
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#宮藤官九郎

4/8(木)まで書き下ろし原稿&オンライン講義視聴チケットつき! 成馬零一『テレビドラマクロニクル 1990→2020』PLANETSオンラインストアにて予約開始

PLANETSより、ドラマ評論家・成馬零一さんの最新刊『テレビドラマクロニクル 1990→2020』が発売となります。 昭和の終わりとともに世紀末を駆け抜けた1990年代の旗手・野島伸司。 マンガ・アニメとの共鳴で2000年代の映像表現を革命した堤幸彦。 若者カルチャーの異端児から2010年代の国民作家へと進化を遂げた宮藤官九郎。 平成を代表する3人の作品史をはじめ、坂元裕二、野木亜紀子などの作家たちが、令和の現在に創作を通じて切り拓いているものとは──? バブルの夢に

宮藤官九郎 『いだてん~東京オリムピック噺~』とフィクションの最前線 | 成馬零一

ドラマ評論家の成馬零一さんが、90年代から00年代のテレビドラマを論じる『テレビドラマクロニクル(1995→2010)』。今回は番外編として、現在放送中のNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』を取り上げます。宮藤官九郎作品の総決算的な意味を持つ本作が、大河ドラマの鬼門である「明治以降」をどのように描こうとしているのか、スポーツや落語を通じて、政治性抜きの「男の子の物語」を復権させようとする、その試みについて読み解きます。 テレビドラマクロニクル(1995→201

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宮藤官九郎(1) 大人計画と松尾スズキ | 成馬零一

ドラマ評論家の成馬零一さんが、90年代から00年代のテレビドラマを論じる『テレビドラマクロニクル(1995→2010)』。今回より宮藤官九郎編が始まります。劇団・大人計画を主宰する松尾スズキによって才能を見出された宮藤。後に平成を代表する脚本家となる宮藤と、近年は純文学作家として評価が高い松尾の資質の違いについて、90年代に2人が脚本を共作した、ある深夜ドラマを手がかりに考えます。 テレビドラマクロニクル(1995→2010) 宮藤官九郎(1) 大人計画と松尾スズキ 成馬

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宮藤官九郎(2) 演劇とお笑い クドカンを育んだ小劇場演劇 | 成馬零一

ドラマ評論家の成馬零一さんが、90年代から00年代のテレビドラマを論じる『テレビドラマクロニクル(1995→2010)』。今回は、宮藤官九郎のルーツである戦後の演劇文化を論じます。新左翼の強い影響下にあった小劇場演劇は、80年代以降は学生運動を相対化する「笑い」に転じ、「身体の再解釈」という主題を得て、つかこうへい、野田秀樹、鴻上尚史、平田オリザといった才能を輩出します。 テレビドラマクロニクル(1995→2010) 宮藤官九郎(2) 演劇とお笑い クドカンを育んだ小劇場演

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宮藤官九郎(3)『三月の5日間』と『鈍獣』 | 成馬零一

ドラマ評論家の成馬零一さんが、90年代から00年代のテレビドラマを論じる『テレビドラマクロニクル(1995→2010)』。松尾スズキの漫画的方法論と、平田オリザの現代口語演劇は、2000年代以降、劇団☆新感線やチェルフィッシュといった劇団によって拡大・発展を遂げます。その二極化を象徴するのが、2005年に岸田國士戯曲賞を同時受賞した、岡田利規『三月の5日間』と宮藤官九郎『鈍獣』でした。 テレビドラマクロニクル(1995→2010) 宮藤官九郎(3)『三月の5日間』と『鈍獣』

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宮藤官九郎(4)『木更津キャッツアイ』が描いた「地元」と「普通」 | 成馬零一

ドラマ評論家の成馬零一さんが、90年代から00年代のテレビドラマを論じる『テレビドラマクロニクル(1995→2010)』。宮藤官九郎編の第4回では、初期の代表作『木更津キャッツアイ』を取り上げます。「地元」と「普通」を主題にした本作は、一部の識者からバブル批判の文脈で称賛されます。しかし、そこで本当に描かれていたのは、均質化した郊外と「普通」すら困難になりつつある時代の訪れでした。 テレビドラマクロニクル(1995→2010) 宮藤官九郎(4)『木更津キャッツアイ』が描いた

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宮藤官九郎(5) 木更津キャッツアイ(後編)「アトムの命題」とジャニーズ・アイドル | 成馬零一

ドラマ評論家の成馬零一さんが、90年代から00年代のテレビドラマを論じる『テレビドラマクロニクル(1995→2010)』。今回は、『木更津キャッツアイ』から宮藤官九郎の作家性を掘り下げます。本作の主人公・ぶっさんの〈死〉をめぐる物語は、生身のアイドルの有限性と相まって、〈終わらない日常〉と〈死なない身体〉への鋭い批評性を体現していました。 テレビドラマクロニクル1995→2010 宮藤官九郎(5) 木更津キャッツアイ(後編)「アトムの命題」とジャニーズ・アイドル 成馬零一【

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宮藤官九郎(6) クドカンドラマの女性観 | 成馬零一

ドラマ評論家の成馬零一さんが、90年代から00年代のテレビドラマを論じる『テレビドラマクロニクル(1995→2010)』。『木更津キャッツアイ』をはじめ、男性を中心としたコミュニティの描写を得意とする宮藤官九郎は、ある時期まで、恋愛に対しては非常に冷めた視線を向けていました。今回は初期のクドカンドラマが女性をどのように描いてきたかを振り返ります。 テレビドラマクロニクル1995→2010 宮藤官九郎(6) クドカンドラマの女性観 成馬零一【公式オンラインストアにて特別電子

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宮藤官九郎(7) 『マンハッタンラブストーリー』と恋愛ドラマの変節 | 成馬零一

ドラマ評論家の成馬零一さんが、90年代から00年代のテレビドラマを論じる『テレビドラマクロニクル(1995→2010)』。今回は低調な視聴率ながら、今なお高く評価されている異色の恋愛ドラマ『マンハッタンラブストーリー』(2003年)を取り上げます。喫茶店を舞台に次々と連鎖する片思い、さらにその関係の入れ替え可能性を描いた本作には、普通の恋愛ドラマが成立しにくくなった当時の時代性が如実に投影されていました。 テレビドラマクロニクル(1995→2010) 宮藤官九郎(7) 『

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宮藤官九郎(8)『タイガー&ドラゴン』(前編) | 成馬零一

ドラマ評論家の成馬零一さんが、90年代から00年代のテレビドラマを論じる『テレビドラマクロニクル(1995→2010)』。今回は2005年放送の『タイガー&ドラゴン』を取り上げます。前作『マンハッタンラブストーリー』の失敗からヒットを義務付けられた本作は、第一期クドカンドラマの集大成であると同時に、「笑い」が宮藤官九郎の思想として確立される最初のきっかけでもありました。 テレビドラマクロニクル(1995→2010) 宮藤官九郎(8)『タイガー&ドラゴン』(前編) 成馬零一【

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宮藤官九郎(9)『タイガー&ドラゴン』(後編) 笑えない噺なんか、誰も聞きたくないだろ? | 成馬零一

ドラマ評論家の成馬零一さんが、90年代から00年代のテレビドラマを論じる『テレビドラマクロニクル(1995→2010)』。今回は『タイガー&ドラゴン』の後編です。古典落語を下敷きに不器用な二人の主人公の生き方を描いた本作が最後に辿り着いたのは、「笑えない現実」に対して、「笑い」はいかに向き合うのかというテーマでした。 テレビドラマクロニクル(1995→2010) 宮藤官九郎(9)『タイガー&ドラゴン』(後編) 笑えない噺なんか、誰も聞きたくないだろ? 成馬零一【公式オンライ

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