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遅いインターネット会議(配信書き起こし)

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「遅いインターネット」計画の一貫として、政治からサブカルチャーまで、ビジネスからアートまでさまざまな分野の講師を招き、参加者と共に考える場を構築します。
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2023年5月の記事一覧

「ショートムービー以降」のインターネット(後編)|天野彬

情報との出会い方宇野 「タグる」というキーワードが昔からありますが、この本でもすごく重視されていますよね。最初にこの言葉が定着したのはたぶんインスタだと思うんですが、インスタの「タグる」からTikTokの「タグる」への変化について聞いてみたいと思います。 天野 僕が「タグる」を提唱するようになったのは2016年頃で、リサーチを通じて多くのユーザーがインスタで情報を探すようになっているとわかったんです。それがまず一つ面白いところだなと思ったんですよね。流行りのお店を探すのも

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「ショートムービー以降」のインターネット(前編)|天野彬

「ショートムービー以降」のインターネット(前編)|天野彬宇野 本日は「ショートムービー」をテーマに対談を企画しました。10代を中心に若い世代の消費行動に圧倒的な影響力を持っていると言われる、TikTokをはじめとしたショートムービーですが、僕たちの世代からすると別世界にも思えるこの新世代の利用スタイルをどう受け止めるべきなのか。近刊『新世代のビジネスはスマホのなかから生まれる』で注目の、天野彬さんと議論していこうと思います。天野さん、よろしくお願いします。 天野 よろしく

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なぜ人は映画を早送りで観るようになったのか(後編)|稲田豊史

■4.20世紀の映像文化の方が特例だった 宇野 僕が何を言いたいかというと、映像作品に対して「コミュニケーション」が優位になっている状況は、制作者側が賢くなるとか供給側の人間が何かもっとクレバーにやっていくだけでは覆らないと思うんです。これは残酷な話だと思うけど、そもそも20世紀後半のように多様なポップカルチャーがマスメディアに流通していたのは、けっこう奇跡的な状況だったんじゃないか。それは、まだコンテンツ消費に対してコミュニケーション消費が優勢になってない時期だから成り

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なぜ人は映画を早送りで観るようになったのか(前編)|稲田豊史

なぜ人は映画を早送りで観るようになったのか(前編)|稲田豊史 ■1.「ファスト視聴」蔓延の理由宇野 今日の対談のテーマは「映画を早送りで観る人たち」です。YouTubeによく上がっている、「ファスト映画」と呼ばれる動画をご存知の方も多いと思います。商業的な映画作品をダイジェストにして、5分か10分で結末までわかる、予告編のちょっと長くなったバージョンみたいなものです。著作権的には完全にアウトなんですけど、こういうものが今、けっこうはびこっている。そして実際、「映画はもうそれ

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