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遅いインターネット会議(配信書き起こし)

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「遅いインターネット」計画の一貫として、政治からサブカルチャーまで、ビジネスからアートまでさまざまな分野の講師を招き、参加者と共に考える場を構築します。
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記事一覧

「ショートムービー以降」のインターネット(後編)|天野彬

情報との出会い方宇野 「タグる」というキーワードが昔からありますが、この本でもすごく重視されていますよね。最初にこの言葉が定着したのはたぶんインスタだと思うんですが、インスタの「タグる」からTikTokの「タグる」への変化について聞いてみたいと思います。 天野 僕が「タグる」を提唱するようになったのは2016年頃で、リサーチを通じて多くのユーザーがインスタで情報を探すようになっているとわかったんです。それがまず一つ面白いところだなと思ったんですよね。流行りのお店を探すのも

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「ショートムービー以降」のインターネット(前編)|天野彬

「ショートムービー以降」のインターネット(前編)|天野彬宇野 本日は「ショートムービー」をテーマに対談を企画しました。10代を中心に若い世代の消費行動に圧倒的な影響力を持っていると言われる、TikTokをはじめとしたショートムービーですが、僕たちの世代からすると別世界にも思えるこの新世代の利用スタイルをどう受け止めるべきなのか。近刊『新世代のビジネスはスマホのなかから生まれる』で注目の、天野彬さんと議論していこうと思います。天野さん、よろしくお願いします。 天野 よろしく

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なぜ人は映画を早送りで観るようになったのか(後編)|稲田豊史

■4.20世紀の映像文化の方が特例だった 宇野 僕が何を言いたいかというと、映像作品に対して「コミュニケーション」が優位になっている状況は、制作者側が賢くなるとか供給側の人間が何かもっとクレバーにやっていくだけでは覆らないと思うんです。これは残酷な話だと思うけど、そもそも20世紀後半のように多様なポップカルチャーがマスメディアに流通していたのは、けっこう奇跡的な状況だったんじゃないか。それは、まだコンテンツ消費に対してコミュニケーション消費が優勢になってない時期だから成り

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なぜ人は映画を早送りで観るようになったのか(前編)|稲田豊史

なぜ人は映画を早送りで観るようになったのか(前編)|稲田豊史 ■1.「ファスト視聴」蔓延の理由宇野 今日の対談のテーマは「映画を早送りで観る人たち」です。YouTubeによく上がっている、「ファスト映画」と呼ばれる動画をご存知の方も多いと思います。商業的な映画作品をダイジェストにして、5分か10分で結末までわかる、予告編のちょっと長くなったバージョンみたいなものです。著作権的には完全にアウトなんですけど、こういうものが今、けっこうはびこっている。そして実際、「映画はもうそれ

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「ムジナの庭」では何が起きているのか(後編)|鞍田愛希子

※本対談で登場する「ムジナの庭」へ訪問した詳細なルポルタージュは、『モノノメ#2』に掲載されています。詳細はPLANETS公式オンラインストアにて。 「ムジナの庭」では何が起きているのか(後編)|鞍田愛希子「場」から「庭」へ宇野 前編で愛希子さんが言っていた「家から庭へ」は、僕も最近考えていたことです。僕は専門としてメディア論に近いところにいるんですが、いまはインターネット=SNSのプラットフォームのコミュニケーションは、言葉中心のコミュニケーションで、相手が人間しかいない

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「ムジナの庭」では何が起きているのか(前編)|鞍田愛希子

※本対談で登場する「ムジナの庭」へ訪問した詳細なルポルタージュは、『モノノメ#2』に掲載されています。詳細はPLANETS公式オンラインストアにて。 「ムジナの庭」では何が起きているのか(前編)|鞍田愛希子居心地のいいみんなの「庭」を目指して〜「ムジナ」に込めた思い宇野 本日のテーマは3月に刊行した雑誌『モノノメ』の第2号でも特集させていだだいた、就労支援施設「ムジナの庭」です。就労支援施設と聞いてピンとこない方もいると思うのですが、いろんな分野の障害を持っている方が働ける

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「政策起業家」が行き詰まりの日本を変える可能性を徹底的に追求する|駒崎弘樹

本日のメルマガは、認定NPO法人フローレンス 代表理事の駒崎弘樹さんと宇野常寛との対談をお届けします。 「政治参加」と言えば選挙やデモなど、積極的な行動を取る手段がイメージされがちな日本。しかし「政策起業家」の駒崎さんによれば、むしろ「普通の人々」の現場の声こそが政治を動かすのだと言います。そうした普通の人々が社会を変えていくためにはどうすればいいのか、駒崎さんの近刊『政策起業家:「普通のあなた」が社会のルールを変える方法』を手がかりに議論しました。 (構成:野中

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平成を「ヒット曲」から振り返る(後編)|柴那典

本日のメルマガは、音楽ジャーナリスト・柴那典さんと宇野常寛との対談(後編)をお届けします。 音楽バブルとでも言うような1990年代から一転、「大衆的」なものが捉えにくくなったゼロ年代からの音楽シーンを分析し、現代のアングラカルチャーからオルタナティブな感性が現れる可能性について論じます。 前編はこちら。 (構成:目黒智子、初出:2021年12月9日「遅いインターネット会議」) 平成を「ヒット曲」から振り返る(後編)|柴那典音楽シーンとユースカルチャーの乖離

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平成を「ヒット曲」から振り返る(前編)|柴那典

本日のメルマガは、音楽ジャーナリスト・柴那典さんと宇野常寛との対談をお届けします。 昭和の終焉を象徴する、美空ひばり「川の流れのように」から、令和の幕を開けた米津玄師「Lemon」まで、30のヒット曲から「平成」という時代の深層心理をさぐった柴さんの近刊『平成のヒット曲』。数ある平成のミリオンセラーから選んだ30曲の選曲意図から、柴さん独自の視点で平成を通時的に捉えます。 (構成:目黒智子、初出:2021年12月9日「遅いインターネット会議」) 平成を「ヒット曲

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正義を振りかざす「極端な人」から社会を守る|山口真一

今朝のメルマガは、PLANETSのインターネット番組「遅いインターネット会議」の登壇ゲストによる自著解説をお届けします。 今回は、経済学者としてネット炎上分析に携わる山口真一さんをゲストにお迎えした「正義を振りかざす『極端な人』から社会を守る」(放送日:2020年10月27日)内で紹介された、『正義を振りかざす「極端な人」の正体』について。 ネット上の過激な世論を形成する「極端な人」の正体とは何か。「インフォデミック」としてのコロナ禍を通して、情報リテラシーの向上

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人間はなぜAIにキャラクターを欲望するのか|三宅陽一郎

今朝のメルマガは、PLANETSのインターネット番組「遅いインターネット会議」の登壇ゲストによる自著解説をお届けします。 本日は、ゲームAI開発者として知られる三宅陽一郎さんをゲストにお迎えした「人間はなぜAIにキャラクターを欲望するのか」(放送日:2021年1月19日)内で紹介された、『人工知能が「生命」になるとき』について。 アカデミズムの場で語られるような、人間の知的機能の再現を追求する「人工知能」と、ポップカルチャーの中でイメージされるキャラクター的な「人

「発明の条件」を考える|暦本純一

今朝のメルマガは、PLANETSのインターネット番組「遅いインターネット会議」にて、登壇されたゲストさんによる自著解説の書き起こしをお届けします。 本日は、「スマートスキン」の開発者として知られる暦本純一さんをゲストにお迎えした「『発明の条件』を考える」(放送日:2021年2月2日)内で紹介された、『妄想する頭 思考する手:想像を超えるアイデアのつくり方』について。 メディアアーティスト・落合陽一さんも学生のころに学んでいたという暦本さんの研究法について書かれた本

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音楽とハリウッド映画からBLMを読み解く|柴那典・藤えりか

今朝のメルマガは、イベント「遅いインターネット会議」の冒頭60分間の書き起こしをお届けします。 本日は、音楽ジャーナリストの柴那典さんと朝日新聞経済部兼GLOBE編集部記者の藤えりかさんをゲストにお迎えした「文化現象としてのBLM」の後編です。 白人警官の取り調べで黒人男性ジョージ・フロイド氏が死亡した事件をきっかけに改めて広がったBLMムーブメントの中で、とりわけ音楽の世界はいち早く反応し、直接的な「怒り」を示しました。一方、『ブラックパンサー』の大ヒットに結実

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文化現象としてのBLM|柴那典・藤えりか

今朝のメルマガは、イベント「遅いインターネット会議」の冒頭60分間の書き起こしをお届けします。 本日は、音楽ジャーナリストの柴那典さんと朝日新聞経済部兼GLOBE編集部記者の藤えりかさんをゲストにお迎えした「文化現象としてのBLM」の前編です。今年5月、白人警官の取り調べで黒人男性のジョージ・フロイド氏が死亡した事件に対する抗議活動は、2012年の同種の事件から連綿と続く「Black Lives Matter」運動と合流し、世界中に広まっていきました。アメリカを、そして

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