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大見崇晴『読書のつづき』

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会社員生活のかたわら日曜ジャーナリスト/文藝評論家として活動する大見崇晴さんが、日々の読書からの随想をディープに綴っていく連載です。(これまでの連載「イメージの世界へ 村上春樹と… もっと読む
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記事一覧

読書のつづき [二〇二一年三月]人生に相渉るとは何の謂ぞ|大見崇晴

会社員生活のかたわら日曜ジャーナリスト/文藝評論家として活動する大見崇晴さんが、日々の読書からの随想をディープに綴っていく日記連載「読書のつづき」。 今回は二〇二一年三月に綴られた日々の記録です。夏目漱石と同時代にイギリス近代小説に触れた徳田秋聲が、いかに漱石とは異なる日本近代文学の歴史を切り拓く可能性を持っていたかの気づきや、大河ドラマの時代考証を降板するに至った歴史学者の舌禍など、新旧の文壇・論壇のありようを読書を通じて等距離から随想します。 大見崇晴 読書のつづ

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読書のつづき [二〇二一年二月]この自信がよく育つことを希望する|大見崇晴

会社員生活のかたわら日曜ジャーナリスト/文藝評論家として活動する大見崇晴さんが、日々の読書からの随想をディープに綴っていく日記連載「読書のつづき」。 二度目の緊急事態宣言中の二〇二一年二月。弛緩した与党政治家が深夜会食問題で離党させられたり愛知県知事リコール署名の偽造問題が取り沙汰されたりの茶番で、世への虚無感が募るなか、ステイホーム環境で進む読書。現在まで続く「群像創作合評」の敗戦直後の記録から、三島由紀夫の運命と戦後日本の転回を予見したかのようなアイロニカルな一節が

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読書のつづき [二〇二一年一月]麒麟がくる|大見崇晴

会社員生活のかたわら日曜ジャーナリスト/文藝評論家として活動する大見崇晴さんが、日々の読書からの随想をディープに綴っていく日記連載「読書のつづき」。 依然コロナ禍の収まる見通しが立たないまま明けた二〇二一年一月。年明け早々、SNSで拡散される「紅白歌合戦」をめぐる誤情報への脊髄反射的な反応や、政治家たちの衆院解散に向けたきな臭い政略ばかりが目に付くなか、挫折の結末が約束されている歴史の敗者に新たな光を当てた『麒麟がくる』における「麒麟」とは何だったのかを、不条理劇の傑作

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読書のつづき [二〇二〇年十二月]年の終り|大見崇晴

会社員生活のかたわら日曜ジャーナリスト/文藝評論家として活動する大見崇晴さんが、日々の読書からの随想をディープに綴っていく日記連載「読書のつづき」。 世界が翻弄された一年も淡々と暮れてゆく二〇二〇年十二月。ひたすら残念感ばかりが伝えられる菅政権まわりの仕様も無さに嘆息する一方で、小松政夫、なかにし礼、林家こん平ら昭和の芸事師たちの物故を寂しく偲ぶ年の終り。正宗白鳥や橋本治、ピーター・ウィンチら十冊には絞れなかった年間ベストの読書を振り返りながら、歌うたいの地金が値踏みさ

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読書のつづき [二〇二〇年十一月]時代は変わる|大見崇晴

※去る4/22配信の記事に誤りがありましたため、修正して再配信いたします。著者・読者の皆様にご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。 会社員生活のかたわら日曜ジャーナリスト/文藝評論家として活動する大見崇晴さんが、日々の読書からの随想をディープに綴っていく日記連載「読書のつづき」。 混迷を極めたアメリカ大統領選挙のニュースを、世界が固唾を呑んで見守った二〇二〇年十一月。オルタナ右翼やQアノンなど、ネット社会の負の側面をこれでもかというほどに助長したトランプ

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読書のつづき [二〇二〇年十月] 一寸先は闇|大見崇晴

会社員生活のかたわら日曜ジャーナリスト/文藝評論家として活動する大見崇晴さんが、日々の読書からの随想をディープに綴っていく日記連載「読書のつづき」。 第二波の感染も落ち着き気味で、読書の捗る秋だった二〇二〇年十月。日本学術会議の任命拒否問題やGo To キャンペーンのような利権誘導型政策への懐疑など、発足したての菅内閣がさっそくやらかしを重ねて支持率を落とすなか、『いだてん』にも登場した昭和政界のフィクサー・川島正次郎が残した「政界、一寸先は闇」の名言が令和の世に刺さり

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読書のつづき[二〇二〇年九月]長生きも芸のうち|大見崇晴

会社員生活のかたわら日曜ジャーナリスト/文藝評論家として活動する大見崇晴さんが、日々の読書からの随想をディープに綴っていく日記連載「読書のつづき」。 すっかり亜熱帯化した夏の終わりから秋にかけての気候のしんどさに大見さんも体調を狂わされているなか、ほとんど熱量の感じられない菅義偉内閣が発足してしまった二〇二〇年九月。またも起こってしまった有名女優の自死の衝撃で、日本の作家たちの生き様・死に様の対比に自らのロールモデルを求める気分が引き出されます。 大見崇晴 読書のつづ

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読書のつづき [二〇二〇年八月] 日本の夏、停滞の夏|大見崇晴

会社員生活のかたわら日曜ジャーナリスト/文藝評論家として活動する大見崇晴さんが、日々の読書からの随想をディープに綴っていく日記連載「読書のつづき」。 酷暑と第二波真っ只中の連日の感染拡大の報に、大見さんの読書生活も確実に蝕まれていった二〇二〇年八月。台湾民主化の父・李登輝の死去や香港での民主化運動の弾圧など東アジア政治に暗雲が垂れ込め、歴代最長となった安倍政権にも退陣の声が囁かれる中で、日本の停滞を見つめる戦後75年目の夏が過ぎてゆきます。 大見崇晴 読書のつづき [

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読書のつづき [二〇二〇年七月]『MIU404』を慰めにする夏|大見崇晴

会社員生活のかたわら日曜ジャーナリスト/文藝評論家として活動する大見崇晴さんが、日々の読書からの随想をディープに綴っていく日記連載「読書のつづき」。 新型コロナ第二波対策のパフォーマティブな喧伝と既定路線の結果しか見えない東京都知事選が進行する一方で、「Naverまとめ」のサービス終了や「ほぼ日」の本社移転など、ネットメディアの曲がり角を印象づける報で幕を開けた二〇二〇年七月。 ゲリラ豪雨が相次ぐ不安定な気象と心身の不調に苛まれつつも、民放ドラマの久々の快作『MI

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読書のつづき [二〇二〇年六月中下旬] 万年筆とヒッピーと水流|大見崇晴

会社員生活のかたわら日曜ジャーナリスト/文藝評論家として活動する大見崇晴さんが、日々の読書からの随想をディープに綴っていく日記連載「読書のつづき」。 Zoomでの読書会などが浸透して新しい行動様式が生まれる一方、街にはたがの外れた日常感を帯びる人々が水流のように漂ってもいる梅雨のおり。アウロラ、パイロット、モンブランといった老舗ブランドの万年筆を使い分けながら、手書きとキーボード入力での「書くこと」の感覚の違いを改めて見つめ直します。 大見崇晴 読書のつづき [二〇二

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読書のつづき [二〇二〇年六月上旬]  「明るいニヒリズム」の喪われた国で|大見崇晴

会社員生活のかたわら日曜ジャーナリスト/文藝評論家として活動する大見崇晴さんが、日々の読書からの随想をディープに綴っていく日記連載「読書のつづき」。 ジョージ秋山の訃報から随想する「明るいニヒリズム」の喪失、BLM運動の騒乱、GoToキャンペーンの迷走など、コロナ禍の軋みが社会の空気を鬱屈させていく中で、大政翼賛会プロパガンダに遡る昭和メディアミックス史の探求をはじめ、淡々と読書は捗ります。 大見崇晴 読書のつづき [二〇二〇年六月上旬] 「明るいニヒリズム」の喪われ

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読書のつづき [二〇二〇年五月第二〜五週] 悪い夢を見ているようだ|大見崇晴

会社員生活のかたわら日曜ジャーナリスト/文藝評論家として活動する大見崇晴さんが、日々の読書からの随想をディープに綴っていく日記連載「読書のつづき」。 八月に訃報の流れた内海桂子師匠の入院に始まり、平田オリザやきゃりーぱみゅぱみゅのネット炎上にまつわる洞察、橋本治の足跡への憧憬、そして検察庁法改正問題が喚起する木堂犬養毅の血脈への随想まで、現代と昭和史を往還しながら令和の不穏への警笛が鳴らされます。 大見崇晴 読書のつづき [二〇二〇年五月第二〜五週] 悪い夢を見ている

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読書のつづき [二〇二〇年五月第一週] 大型連休に為する事|大見崇晴

会社員生活のかたわら日曜ジャーナリスト/文藝評論家として活動する大見崇晴さんが、日々の読書からの随想をディープに綴っていく日記連載「読書のつづき」。 緊急事態宣言が延長され、例年繰り返してきた読書生活のリズムにも狂いが生じる大型連休。ステイホームで部屋掃除ばかりが捗る中で、往年のテレビバラエティの旗手らの変調や世間の「カモ」たちの動向を横目に、歴史なるものの功に思いを馳せます。 大見崇晴 読書のつづき [二〇二〇年五月第一週] 大型連休に為する事 部屋片付け。カルペン

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読書のつづき [二〇二〇年四月中・下旬] コロナ狂騒とメディアを思う|大見崇晴

会社員生活のかたわら日曜ジャーナリスト/文藝評論家として活動する大見崇晴さんが、日々の読書からの随想をディープに綴っていく日記連載「読書のつづき」。 いよいよコロナ狂騒曲が本格化していくゴールデンウィーク前。大林宣彦監督や岡江久美子氏など、昭和人が慣れ親しんできた文化スターたちの逝去の報が飛び交う中で、メディア越しのリアリティはどのように移り変わっていったのでしょうか。 大見崇晴 読書のつづき [二〇二〇年四月中・下旬] コロナ狂騒とメディアを思う 総理が出勤を七割減

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