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ぼくが考える、人と生活  新しい歳月を刻む哲学 

 光陰矢の如し、歳月人を待たず。

 時は戻らない。誰なりとも、これが自分の寿命の自覚と分けがたく思う時がおとずれるだろう。今まで歩き来った時間の長さ、積年の過去の記憶だ。

 若いうちは大いに楽しめ、苦しめ、いろいろやれと言う。いつも「ことなかれ」で、静かに受け身で過ごしていては、歳月人を待たずと言っても、それが切実な問題になるかどうか。人生の軽重が問われるかもしれない。

 しかし、「ことなかれ」はある種の智恵である。智恵者としては、単にモノを考えないというんではない。考えての「ことなかれ」だ。だからこういう人が本気でものをいう時は、簡単にひとけりできない。

 戦争を知っている人はほぼいなくなった。いてもその発言を聴く機会はあまりない。だから、画像は古くなっても、昔の映像や、戦争を知る人々の証言に関心を寄せることをしないと、日本はずっと豊かで平和、という若い人たちの実感が、真実として疑いなくなる。

 例えば、古い家並みや道路の東京中心部を壊滅させた関東大震災(1923年9月1日)から22年後に、再び東京は焼け野原になった。たった20年そこそこである。戦後日本の姿を思い浮かべて今を思うことから遠ざかって、歴史が感覚に訴える力を持たないなんて、恐ろしいことだ。

 だから、100年、200年、いやもっと先のことなど余り関係なく思えるのかも知れない。目覚ましい技術革新、生活の変化。だから、10年後、20年後ですら思い描くのは難しいという人があるだろう。

 宇宙衛星を使った第1次湾岸戦争(1990年)、サイバー攻撃を駆使したクリミア併合(2014年)などはハイブリッド戦争と言われた。また、ドローンが戦車に大きな戦果を挙げたのはついこの前であって、今世界はウクライナとロシアのいつ終わるとも分からない戦争に巻き込まれ、経済的にも悲鳴を上げている。

 言うまでもなく、軍事技術は原爆投下の時代からはるかに進んでいる。だから、遅ればせながら、兆円単位の軍事予算を組まないと、自国の防衛ができないという主張がなされる。

 しかしそれも道理ではあるが、100年後、200年後、あるいはそれ以後を見据えた道理であるのかどうか。

ソウルの崇礼門

 つまり、分かり易く「力には力で」なのだろう。それがどれほど陳腐で古かろうと、力の奪い合いで世界が動いていることは、厳に確かに思われる。

 数で言えば、圧倒的に多いのは民衆だ。しかし、少数の戦争愛好家や国家指導者なら、一般人のいのちや暮らしのことを第一にするなどと、そんなこと言ってたらやられてしまうと返されるのがオチかも知れない。そして、その人たちが多数を支配したりする。

 5000人死ねば失地回復できるとか言って、兵隊のいのちを物扱いにした無謀なインパール作戦の死傷者数は、7万2000人と言われる!この作戦のいい加減さの背景にあるのは、一つには、遠く日露戦争(1904年~1905年)の203高地の戦闘、旅順の包囲戦かも知れない。戦死者は、日本軍約15,400名、ロシア軍約16,000名と言われている。当時の苦しみを知らず、上っ面の勉強で士官学校を出た者たちは、好ましくないものを伝統とあがめたのかも知れぬ。

 第1次大戦(1914年~1918年)で、一般市民の皆殺しが戦争の意味を根こそぎ変化させた。そこを知らしめるのは教育の務めである。それがどうも国家の都合、権力者の都合で不問に付されて来たのではないか。

 平和を欲すると言っても、敵対者=ヤツラの平和ではない。お互いにそう思っている。この堂々巡りから脱出するには、哲学的知見を民衆がものにしなければならない。流される情報やコメントを信じるのは民がバカであるのではなく、民を利用する輩が上意下達で無責任に振る舞うからである。人としての「誇り」がない代わりに、身を守って責任を負わないことに慣れてしまっている。言い過ぎかもしれないが。

 光陰矢の如し、歳月人を待たずだが、人は振り返って、新しい歳月を刻みこむしかないのである。

(9.11が近づいて来た。今年で21年目になる。僕は2002年から、この日は音楽家の皆さんの演奏と共に日本からのメモリアルを行ってきた。今年も行う。だからどうしても、歳月人を待たず、で忘れてはいけないんだよ、と話したくなった。9月に入ったら、必ずこの日の記念になることを書きたいと思います。)

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