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【Q&A】オフィスの間仕切り変更を行う場合

既存建物の間仕切り変更等のおはなし。
例えば「オフィスの間仕切り変更する改修を行う」場合、建築基準法上どのような規定が遡及するか、のようなご質問をよくうけます。

建築基準法第3条には建築基準法の「適用の除外」について規定されています。ざっくり解説しますと、第1項では国宝や重文には法自体が適用されない、第2項ではすでに現存している建築物に関してはその後法改正により適合しない部分は遡及させない(既存不適格建築物)ことを認めています。第3項三号では法改正後、増築・改築・移転・大規模修繕、模様替えを行った場合に遡及されるということが記載されております。


2  この法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際現に存する建築物若しくはその敷地又は現に建築、修繕若しくは模様替の工事中の建築物若しくはその敷地がこれらの規定に適合せず、又はこれらの規定に適合しない部分を有する場合においては、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、当該規定は、適用しない。

建築基準法第3条第2項より

ちなみにテナントを変更させることによってその用途が変更される、いわゆる用途変更に関しては法第87条より準用規定が設けられており、イメージ的に単体規定の一部が遡及されることになります。

今回のケース「オフィスの間仕切りを変更する改修を行う」場合ですが、増築・改築・移転・大規模修繕、模様替えが行われていないのであれば、本建築が建築された以降の法改正内容は遡及されないということになります。
ですので確認申請等も不要となります。

ではどのようなことを意識し、改修計画を考えればいいかということですが、建築基準法第8条に「維持保全」の項目があります。そこには建築物の敷地、構造、設備等は常時適法状態を維持すること、とありますので遡及はありませんが、本建築物が建設された当時の遵法性を維持するということになります。

建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。

建築基準法第8条第1項より

すこしややこしいかと思いますので、まとめます。
・増築・改築・移転・大規模修繕、模様替え、用途変更が行われない改修であれば法改正に伴う遡及はない。
・確認申請も不要
・建築基準法第8条より、その当時の基準で遵法性を確認する。
ということになります。

ただ間仕切り変更で変更されるのは、歩行距離や重複距離、排煙設備、非常照明等の避難規定です。例えば1971年に排煙設備の規定が新設された等の大きな法改正がありましたが、それ以降そこまで大きな変更がないので、現行法と大して差がありません。ですので、おすすめとしてはとりあえず現行法で法チェックを行い、そこで成立していいない部分があるようでしたら、法改正内容をチェックするという方法がいいかもしれません。

また注意点としましては、大規模修繕・模様替に該当するかどうかについてです。例えば、防火区画や階段の位置を変更する場合は大規模修繕・模様替に該当するかについて確認する必要があります。判断基準としては、その過半の変更があるかです。この過半の判断ですが、原則総量の1/2を超える変更があるかどうかです。この過半の判断は多少解釈があいまいですので、特定行政庁等との協議をお勧めします。

間仕切り変更に伴い消防設備の設置位置等も変更があるかと思いますので、そちらに関しては適宜所轄消防署との協議が必要です。

昨今、このような確認申請に伴わない改修に関するエビデンスというキーワードをよく聞きます。このような間仕切り変更も手続きが伴わない為、客観的なセカンドオピニオンのような立ち位置の重要性を感じました。

今後、このようなエビデンス取得に関する色々なサービスが台頭するかもしれません。

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