見出し画像

風呂の流儀

共同浴場で湯を楽しみ

湯も息も溢れる時間を過ごしている時

常連さんから話しかけられる。

『どっからきたん?』

『はぁ〜…気持ちいいね』

『ここの湯、良いだろう』

『熱いのに中々やるね』

決まって、そんな一言から始まる。


話の流れで、お風呂屋さんの歴史や

周辺地域の歴史を聞けたり

お勧めの居酒屋を紹介してもらえたり

地元の方しか知り得ない

マイナー情報が飛び込んでくることも。

そこから美味しい晩酌に繋げる…

そんな流れになった時は最高だ。


独りの時間だったのが

常連さんの輪の中に少しだけ

お邪魔させて貰えた気がして

心あたたまる時間に変わる。

共同湯、共同浴場が大好きな理由の1つ。


『風呂慣れしてるね』

そう言われた事も何回かあって

風呂好きとしては

とても嬉しいお言葉だった。


ただ風呂に入っているだけなのに…

だからこそ嬉しい。

そんな風呂での何気ないこと

書き綴ってみようと思い

あえて格好つけて

流儀とでも言ってしまおう。



私の風呂の流儀



友人や旅仲間と、旅先での風呂…

ここの温泉は〜なんて

豆知識とかの話を少しはするけど

温泉話に花を咲かせる事は
私はあまり好まない。

中途半端な知識よりも
風呂の入り方が様になってくれたら

…知り合いへのちょっとした願い。

静かに湯を楽しむ。


まず初めに、これは絶対。

風呂屋に入ったら

『おはようございます』
『こんにちは』
『こんばんは』と挨拶。

これが出来ていない人が多すぎる。

挨拶の返事が返ってこなくてもいい。

必ず挨拶。


私達は外れから来た者。

常連さんからすれば

見慣れない客は気持ちの良いものではない。

挨拶1つで、少しホッとするかもしれない。


出るときも

『お先です』の挨拶

礼に始まり礼に終われ。

この一言が切っ掛けで

良い出来事に繋がる事も多々あった。



湯船からかけ湯をする時。

つま先立ちで屈みながら

湯をチョロチョロとかける姿はダサい。

体の一部にしか湯をかけていない…

そんなのでは洗えていない。。


そこはドシッと床に座り込んで

頭からザバーッと湯をかぶる。

体や特に下をしっかり擦ってエチケット。

頭から湯をかぶることは

体を湯に慣らす意味も大きい。

これはどんな湯だろう?と

何回も全身で浴びて感じる。

かかり湯も、湯を楽しむ時間の1つ。



熱さに強くなくたっていい。

耐えられるから偉いとか
そんなものは無い。

我慢しないで湯船から出て

邪魔にならない脇に座って涼む

その休憩時間がまた風情。

湯船に浸かるだけが風呂じゃない。

一回で長く入るのではなくて

無理せず何回かに分けて入る方が良い。

涼むことも、湯船の中と同等に楽しむ時間。



カランやシャワーがないとか

湯の出が悪いとか

熱すぎるとか温いとか

格好悪いセリフが飛び交う…

郷に従うのが風呂の楽しみ方。


カランが無くたって

湯船1つあれば頭も体も洗える。

歯磨きOKな風呂屋なら、歯も磨ける。


熱いのも温いのも個性

自然現象か?先客の仕業か?

たまたまその温度な時もある。

蕎麦と同じで

同じ蕎麦でも毎回同じ味とは限らない。

そのタイミングもまた

面白いことだと思って楽しみたい。


炭酸泉なのに温いのが不満そうな人

よく見かけるけど、ちょっと残念。

熱くしたら、炭酸の効果が弱まってしまう。

温いからこそ炭酸力を発揮している。

温い湯に長く入ると体がジワジワとあたたまり

次第に汗をかいてくる。

泉質によっての個性を活かした入り方がある。

その素敵な現象を楽しんで欲しい。



飲める温泉は飲む。

飲めない温泉も口まで入れて味わう。


不味いと思う事もあるかもしれない。

けど苦手な食べ物が大人になるにつれて

好きな食べ物になるように

温泉もあの独特の渋みだったり

甘みだったり、塩辛かったりetc...

いろんな温泉を味わっている内に

慣れてきて、癖になってくる。


ベタだけど、

私は硫化水素臭のする温泉が好き。

そのまま飲むのが好きだけど

お酒で割って、

ぬる燗気分で味わうのも良い。

温泉は野菜並に栄養もたっぷり。

温泉は五感で楽しみたい。

画像1

他にも色々切りがないので
今回はこんなところで…

流儀なんて言ったけれど

風呂場での時間

何ら特別な事はしていない。

ただ少しだけ

風呂に親身になって触れているのかな。


一緒に旅した友人や旅仲間。

流石は同じ匂いを感じる者だけあって

はじめ慣れない仕草だったけど

旅の終わりの頃には

様になった姿で風呂を楽しんでいた。


そんな粋な風呂人、風呂仲間が増えたこと

嬉しい出来事だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?