0010-(第四部)

第9話 統治の本元は衣食住です。
 縄文時代のように、衣食住が十分に有り余っていれば、他の集団を「襲う」必要もなければ「襲われる」脅威もなく、集団全体のために人の「欲望」を制限したり圧殺したりする必要がありませんでした。「権力」も「国」も要りませんでした。
 初め、リーダーには、天変地異、疫病、自然の動きの神秘性などに対応するため、卓越した知恵を持ち、祈願、託宣、預言、治病などの並外れた力量を発揮する祭司や巫覡(ふげき:シャマン)が選ばれました。そこには、地域の特性に応じた「権威」が生まれ「徳治」が育ちました。
 後になって、人口が膨張した大集団の纒め、天敵や外敵、天変地異、疫病などの緊急重大事態に際して、緊急かつ強力な結束が必要になると、人々を牽引する「権力」と、権力を担保する「集権」が生まれ「国」が出来ました。
 縄文社会も、大陸からの影響によって地域的な徳治だけでは立ち行かなくなり、大和朝廷という日本国の原型を生み出しました。

第10話 初め誰が人を産んだのか?
 ニュートン(1642~1727、生類憐みの令のころ)が手動のクランクシャフトによって地球や火星などが太陽を周回する複雑な太陽系の模型を作りました。訪ねてきた友人が「こんな精巧なものを誰が作ったのか?」と訊ねました。ニュートンは「そんな下らん質問をするな。作ったのは人だよ。問題は、誰が本物の天体を作ったのか?誰が動かせと命じているのか?誰が動かしていると思うのか?」と責め立てました。友人は唖然とするばかりでした。  
 アインシュタイン(1879~1955)は「宇宙は素粒子によって成り立っている、地球も人も素粒子の塊だ」喝破しました。しかし「その素粒子は誰が作り、誰が何のために、どうやって塊にしたのか?」という疑問を突き詰めていったとき、思わず「神がやった!」と呟いてしまいました。
 

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