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No.7 「福祉の質の向上」デジタル化の推進と地域行事等を通じた絆づくり(vol.2)

前回の記事

No.6 「福祉の質の向上」 デジタル化の推進と地域行事等を通じた絆づくり(vol.1) に続いてここでは以下の課題について説明してみたいと思います。

■1.【地域包括ケアとは何ぞや?】 


《対馬の地域包括ケアを考える多職種連携FBグループ》
を立ち上げて暫くたったころ、ある方から
「地域包括ケア」っち何やとね?という問いかけを頂きました。
 地域包括ケアシステムとは、2025年を目途に構築が推進されているもので、

「高齢者の尊厳保持と自立生活支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるようにするための、地域の包括的な支援・サービス」

とされています。
 日本において脈々と受け継がれて来た日常的な助け合い(互助・共助)を現代的にカスタマイズすることではないかと、私は最近感じ始めています。
 
全国的な行政職員の削減や財政状況の悪化が進む中で、今まで通りに公共サービスを提供することが難しくなって、行政一辺倒なサービスにとって代わる民間組織や、仕組みが求められるようになって、【新しい公共】という考え方が生まれてきたのだと思われます。

 しかし、前回の参議院本選挙の際に、嘉田元滋賀県知事が唱えた【懐かしい公共】を取り戻すことが、鍵ではないかという表現の方が、私はしっくりすると感じています。

 『地域コミュニティ内の《煩わしさ》を受容することで《絆》が生じて、一見無駄であったり非効率なことを負担しあって継承することで、組織内の実態が把握しあえる。』

と、昨年受講した《持続可能島づくりシンポジウム》の基調講演で講師が仰っていました。私はとても共感を覚えました。

2.【質の高い福祉】とは?

(1)福祉を提供する側の課題

本来、福祉は個人・地域のニーズを汲み取り、その多様なニーズに応えるサービスが必要なはずです。

しかし、対馬の公的福祉は広い島をひとくくりにした議論が中心となっているのが現状だと、私は感じています。 
財政破綻した夕張市で医師として医療に携わった経験を基に記したベストセラー『誰もが間違える医療の9つの思い込み』の著者としても有名な医療ジャーナリストでもある森田洋之氏がゲストとして出演されていたNHK「ザ・ライフ」を先日視聴しました。



森田氏は、現在鹿児島県で在宅医療を提供しており、一人ひとりの患者のニーズに応じた医療提供に努めていらっしゃいました。

番組を視聴して、
【質の高い医療・福祉】とは、

【高度な】サービスであるかどうかではなく、

【サービス受給者に適した】、かつ【サービス受給者が望む】サービス

ではないだろうかと、改めて感じさせられました。

(2)福祉を受ける側の課題

 とかく、対馬の方は何かにつけて『本土並み』を求めたがる気質があると私は感じています。

しかし、『本土並み』が本当に対馬に、またその受給者に合った福祉サービスであるのかを、しっかり見極める必要があると私は感じています。
ただ、終末期になると本人の意思(ニーズ)を確認することが、だんだん難しくなってきます。

そこで、国は本人の意思がある程度しっかりしているうちに、本人とその家族や医療・介護サービス提供者とで、本人が最期までどのような生活を望むのかについて話合いを予め行うことを推奨しています(ACP:人生会議)。そのことについて、寸劇にした動画があるのでご覧ください↓↓↓。

【ACP(人生会議)ってご存知ですか⁉️】 「終活」を自分自身だけで考えたり準備するのではなく、人生の最期をどのように過ごすか? 相続等をどうするか?予め家族で話し合うことを、厚生労働省が推奨していて、昨年お笑い芸人を起用したポスターががふ...

Posted by 脇本 啓喜 on Saturday, November 21, 2020

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=2173685442761628&id=100003605803339

 
(3)【質の高い福祉】を提供するための課題

 対馬において【質の高い福祉】を提供するためには、島共通の福祉の課題から検討するのではなく、個人のニーズ把握から始めることに主眼を変えるべきだと私は感じています。

そうすることでその地域の共通のニーズや課題が浮き彫りとなり、各地の実態から自ずと対馬で共通のニーズや課題が見えてくるはずです。

 そのためには、福祉現場の声を傾聴する場を設けることから始めるべきだと思います。ここで言う福祉現場とは、提供者側のみならず受給者側ももちろん含みます。各種会合は、地域ごとの会合をメインとするやり方に変更すべきでしょう。現在の受給者やそのご家族はなかなか時間が取れないでしょうから、その経験をされた方から積極的にご意見ご要望をお聴きしていくことが好ましいでしょう。

 ところで、私は昨年の豊崎神社秋季大祭の後片付けに参加しました。
法被や地下足袋、奉納相撲の土俵の柱に巻かれた紅白布等を大勢の女性が毎年当番制で順繰りで洗濯しますが高齢化も進行し大変な負担です。

「最近、近くにコインランドリーが出来たので、そこで洗濯するようにしてはどうか?」との提案がありました。

皆さんの負担を軽減してあげたいとの優しさ溢れる素晴らしい提案だと思います。

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 しかし、毎年順繰りに洗濯当番で集まった際に、顔を見合わせ、協力して作業することで、地域の絆を育み継承する一助になって来た一面もあるのではないだろうかと、私は感じました。

一昨年は、豊崎神社の秋の大祭の準備に参加して、注連縄づくりを担当しました。少子・高齢化が進む中このような機会は大変貴重で、作業中に昔この地区で起こった水害のことや、古くからの言い伝え等興味深いお話を、お年寄りからたくさんお聞かせ頂けました。

最近、対馬の神社の鳥居や本殿の注連縄の多くが、地域の人たちによる手作りから、味気ないビニール製の既製品に取って代わられています。とうとう豊崎神社の注連縄も、一部ですが既製品が飾られるようになりました。私と同じように寂しく感じた方もいらっしゃるようです。

 ところで、今年『対馬の盆踊り』が国の重要無形文化財に指定されます。古くからの踊りが今も残っているという現時点での価値もさることながら、毎年毎年稽古を何日も重ねることで、対馬各地の盆踊りがそれぞれの地域で今もなお地域の絆や郷土愛を育み続けている象徴として、高い評価を受けたのではないかと私は感じています。

 少し話が横道に逸れましたが、必ずしも会議を開催したりアンケートをとらずとも、ある程度関係者のニーズを把握はできます。例えばこのような地域行事通じてなど、多くの方々からご意見ご要望を寄せていただけるような議員、《裃脱いで、市民に寄り添う政治》の実践を目指していきたいと思いますので、今後ともご指導ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。


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