Vol.3【脇本ひろきの政治活動報告書】2020年2月発行
【脇本啓喜政治活動報告書NO.1】 2020年2月発行
10年前に多くの市民の皆様のお陰様で市議会議員となり、二期8年間一生懸命活動して参りました。皆様のご支援ご協力に対し、厚く御礼申し上げます。しかし、平成29年5月に執行された対馬市議会議員選挙では、多大なご支援を賜りながらご期待にお応えできずに大変申し訳ございませんでした。それにもかかわらず、しばらくは人前にほとんどでない生活を送り、皆様にご心配をおかけいたしましたこと、重ねてお詫び申し上げます。
令和に改元前後頃から再度皆様のお役に立てればと奔走し始めました。現在取り組み中あるいは企画中の活動について、本稿でお報せ致します。今後は、市民協働を基本理念に一層邁進致す所存です。今一度市民皆様のご支援ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
二期8年間の議員活動報告をHP<脇本ひろき>(脇本ひろきの政策:過去履歴)に、令和以降の活動はFB〈脇本啓喜〉〈混乗便の維持・発展を支える市民の会〉〈いぶし銀倶楽部〉にて発信しておりますのでご参照くださいませ。
【Ⅰ.混乗便の維持・発展を支える活動及び海上航路充実に向けた取組】
1.混乗便の維持・発展を支える市民の会設立
令和元年6月市議会で市長が、「混乗便の低い乗船率が継続すれば廃線となる可能性もある」と懸念を示し、地元住民の危機感が高まった。有志で《混乗便の維持・発展を支える市民の会》を10月に発足させ、11月末現在80名の会員に達し、事務局長として活動中。
2.会の目的達成に向けた行政及び関係企業と強調した取組
会の設立記念と利用促進を兼ねて、11月には〈大相撲九州場所観戦ツアー〉を企画運営し、22名の参加者に好評を得た。また、同日役員でJR九州高速船㈱と九州郵船㈱の両社長を表敬訪問。本会設立趣旨を厚意的に受け止めて頂き、協力体制の構築を図っている。
3.会員の拡充推進に向けた取組
設立趣旨を市民にご理解頂けるよう、市広報やCATV等で周知を図ったほか、直接上対馬振興部管内の全区長を役員で分担訪問し、会員募集回覧を手交した。特に島外在住の賛助会員向けには、特典を地元業者等の協賛を得つつ、国内観光客誘致拡充を促進に努める。また、年明けには福岡対馬会賀詞交換会に出席を予定する等、全国各地の対馬会の協力を要請しながら島外への発信を積極手に展開する。
4.現在展開中の割引施策終了後の対策検討
フェリーきずなのリプレイス事業に係る運賃2割引による償還終了が迫る中、現在進行中の期限付き割引制度も収束する。その反動減対応策について行政に検討を要請中。
5.フェリーげんかいリプレイス後の運行ダイヤ改正に向けた取組
地元住民の要望とりまとめを検討中。
【Ⅱ.環境保全対策への積極的な取組】
1.漂着プラスティックごみ等の有価物化への転換に向けた取組
A.レジ袋有料化に向けた取組の支援
a.背景・意義
今年7月に開催されたG20で主要課題となったプラスティックごみ削減は、漂着ごみが大量に流れ着く対馬にとって関連が深い。市民に訴求しやすいレジ袋の有料化については、令和2年7月1日から全国一斉施行される。ソフトランディングが可能となるような取組を支援するとともに、市民の環境問題に関する意識の醸成を図る。
b.進捗状況
『レジ袋有料化関係者会議』を7月8日に開催。G20パネルディスカッション司会進行を務めた原田禎夫氏を招聘し7月25日『市民説明会』翌日『懇談会』を開催。
c.今後の取組
ごみMAPアプリの活用やリユース食器の導入検討を始める市民運動を支援する。
B.島内の廃棄物を利活用し再生エネルギー等に転換する取組
ア.漂着プラスティックごみを蓄電池原料となる特殊活性炭を製造する工場の誘致を調査検討中。
イ.アより質が劣るプラスティックごみは、溶融し燃焼補助剤を製造するシステムを調査検討中。
ウ.その他のごみは、MG22EhまたはERCMを導入し、大幅減容化することで埋め立て最終処分場の長寿命化を図り、サーマルリサイクルを展開する。現在施行中の生ごみ堆肥化事業は廃止する。
2.森里川海の循環整備の取組
先般のG20で脚光を浴びたSDGsは目新しいものではなく、対馬でも約10 年前にC.Wニコル氏を招聘する等を経て『対馬市環境基本条例』を制定し立派な『計画書』も発行した。しかし、全く検証作業が実施されていない。定期的検証を実施し、PDCAサイクルに乗せ、森林再生・防災(治水)・有害鳥獣駆除・磯焼け等の対策に活かす。
【Ⅲ.対馬に相応しい観光施策への取組】
1.城下町の景観保全への取組支援
a.背景・意義
対馬市景観基本条例には看板等の屋外広告物の外国語表記割合制限や華美な外観規制等が無い。特に厳原の城下町は江戸時代の景観を残してこそ価値が引き立つ。
b.今後の方向性
上記規制について、ゾーンニングを施した上で地元のコンセンサスを地元住民主体で形成しようという動きがあり、その支援を行う。
2.マリンレジャーガイドライン(MLGL)策定とMLGL協会設立及び漁協との連携支援
無法地帯とも言われる外国人参入フィッシング業界の二の舞を回避するため、地元民によるML協会を設立しMLGLの厳守を徹底する。また、漁協と連携し悪質業者等の締め出しを図る。
3.滞在型観光整備の検討
ア.千俵蒔・舌崎等を、自然を活用した観光スポットとして整備を提案する。
イ.矢櫃等歴史遺構の調査研究を図り、多様な観光ニーズ対応整備を提案する。
ウ.昼間の観光のみでなく、ナイトタイムエコノミー対馬モデルを企画提案する。(蛍見物、昆虫採集、ひとつばたご・もみじ街道のライトアップ、早朝の定置網乗船体験等)
4.Ⅱの取組自体を対馬の付加価値として、観光産業の充実を図る取組
環境問題に積極的に取り組む島であることを国内外にPRし、環境保護を目的とした入島税を設ける等、脱観光客増加至上主義を図り、観光客満足度向上を目指す産業への転身を図る。
【Ⅳ.対馬らしい経済対策への取組】
1.一次産業の兼業を奨励し六次産業化への展開を図る等所得の増加と定住人口増加への取組
離島では流通コストがネックとなり企業誘致がままならなかった。そもそも古から対馬は半農半漁等複数の生業で生計を立ててきた。昨今は、大手銀行でさえ行員の副業を認める時代となった。ハローワークも無職者のみを対象として職業斡旋をする機関ではない。今年法制化された『特定地域づくり事業協同組合』は対馬におけるⅣ―1を実現するスキームとして期待できる。主なメリットは以下の通り。
◎働き手にとっては事業リスクの分散
◎雇用主にとっては閑散期の人件費削減と繁忙期の人材確保
◎一次産業の担い手不足解消、二次三次産業の事業承継者確保(小規模M&Aの支援も実施)
◎ワークシェアの普及による子育て支援への寄与
生活の糧となる《稼ぎ》と、社会貢献たる《仕事》の両方を生み出し、定住者の増加(IUターン者も含む)幸福な島暮らしへとつなげる。
2.Ⅱ-1-Bを軸とした環境ビジネスの展開
FIT(再生エネルギー固定買取制度)適応が順次終了を迎え九州電力管内統一料金のユニバーサルサービスの提供は見込めなくなる中、他地域との電力融通が利かない対馬においては、エネルギー調達コストの高騰は不可避な状況となる。対馬に相応しい再生エネルギー確保の一環として、漂着ごみの有価物化を図る事業を雇用の拡大と、島内産業の競争力減退防止対策として強力に推進する。
【Ⅴ.比田勝港を重要港湾に格上げし、貿易の推進を図る取組】
古来、対馬は交易で栄えてきた。室町時代の東南アジアの土器が多く発掘されていることからも隆盛ぶりがわかる。江戸時代、十万石の位を誇ったのも朝鮮貿易のお陰である。数年前に対馬振興局主催の貿易推進会議座長であった長崎県立大学山口裕教授を佐世保に訪ねてご教示も受けた。市役所内に貿易全般を俯瞰する組織の設置を要望し、比田勝港の早期開港を図る。具体的には、〈5つの循環プロジェクトチーム〉の再編成を図り、セクト主義の弊害を打破して、庁舎内横断的取組を普及させる。
【Ⅵ.対馬らしい教育・医療・福祉の充実に向けた取組】
1.ESD教育の充実とAI時代を生きる力を身に着ける子どもを育む取組
持続可能な島づくりの担い手となる対馬っ子を育む教育を更に充実させるため、地域で育む環境づくりを推進する。また、県下随一のICT機器配備を活かすべく教職員研修の充実を図る。消極的であった教育環境の充実に欠かせない学校規模適正配置についても、聖域なき議論の場の提供に努める。
2.地域包括ケアの充実に向けた取組
昨今話題の『人生会議(ACP)』や『看取り』に対する市民の関心を深める場の提供を通じて、当事者意識の醸成を図る。現在、限定メンバーで〈対馬の地域包括ケア多職種連携FBグループ〉を立ち上げ情報交換を行っている。この取組を活かし、地域包括ケアの浸透を市民主体での取組を推進する。また、比田勝で立ち上げた〈介護予防自主活動グループいぶし銀倶楽部〉の活動を更に活発化させ、全島への活動普及啓発への寄与に貢献する。
3.全市民参画社会構築に向けた取組
Ⅳ-1で述べた《特定地域づくり事業協同組合》に、障がい者及び高齢者や女性の積極的参画を促進できる環境を整備し、ダイバーシティ(多様性に寛容な社会)な島を目指す。また、財源と人材削減を迫られる行政に代わる公共サービスの提供主体として〈懐かしい公共〉の担い手育成を図る。
(文責:脇本啓喜 0920-86-2030)
用語解説
※混乗便:釜山港~博多港間航行船が比田勝港に寄港し、国際線に国内線乗客も搭乗させる運航。
※リプレイス事業:新造船建造費用を公費で賄う代わりに運賃割引で償還する制度。
※G20:20カ国・地域首脳会合。令和元年大阪で開催され、プラスティックごみ削減も主要議題。
※ソフトランディング:元の意味は。航空機が緩やかに降下し地面に着陸すること。軟着陸。
※MG22Eh,ERCM:前者は磁気、後者は遠赤外線を利用し、ごみを分解する装置。
※サーマルリサイクル:廃棄物を単に焼却処理せず、熱エネルギーを回収利用すること。
※SDGs:2015年の国連総会で採択された2030年に向けた持続可能な発展17のグローバル目標。
※PDCAサイクル:計画、実行、評価、改善を繰り返すことで継続的に改善していく手法。
※ゾーンニング:空間をテーマや用途に分けて考えること。
※コンセンサス:複数の人による合意や総意。上意下達とは対極にある集団の意思決定手法。」
※矢櫃:中世朝鮮からの船の専用石積護岸停泊港。大江正康著「対馬・矢櫃(奇跡の港)参照。
※マリンレジャーガイドライン:シーカヤックやダイビング等を業として行う際の指針や規制。
※ナイトタイムエコノミー:夜間の経済活動。特に(訪日)旅行者娯楽利用が期待されている。
※スキーム:計画を伴った枠組み。基本構想や基本計画との意味をも持つ。
※セクト主義:組織がその利害や権限に固執し、排他的になる傾向や状態。
※AI:人工知能のこと。赤堀侃著「AI時代を生きる子どもたちの資質・能力」参照。
※ICT:情報通信技術。情報処理にとどまらない通信技術を活用したコミュニケーションのこと。
※地域包括ケア:全ての住民が地域で自分らしい人生を全うできる社会を目指すサポートシステム。
※ACP:患者と家族が医療介護提供者等と一緒に、終末期に備えて今後について話し合うこと。
※懐かしい公共:公共サービスを行政に代わって提供する〈新しい公共〉という概念に対し、目新しいことではなく、昔はごく自然に地域で行われていた互助を現代に普及させることだという概念。
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