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No.10 議員定数削減について

現在、政策のチラシの解説を連載中ですが、市議選4日目を終えた時点で、数人から議員定数削減を求める声をお聴きしましたので、急遽《議員定数削減》についての私見を掲載します。

Ⅰ.議員定数削減には賛成

 ⇒ ただし削減するだけでは市民生活は何も変わらない

対馬市の一般会計予算は以下の通りです。

令和2年度:34,013,057,000円 ≒ 340億円
平成31年度:30,859,000,000円 ≒ 309億円
平成30年度:31,783,000,000円 ≒ 318億円


このうち「議会費」は1億8,807万円で、この議会費が全体に占める割合は約0.5%です。

スクリーンショット 2021-05-16 082022令和2年度の予算(対馬市のしごと)より引用

では議員を1人減らすということは対馬市の歳出においてどれくらいのインパクトがあるでしょうか?
議員報酬は1人当たり月に50万円で年額600万円かかります。
計算してみましょう。

令和2年度:600万 / 340億円  ≒ 0.018%
平成31年度:600万 / 309億円 ≒ 0.019%
平成30年度:600万 / 318億円 ≒ 0.019%

ご覧いただけるように、対馬市議会議員の定数を減らすことは、市民感情としてなんとなくスッキリしたような気分になるかもしれませんが、この効果と、市民の生活の質の向上を天秤にかけたとき、それぞれのメリット/デメリットはどれくらいになるでしょうか。

議員報酬を1人分減らせば市の歳費は0.018%減ります。
一方、議席は1人/19人 ≒ 5%減ります。
少し分かりやすい数字に直すと、以下のようになります。

0.018%:5%
= 18:5,000
≒ 1:278

これは、議席を1つ減らす割合(≒影響)が278だとすると、それに対する予算削減効果はその278分の1しかないという計算になります。(議員を1人減らす予算削減効果を1とすると、議席が1つ減る影響はその278倍になる、ということ)

 重要なのは、【単なる議員定数削減提唱】ではなく、【いかにして、市民の声を市政に反映していくかの具体策を提案して、それを実行すること】だと思います。

Ⅱ.近年の対馬市議会議員定数削減の動き

市議会議員選挙が近づくといつも話題に上る議員定数削減ですが、近年の議員定数をめぐる動きを以下のようにまとめてみました。

《市議会議員一期目(8年前)》
定数22名⇒小職20名へ2名の削減提言⇒結果1名減の21名

《市議会議員二期目(4年前)》
定数21名⇒小職18名へ3名の削減提言⇒結果2名減の19名

《今回の任期満了時》
目立った削減の動き無し

 8年前の議会議員改選間近の2/14(木)に議員全員協議会が開催され、、議員定数削減に関する条例改正直接請求に基づく臨時議会議案審議について、臨時議会が開催されることが決定しました。事前に請求者の方々が議員と意見交換をしたいとの申し出があり、全員協議会終了後、8名の議員が残って意見交換を行いました。

 請求者の主な意見は、以下のようなことでした。

①壱岐は16名にした。対馬市は多すぎる。
②財政難だから議員を減らすべきだ。
③議会の必要性が感じられない。
④議員が活動していることが目に見えない。
⑤先ずは定数削減し、質のよい議員になったと市民が納得すれば報酬をあげてもよい。

上記のご意見を真摯に受け止めさせて頂いた上で、私からは以下のような回答をさせていただきました。

①対馬市の面積は九州で3番目に広い上に180余りの集落がある。極端な議員定数削減は、市民の声をますます市政に反映しにくくなる懸念もある。

②議会費は普通会計予算の0.5%にも満たない。数名議員定数を減らすこと自体が、財政難解消と直結するとはいえないと思う。

③議会には、理事者(市側)のチェック機能に止まらず、議員自ら提案する時代が来ているにもかかわらず、議会の必要性をご理解頂くことができていないことは、真摯に反省しお詫び申し上げたい。

④個人的に議員活動報告書を毎回約15万円かけて3回新聞折り込みし、個人報告会のご案内も行なったが、市民の関心を高めるに至っていない。工夫を重ね、関心を高める努力を続けたい。(今回2021年の選挙で新聞折り込みは11回目)

⑤議員報酬に見合った働きをしていないとのご批判は真摯に受け止めます。ただ県下の市議会で最低の報酬額であり、これでは若い議員がなかなか出て来ないと思う。

また、ある議員から市内をいくつかの選挙区に分け人口割りで各選挙区の定数を割り振ってはどうかという提案がありました。請求者側は賛同する方が多かったようです。

 しかし私は、区割り選挙には強く反対します。区割り選挙区内のことばかりを考える市議が増加し、対馬市全体の課題への取り組みが疎かになり、今以上に地元の陳情ばかりを行なう懸念があると、私は思います。

「行き過ぎた議員定数削減は、市民の声が市政に反映されにくくなる」

 4年前に、《対馬市議会基本条例》を成立させる等、私は議会改革に取り組んで来ました。しかし、この4年間で議会報告会は1度(3箇所)開催されただけであったり、対馬市議会には「市民の声を市政に反映しよう」という姿勢が市民に伝わって来ないとの指摘が聞かれます。

 そこで現在私は一般市民の声を直接市政に反映できる制度(↓リンク参照)を調査研究中です。その制度を次の4年間で定着させることで、議員定数を大幅削減できる環境を整えたいと考えています。

議員のなり手不足解消策に関する拙稿↓

【#議員のなり手不足解消策について】 山形県庄内町議会の《議員のなり手不足解消検討協議会》の動きを追ったドキュメンタリーを視聴しました。対馬市議会も大いに参考にして取り組むべきだと感動さえ覚えました。 中でも、参考にしたい取り組みを番組中...

Posted by 脇本 啓喜 on Sunday, December 6, 2020


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