Vol.12【ふるさと清掃運動会in対馬2013(仮称)及び関連コラボイベント企画書(案)】後の『日韓海岸清掃フェスタIN対馬』
1.活動名
ふるさと清掃運動会in対馬2013(仮称)
2.活動内容
イ.漂着ゴミ回収活動の実践
ロ.漂着ゴミの地廃地消の促進に向けた新技術のPRイベントの開催
ハ.国境を越えた漂着ゴミ撲滅にむけた啓発イベントの開催
ニ.来島者をもてなす民泊業者育成事業
3.活動形態
あくまでも民間団体が主体となり行政がバックアップする市民協働
4.協力団体(案)
a.NPO対馬の底力
b.NPO森里海再生協議会
c.NPO對馬次世代協議会コノソレ
d.対馬漁協青壮年部
e.対馬市商工会青年部
f.対馬市観光物産協会
g.日本マリンエンジニアリング学会
h.3%の会
i.日本希望投票者の会
j.対馬市
k.長崎県
l.ふるさと清掃運動会
m.㈲対馬エコツアー
5.活動の目的及び概要
(趣旨・目的)
長崎県の対馬は、地理的特性により海外由来の漂着ごみが堆積し、海洋環境の悪化が問題となっている。海岸漂着ゴミ問題解決には大きく分けて3つの観点からのアプローチが必要となる。
①漂着ゴミの回収:回収にかかる人(組織)もの(運搬機材、回収袋)の確保
②回収ゴミの処理:脆弱な処理能力と本土との隔絶性に起因する処理コストの改善
③発生源に対する啓発活動:継続的に大量に漂着するゴミの発生源に対する発生抑制教宣活動の拡充
これら3つの観点からのアプローチを総合的に実践する活動を通して島内外に広く周知するインパクトのあるイベントを開催することで、海岸漂着ゴミ問題の解決策を自ら提案し、積極的に地方から国に働きかける大きなうねりを作り出すことをこの取り組みの趣旨及び目的とする。
また、この取り組みを持続可能とするキーポイントのひとつに国境離島へのアクセス難に起因する諸問題の解消が上げられる。渡航費用の低廉化、渡航便数の増便、宿泊施設の質量の改善である。そのうちの宿泊施設の量の改善に向けた取り組みの一環として、(④)民泊事業者の育成に関してもこのイベント開催にあわせて取り組みボランツーリズムの聖地への発展をも趣旨及び目的とする。
(活動の概要)
①漂着ゴミの回収:著名人が多く会員となっている「ふるさと清掃運動会」や従来実施してきた韓国の大学等の協力を得て、漂着ゴミ回収を島内外から募集し漂着ゴミ回収を実施する。また、ボランティア組織の再構築と行政との協力関係の再構築を図る。
②回収ゴミの処理:数年来、漂着ゴミの資源化に向けてご協力いただいている「日本マリンエンジニアリング学会」の協力を得て、国境離島に相応しい漂着ゴミの再生エネルギー化に向けた取り組みの公開実験を交えたシンポジウムを開催する。
③ゴミ削減啓発活動:a漂着ゴミ回収ボランティア終了後、ワークショップ、bシンポジウムにおいて、ゴミ削減に関する講演を開催し、4R(Refuse、Reduce,Reuse,Recycle)運動を展開する。
④民泊事業者育成:絶え間なく漂着するゴミには、島内協力者のみでは対応は不可能であり、外部からの協力は不可欠である。外部からの協力を受けるための宿泊施設の拡充は喫緊の課題であり、それに賛同する地元の民泊事業参入希望者に当該イベント参加者を紹介し実際に受け入れ経験を提供する。
また、イベントに参加するだけでなく企画段階から参加する団体を養成することも大事な要素としたい。
活動の具体的内容
(目標)
〇対馬で島内の住民、国内外の大学生、イベント趣旨に賛同する諸団体関係者らによる漂着ゴミの清掃活動を行い、その後漂着ゴミに関するワークショップを開催し、現状と課題の共有化を図る。
〇漂流漂着ゴミ問題の啓発活動、活動報告、漂着ゴミの資源化等に関するシンポジウムを開催し、国内外に問題解決策を提示し実行を迫る。
〇提示した問題解決策実現に向け、持続可能な取り組みとするため、島内の受け入れ態勢の充実(交通アクセスの改善や宿泊施設の整備等)を図る。
[問題解決のための指針]
目的の共有(解決の為)
↓
現状分析
↓
現状の課題・問題点の共有
↓
手段・方法論の検討
↓
検討成果の実践
(対象地域の状況・活動を行うこととなった背景)
〇現状・問題点
国境離島の海岸には、流木や発泡スチロールやプラスチック容器を中心に膨大な量のゴミが漂着している。漂着ごみは、その量の多さや回収する上での地形上の問題から全てのゴミの回収と処理が困難であり、溜まり続ける一方である。
対馬市では、平成15年に「釜山外国語大学校学生とのボランティアによる海岸清掃事業」として始まり、平成20年度から「日韓市民ビーチクリーンアップ事業」として平成24年度までに10回実施している。また、平成18年から3年にわたって環境美化、ワークショップと国際交流を目的とした日韓学生による漂流漂着ゴミ清掃活動(長崎県と対馬市の共同事業)「日韓学生つしま会議」が開催された。環境教育の観点からワークショップでは、漂流漂着ゴミ問題の解決には、国際的視野に立ち漂流漂着ゴミ問題の意識を共有し、関係団体と市民の協力の下での現状認識及び課題・問題点の共有と啓発活動が重要であるとまとめられた。離島の漂着ゴミ清掃活動と参加学生による国内外への情報発信を醸成するシンポジウム等を中心とした環境再生サミット開催の必要性が謳われている。
一方、予算不足から従来の漂着ゴミ対策に関する自治体独自での対応は不十分で、離島漁業再生交付金を活用した漁業者による回収と、地元ボランティア等による自主的な活動レベルにとどまっていた。漂流漂着ごみは一般廃棄物とされ、末端自治体に処理責任が課せられてきたが、平成21年いわゆる海岸漂着物処理法の成立により海岸管理者の責任と明記され、その結果法律上大部分が国や県が責任主体とされた。関係法律の制定に伴い、地域グリーンニューディール基金が創設されたが、その基金要綱にNPOや地域の任意団体に対する支援を規定する条項が欠落しているという法と基金の乖離により、支援がままならず漂着ゴミ回収に携わっている地域ボランティアの崩壊が起こっている。
また、回収よりもむしろ処理に関する問題は更に大きな問題である。島の処分場の脆弱さから島外処理場への輸送にかかる膨大な運搬費用(トン袋1袋1万円弱)がかかっておりその費用削減が喫緊の課題となっている。平成22年に島中央部に発泡スチロール限定の前処理施設が建設され稼動しているが、島中央部までの輸送費用が膨大であること、精製油の質が低く利用が進んでいないこと、その他のゴミの処理は相変わらず島外処理に依存していること等まだまだ課題が山積している。
ところで、昨今、韓国でも中国由来の漂着ゴミが増大しており韓国国内では中国に対する不満が社会問題化している。そのような中、対馬での漂着ゴミ回収事業に参加した学生やOB・OGたちが韓国由来の漂着ゴミが日本に多大な迷惑をかけており、自らも反省すべきだという運動を始めてくれているという。これは、対馬市が継続的に事業を開催してきた啓発活動の成果であると思われ、今後もこれらの事業を継続し続けることの重要性を示してくれたと捉えることができる。
〇本事業の必要性・妥当性
漂流漂着ごみ問題解決のための啓発活動がいくらか実ってきた兆しはあるものの、諸外国や国内沿岸の漂着物の発生源への現状の発信はまだまだ不十分である。
今回は著名人にも参加協力をえることで、漂着ゴミ問題への国内外からの関心を高め、島内のボランティア団体の再起動、処理に関する国の責任の自覚、ゴミ発生源に対する反省を促進する効果が期待できる。
この事業の趣旨目的達成によって、国の財政負担の軽減のみならず島のエネルギー自給率の向上、さらには島内外の交流の活発化は自立する国境離島づくりへ大きく寄与するものと確信している。
支援を希望する活動の内容
(漂着ゴミ回収に関わる支援)
(1)地元ボランティア:従来の市主催事業予算で対応可
(2)韓国大学生:従来の市主催事業予算で対応可
(3)島外ボランティア
a.国内大学生:原則自己負担。旅費等は協賛航空会社に割引依頼等、協賛企業に支援依。
b.協力団体所属者:原則所属団体負担。旅費等は協賛航空会社に割引依頼等、協賛企業に支援依頼。
C.その他:原則自己負担。旅費等は協賛航空会社に割引依頼等、協賛企業に支援依頼。
(実施スケジュール)
対馬島内での①海岸漂着ゴミ清掃活動とワークショップ②シンポジウム(処理機器のデモンストレーションと研究者による公演、ワークショップの研究成果発表及び意見交換会)の開催(3日間、8月下旬頃)
3月初旬:実行委員会の立ち上げ
実行委員会構成員は、地元協力団体と長崎県及び対馬市の関係者とする。なお、必要に応じて島外協力団体をオブザーバーとして招聘する。また、①清掃活動②シンポジウム③宿泊等受け入れ事業の3つの小委員会を下部組織として設けるのが適当であろう。
3月:事前調査
関係機関と関係者(対馬市役所、対馬市教育委員会、長崎県庁等)に漂着ゴミ清掃活動の協力依頼と詳細スケジュール等決定
活動参加者の募集開始
4月:事前打ち合わせ
活動に参加する大学生、高校生の決定
具体的な活動内容(特にワークショップの詳細)を決定
7月:活動参加者(大学生)への事前説明会を開催、一般の方にはSMS等で周知徹底
8月:対馬での漂着ゴミ清掃活動(含むワークショップ)とシンポジウムの開催
10月:本年度の活動成果報告書の作成
11月:次年度以降の実行委員会の立ち上げ
(参考:事業起案の経緯)
遡ること4年前の東京対馬会に小職が参加し対馬における2大ゴミ問題(核のゴミ最終処分場誘致と膨大な海岸漂着ゴミの実態)を紹介し、各々の団体活動資金の募金をお願いした。 昨年末、東京対馬会役員で王貞治氏をはじめ多くの著名人が参画する富士山倶楽部会員でもある白石テル氏のかねてからのご尽力により、富士山倶楽部の下部組織ふるさと清掃運動会が対馬で海岸漂着ゴミ清掃活動を実施いただける運びとなった。
3年前にいわゆる海岸漂着物処理推進法が成立し地域グリーンニューディル基金が創設(2年間の期限付き)され、一時的に海岸線は元の美しさを取り戻したが、期限が切れた以降は継続的に漂着するゴミの対応に苦慮しつづけている。また、法と基金要綱の乖離からボランティア組織の活動が困難な状況が発生している。
この機会を捉えて、国境離島の海岸漂着ゴミ問題の現状を広く国内外に周知し、多くの賛同者と共に今後の解決策をまとめて日韓両国に提言し実行を促していきたいという思いから、この事業を起案する。
幸い、対馬市と長崎県の外郭団体環境カウンセリング協会長崎の各々が主催する韓国の大学生と島民共同の海岸漂着ゴミ回収事業が開催されてきたという土壌もある。また、3年前から日本マリンエンジニアリング学会の積極的な協力を得て回収漂着ゴミの資源化に関する取り組みも進行中である。関係機関団体との従来からの協力関係を充分活かしながら、民間団体が主導する形で民・産・官・学共同のプラットホームの構築を図り、今後更なる問題解決の促進を図っていきたい。
今回の対馬における海岸漂着ゴミ問題解決への取り組みが、他の地域のモデルとなるよう努めて参る所存ですので、関係協力団体のご支援ご協力を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
以下、韓国大学生との共同による海岸漂着ゴミ回収事業について参考までに添付する。
<日韓市民ビーチクリーンアップ事業の取り組み>
取り組みの始まりは、平成14年頃に旧上県町の国際交流員であったパク・ビョンジュ氏が、その当時行政で実施していた海岸清掃を見る中で、あまりにも韓国のごみが多いことを問題視し、帰韓した際に各種大学等に対馬の海岸における状況を説明しながら海岸清掃の実施を呼びかけ、それに同調したのが、釜山外国語大学である。
その際に、釜山・厳原間の船会社の支援も含め、平成15年7月に旧上県町、(株)大亜高速海運、釜山外国語大学校の三者で国際交流協定を締結した。(官・産・学の国際交流協定)・・別紙
現在、この協定に基づいて実施されている事業が、この海岸清掃であり、平成15年度「釜山外国語大学校学生とのボランティアによる海岸清掃事業」として始まり、平成20年度から「日韓市民ビーチクリーンアップ事業」と名称を変更し、平成24年度までに10回実施している。
<海岸漂着ゴミグローバルサミット事業の取り組み>
平成18年度~20年度 長崎県及び対馬市の主催により「日韓学生つしま会議」が開催され、環境カウンセリング協会は日本側学生の参加について協力・支援
平成21年度 対馬での漂流漂着ゴミシンポジウム(清掃活動と調査、ワークショップ)
平成22年度 対馬での漂流漂着ゴミシンポジウム(清掃活動、ワークショップ)
平成23年度 壱岐・五島での調査及び地元住民との意見交換会、離島環境再生サミット(日中韓地球環境ヤングサミット)の開催、HP及び成果物の作成
<日本マリンエンジニアリング学会との取り組み>
同学会の「海洋浮遊ゴミの処理システムに関する調査研究委員会」は自己完結型の処理システムの構築に向けて対馬を調査研究のモデル地として活動を行っている。活動内容等については「脇本ひろき」HPの活動報告中の拙稿vol.11福岡~武雄~長崎を参照。
各種イベントの詳細計画及び予算の概算は取り組み中。
なお、平成22年度グローバルサミットの予算を参考までに添付する。
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